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新世代
誉編 接敵
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「ぎあっ! ぎあっ!!」
仲間を逃がすべく、轟は怒鳴った。
『急げ! 急げ!!』
と言っているらしい。
しかし、角はその轟に狙いを定めたようだ。
「マズイ……!」
ドローンのカメラが捉えているその映像を見ながら、俺は思わず声を上げてしまった。
すると、映像を送ってきていたドローンが角へと急接近する。威嚇して攻撃の邪魔をする為だ。
なのに……!
ガリッという音がした瞬間、映像が乱れ、途絶える。角がドローンの接近に怯むことなく逆にカマの一撃で撃墜してしまったのだ。その様子を、別のドローンのカメラが捉えていた。
メイトギアであるメイフェアに制御され、本来なら、人間では触れることも叶わない運動性を持つ偵察用ドローンをだ。さすがは密林最強生物の一つ。恐ろしい戦闘能力だ。加えて、これまで何度も見かけたことで慣れてしまっていたのかもしれない。
さらにドローンを接近させるものの、やはり止められない。そして、轟へと迫る。
「ぎっ!」
逃げ切れないと察した轟は仲間達を逃がした上で自分は立ち止まり身構えた。決して勝てる相手ではないもののただそのまま狩られるわけにはいかないということなんだろう。
「くそっ!」
俺も、次に起こるであろう事態に、思わず悪態が漏れる。有力な次のボス候補をこんな形で失うのは、あまりにも残念すぎる。
だが―――――
角のカマが轟を捉えると見えたその瞬間、青みがかった緑色の体がくるりと反転する光景が俺の目に飛び込んできた。
轟だ。轟が角の腕を捕えて飛び掛かってきた勢いを逸らし、回転させたのである。
あの<技>だ。誉がメイフェアに仕込まれて身に付けたあの技を、轟が、角を相手に決めてみせたのだ。
正直、それは<まぐれ>だっただろう。一か八かが本当にたまたま上手くいっただけに過ぎない。しかも、一瞬、攻撃を逸らすことができただけで、角の方も恐ろしい程のバランス感覚で木の幹に着地。コンマ一秒の速さで体勢を立て直してみせる。
だがそのコンマ一秒が次の結末をもたらすこととなった。
体勢を立て直した角の頭に、ドローン二機が立て続けに衝突。さすがの角も再び体勢を崩してしまう。
そしてその隙に、轟は角に追い打ちをかけるのではなく、全力で離脱したのであった。
この一瞬の判断が、生死を分ける。ここで戦おうとしていれば、再度体勢を立て直した角に瞬殺されていただろう。しかし自身の能力の全てを使って逃げることを選んだからこそ、轟は自らの命をつなぎとめることに成功したのだと言える。
これこそがマンティアンと正面切って戦っても勝てる道理のないパパニアンのボスに求められる才覚だと言えるかもしれない。
轟には、それが十分に備わっていることが、これで確認できたのだった。
仲間を逃がすべく、轟は怒鳴った。
『急げ! 急げ!!』
と言っているらしい。
しかし、角はその轟に狙いを定めたようだ。
「マズイ……!」
ドローンのカメラが捉えているその映像を見ながら、俺は思わず声を上げてしまった。
すると、映像を送ってきていたドローンが角へと急接近する。威嚇して攻撃の邪魔をする為だ。
なのに……!
ガリッという音がした瞬間、映像が乱れ、途絶える。角がドローンの接近に怯むことなく逆にカマの一撃で撃墜してしまったのだ。その様子を、別のドローンのカメラが捉えていた。
メイトギアであるメイフェアに制御され、本来なら、人間では触れることも叶わない運動性を持つ偵察用ドローンをだ。さすがは密林最強生物の一つ。恐ろしい戦闘能力だ。加えて、これまで何度も見かけたことで慣れてしまっていたのかもしれない。
さらにドローンを接近させるものの、やはり止められない。そして、轟へと迫る。
「ぎっ!」
逃げ切れないと察した轟は仲間達を逃がした上で自分は立ち止まり身構えた。決して勝てる相手ではないもののただそのまま狩られるわけにはいかないということなんだろう。
「くそっ!」
俺も、次に起こるであろう事態に、思わず悪態が漏れる。有力な次のボス候補をこんな形で失うのは、あまりにも残念すぎる。
だが―――――
角のカマが轟を捉えると見えたその瞬間、青みがかった緑色の体がくるりと反転する光景が俺の目に飛び込んできた。
轟だ。轟が角の腕を捕えて飛び掛かってきた勢いを逸らし、回転させたのである。
あの<技>だ。誉がメイフェアに仕込まれて身に付けたあの技を、轟が、角を相手に決めてみせたのだ。
正直、それは<まぐれ>だっただろう。一か八かが本当にたまたま上手くいっただけに過ぎない。しかも、一瞬、攻撃を逸らすことができただけで、角の方も恐ろしい程のバランス感覚で木の幹に着地。コンマ一秒の速さで体勢を立て直してみせる。
だがそのコンマ一秒が次の結末をもたらすこととなった。
体勢を立て直した角の頭に、ドローン二機が立て続けに衝突。さすがの角も再び体勢を崩してしまう。
そしてその隙に、轟は角に追い打ちをかけるのではなく、全力で離脱したのであった。
この一瞬の判断が、生死を分ける。ここで戦おうとしていれば、再度体勢を立て直した角に瞬殺されていただろう。しかし自身の能力の全てを使って逃げることを選んだからこそ、轟は自らの命をつなぎとめることに成功したのだと言える。
これこそがマンティアンと正面切って戦っても勝てる道理のないパパニアンのボスに求められる才覚だと言えるかもしれない。
轟には、それが十分に備わっていることが、これで確認できたのだった。
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