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大家族

メイトギア(もはや魔法で動く人形同然らしい)

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新暦〇〇〇六年五月十八日



メイフェアXN12Aが家族に加わって一年半が経とうとしてる中、子供達相手に今日も頑張ってくれてる彼女を見ながら俺はぼんやりと考えてた。

六十世紀現在、ロボットはもはや<魔法で動く人形>同然になってるらしい。

ただ、実際に分解してみると構造は意外とシンプルで、人間の骨格を模した金属フレームを、人間の筋肉を模した<筋繊維アクチュエータ>と呼ばれる人工筋肉が繋ぎ合わせて、それらを人工皮膚で覆っているというのが大まかな構造だそうだ。

さらに、人間で言うと心臓や肺がある辺りにAIを収納する頑丈な箱があって、そのAIそのものも、透明な樹脂でコーティングされた板状の部品が何層にも重なったような形になっているだけなんだと。そこにバッテリーなどの補助的な装置が組み合わさってる。

だから、バラバラに分解しただけじゃ何がどうやって動いているのかさっぱり分からないと聞く。

で、実はその部品一つ一つがものすごい複雑な機械と言うか、それら自体が一個の完結した小さなロボットであって、その小さなロボットを何百個も組み合わせて一つの形にしてあるのが、メイトギアというロボットなんだ。

しかも、それぞれの部品にも簡易だけどAIが搭載されてる。

これは、メイフェアXN12Aが作られた頃にはほぼ完成された構造で、基本的な部分では大きく変わっていない。

ただ、細かい部分では違いもあって、その一つが骨格となる金属フレームの構造だ。

厳密には素材となってる金属自体も違うんだが、それ以上に違うのが、メイフェアXN12Aやセシリアのそれは、人間のと違い『繋がってる』んだと。

一方、エレクシアの方は、人間の骨格と同じでフレーム同士は繋がっていない。そのフレーム同士を<筋繊維アクチュエータ>という人口筋肉で繋ぎ合わせ、さらに人工皮膚で覆うことで人間の体に近付けてあるという話だな。

だから、メイフェアXN12Aやセシリアは間接部分に許容値以上の負荷が掛かると変形してしまって動けなくなることもある。

対してエレクシアの場合は、フレームそのものは繋がってないので、許容値以上の負荷が掛かった場合には人間と同じ様に『間接が外れ』るんだ。逆にそれによって致命的な損傷を防ぐ構造になってる。

人間と違って痛みを感じないから、関節が外れてもすぐに嵌め直せばいいだけだし。

そんなこんなで、外見上は、その時その時の流行とかもあってデザインは微妙に違うもののパッと見では分からないくらいに似通ってても、いろいろ違うところもあるということだな。

なお、筋繊維アクチュエータというのは、電気で形の変わる形状記憶樹脂製のワイヤー数百本の集合体で、人間の筋電と同等程度の電力で数倍の力を発揮するという。

電気的な効率は非常に高くて、そのおかげで、バッテリーをフル充電すると一ヶ月以上作動し続けられるというわけか。

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