未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（Ver.02）

子供達

この手順が必須なんだ（人間の場合だとマズいが）

光ひかりに一目ぼれしてそれまでいた群れから巣立って、光ひかりが所属する群れに加わることを決めた順じゅんだったが、それには必ず超えなきゃいけない関門がある。

ボスである俺への挨拶だ。

帰ってきてまず一番に、灯あかりと光ひかりに伴われて、順じゅんは俺の前に来た。緊張してるらしく、視線が定まらない。だが、二人に促されて地面に手をついて、首の後ろを俺の前に晒した。日本にルーツを持つ俺にとってはおなじみと言ってもいい＜土下座＞によく似た、服従の姿勢だ。

「……」

そして俺は、順じゅんの首筋に右手を触れさせて、ぐっと押した。ビクっと緊張するのが分かったが、これは必要なことだからな。

人間でこんなことをすると暴行罪で訴えられてもおかしくないものの、ボノボ人間パパニアンにおいてはこの手順が必須なんだ。

こうして順じゅんは、正式に俺達の＜群れ＞に加わったのだった。








新暦〇〇一八年五月十七日。



とまあ、傍目にはすんなりと俺達の群れに加わったように見えた順じゅんだが、彼にとってもそれは戸惑いの連続だっただろう。

自分と同じように体毛の少ないのが何人もいて、おかしな形の洞穴に住んでるんだもんな。

だから灯あかりの傍から離れようとしなかった。惚れてるのは光ひかりに惚れてるが、頼りになるのは灯あかりということなのかもしれない。

灯あかりにしても、新しい＜弟＞ができたみたいで嬉しかったようだ。

「順じゅん、こっちこっち！」

順じゅんの手を引いて、家のあっちこっちを案内して回ってたし。

「ここは私とお姉ちゃんの部屋。こっちはお父さんの部屋。こっちは焔ほむらと彩さいと新あらたと凛りんの部屋。こっちは密ひそかの部屋、こっちは刃じんの部屋、こっちは伏ふくの部屋」

と、まさに順番に教えていってたな。もっとも、＜部屋＞といっても完全に独立した空間じゃなくて、簡単な間仕切りでそれぞれの姿が丸見えにならないようになってるだけだが。

で、順じゅんの方も、戸惑いながらも興味深そうに見てた気がする。しかも、灯あかりは人間の言葉を喋っているのに、どうやら結構伝わっているようだ。

もちろんそれは、順じゅんが人間の言葉を理解してるという意味じゃない。ただ、灯あかりの話し方の一部が、ボノボ人間パパニアンの言語に近いものになってるんだ。これはたぶん、焔ほむら達と遊んでるうちに身に付けたものだろうな。

ちなみに、誉ほまれと行動を共にしてボノボ人間パパニアンの群れに寄り添う形で常に待機してるメイフェアからデータを提供してもらっているエレクシアとセシリアとイレーネも、ボノボ人間パパニアンの言語をおおむね理解していて、光ひかりも基本的なコミュニケーションくらいなら取れるんだよな。

しかも、ライオン人間レオンのコミュニケーションについてもある程度は解析済みだそうで、そのおかげでスムーズにいってるというのもある。