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シモーヌ
悪感情(信じがたいが……)
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シモーヌのまさかの証言を受けて、俺は、自分の中で彼女の話を整理する為に、宇宙船のキャビンで一人、ベッドに横になっていた。エレクシアにも<家>の方で待機してもらっている。
しかし、正直言ってにわかには信じられない話だった。
コーネリアス号の乗員達が生きている…?
と言ってももちろん、コーネリアス号の乗員全員がという訳じゃないらしい。あくまであの不定形生物と同化したメンバーだけだそうだ。だから、それ以外の理由で亡くなった者は残念ながら本当に亡くなってしまったということになる。
だが、それでも、少なくとも同化した者は生きてるということか……
あの不定形生物の中で……?
俺には想像もできないことだ。
シモーヌはこうも言っていた。
「あの不定形生物は、それぞれが独立した体を持っていますが、実際にはおそらく全体で一つの生物、いえ、厳密には生物と言っていいのかどうかも疑問ですが、少なくとも一つの存在であることは間違いないと思います。
なので私達の間では、あの不定形生物は、そもそもありとあらゆる生物のデータを取り込み蓄積する為に何者かが作り出した<生きたデータサーバー>なのではないかという説が有力でした。
私達を取り込み、その肉体を変換して同化し、その際に不要になった分についてはエネルギーとして利用されましたが、私達そのものは完全に変換されて保存されているんです。記憶も意識も全てそのままで。そしてそれを基に、あの中で<生きて>います。
ただ、あの中は非常に平穏でまるで楽園のようでもあったのですが、一つだけ気になることがありました」
「…気になること…?」
「はい。あの中には、私達とは全く異なる、恐らく生物としての概念そのものが根本的に違うのであろう何者かの気配が常にありました。それがあまりにも違い過ぎるからか私達もはっきりとした姿形として認識することができませんでしたが、明らかに何らかの知性を感じる<生物>だったと思います。
そしてその生物は、何故か人間を非常に嫌悪しているようなんです」
「嫌悪?」
「ええ、憎悪と言ってもいいかもしれません。とにかく非常に強い悪感情だけは伝わってきました。
ですが、だからといって私達に何か害が及ぶでもなく、気にしないでいようと思えば気にせずにいられたんですが、完全にその気配が消えることもありませんでした。
それで、思い付いたことがあるんです」
「思い付いた…?」
「そうです。錬是さんが以前お話ししてくださった、凶という透明なグンタイ竜の個体のことです」
「…どういうことだ…?」
「その凶という個体は、人間を強く憎悪してる気がするとおっしゃっていましたよね?」
「ああ…」
「その憎悪の基になったものが、私達が不定形生物の中で感じていた気配なのではないかと思ったんです」
「…なんだ、と……?」
そのシモーヌの話を、何度も反芻するように思い返す。
凶が人間を憎んでいた理由。それは、あいつが不定形生物由来だったことそのものが原因だったということか……?
しかし、正直言ってにわかには信じられない話だった。
コーネリアス号の乗員達が生きている…?
と言ってももちろん、コーネリアス号の乗員全員がという訳じゃないらしい。あくまであの不定形生物と同化したメンバーだけだそうだ。だから、それ以外の理由で亡くなった者は残念ながら本当に亡くなってしまったということになる。
だが、それでも、少なくとも同化した者は生きてるということか……
あの不定形生物の中で……?
俺には想像もできないことだ。
シモーヌはこうも言っていた。
「あの不定形生物は、それぞれが独立した体を持っていますが、実際にはおそらく全体で一つの生物、いえ、厳密には生物と言っていいのかどうかも疑問ですが、少なくとも一つの存在であることは間違いないと思います。
なので私達の間では、あの不定形生物は、そもそもありとあらゆる生物のデータを取り込み蓄積する為に何者かが作り出した<生きたデータサーバー>なのではないかという説が有力でした。
私達を取り込み、その肉体を変換して同化し、その際に不要になった分についてはエネルギーとして利用されましたが、私達そのものは完全に変換されて保存されているんです。記憶も意識も全てそのままで。そしてそれを基に、あの中で<生きて>います。
ただ、あの中は非常に平穏でまるで楽園のようでもあったのですが、一つだけ気になることがありました」
「…気になること…?」
「はい。あの中には、私達とは全く異なる、恐らく生物としての概念そのものが根本的に違うのであろう何者かの気配が常にありました。それがあまりにも違い過ぎるからか私達もはっきりとした姿形として認識することができませんでしたが、明らかに何らかの知性を感じる<生物>だったと思います。
そしてその生物は、何故か人間を非常に嫌悪しているようなんです」
「嫌悪?」
「ええ、憎悪と言ってもいいかもしれません。とにかく非常に強い悪感情だけは伝わってきました。
ですが、だからといって私達に何か害が及ぶでもなく、気にしないでいようと思えば気にせずにいられたんですが、完全にその気配が消えることもありませんでした。
それで、思い付いたことがあるんです」
「思い付いた…?」
「そうです。錬是さんが以前お話ししてくださった、凶という透明なグンタイ竜の個体のことです」
「…どういうことだ…?」
「その凶という個体は、人間を強く憎悪してる気がするとおっしゃっていましたよね?」
「ああ…」
「その憎悪の基になったものが、私達が不定形生物の中で感じていた気配なのではないかと思ったんです」
「…なんだ、と……?」
そのシモーヌの話を、何度も反芻するように思い返す。
凶が人間を憎んでいた理由。それは、あいつが不定形生物由来だったことそのものが原因だったということか……?
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