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大家族
遠吠え(なるほど、こうやって成長していくのか)
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新暦〇〇〇三年十一月二十日
新を産んだ時の経験があまりに衝撃的だったのか、それとも子供を三人(本当は四人だが)産んだことで満足したのか、密は以前のようには求めてこなくなった。甘えてくるのは甘えてくるのだが、最後まではしようとしないのだ。
たまに最後まで求められることがあっても、俺の方もさすがにこれ以上子供が増えると手に負えないと感じて、『万が一できても構わないが確実にできるのは避けよう』と、厳密には避妊とは言えない方法だがそういうやり方をするようになっていた。まあ要するに『中には出さない』というやつだ。
これは決して避妊ではない。多少できにくくなるだけでしかない。それでもなお生まれてくるのなら、快く受け入れようとは思ってる。そんな感じだな。
なんてことはさて置いて、誉の様子はすっかり変わっていた。顔つきが精悍になり、小さいながらも<男の貌>という感じになっていた。それでも走達とは相変わらずケンカ三昧で、深とタッグを組んで走&凱組とじゃれ合っていていた。さらにその後で、タッグを組んでいた筈の深とも取っ組み合いのケンカをしてたりもする。
でもまあ、やっぱり仲は悪くないんだろうなという実感はあった。だからこの光景がいつまでも続くような気になっていたんだと思う。それは、人間である俺の思い込みでしかないというのに……
新暦〇〇〇四年五月二十六日
実年齢で一歳七ヶ月、見た目には五歳になるかならないかくらいかなという感じになった誉は、時々、屋根に上って密林の中を見詰めていた。そしておもむろに、「うぉ~っ!!」と声を上げる。例の、縄張りを主張する為のあれだ。すると家の中から密が飛び出してきて、誉をとっ捉まえて押さえ付けようとし―――――たが、捉まえられなかった。母親の手をひょいと躱し、屋根から飛び降りて密林の中に駆け込んで行ってしまった。
なるほど、こうやって成長していって、やがて自分の縄張りを作るんだな。
俺が、來に遊んでもらっている光を見守りながらそんなことを考えていると、また、「うぉ~っ!!」という声が聞こえてきた。密林の中からだ。誉の声だった。すると、遠くの方からも「うぉ~っ」という声が聞こえてきた。他の群れのボスが、誉の縄張りを主張する遠吠えに反応してるんだろうな。明らかに怒っているかのような印象のある強い声だった。加えてそれなりに年季も入った声質だったな。
だが、この日はそれだけじゃなかった。そんなに遠くないところからも、遠吠えに応えるように「うぉっっ! うぉっっ!」という声が聞こえてきたのだった。
新を産んだ時の経験があまりに衝撃的だったのか、それとも子供を三人(本当は四人だが)産んだことで満足したのか、密は以前のようには求めてこなくなった。甘えてくるのは甘えてくるのだが、最後まではしようとしないのだ。
たまに最後まで求められることがあっても、俺の方もさすがにこれ以上子供が増えると手に負えないと感じて、『万が一できても構わないが確実にできるのは避けよう』と、厳密には避妊とは言えない方法だがそういうやり方をするようになっていた。まあ要するに『中には出さない』というやつだ。
これは決して避妊ではない。多少できにくくなるだけでしかない。それでもなお生まれてくるのなら、快く受け入れようとは思ってる。そんな感じだな。
なんてことはさて置いて、誉の様子はすっかり変わっていた。顔つきが精悍になり、小さいながらも<男の貌>という感じになっていた。それでも走達とは相変わらずケンカ三昧で、深とタッグを組んで走&凱組とじゃれ合っていていた。さらにその後で、タッグを組んでいた筈の深とも取っ組み合いのケンカをしてたりもする。
でもまあ、やっぱり仲は悪くないんだろうなという実感はあった。だからこの光景がいつまでも続くような気になっていたんだと思う。それは、人間である俺の思い込みでしかないというのに……
新暦〇〇〇四年五月二十六日
実年齢で一歳七ヶ月、見た目には五歳になるかならないかくらいかなという感じになった誉は、時々、屋根に上って密林の中を見詰めていた。そしておもむろに、「うぉ~っ!!」と声を上げる。例の、縄張りを主張する為のあれだ。すると家の中から密が飛び出してきて、誉をとっ捉まえて押さえ付けようとし―――――たが、捉まえられなかった。母親の手をひょいと躱し、屋根から飛び降りて密林の中に駆け込んで行ってしまった。
なるほど、こうやって成長していって、やがて自分の縄張りを作るんだな。
俺が、來に遊んでもらっている光を見守りながらそんなことを考えていると、また、「うぉ~っ!!」という声が聞こえてきた。密林の中からだ。誉の声だった。すると、遠くの方からも「うぉ~っ」という声が聞こえてきた。他の群れのボスが、誉の縄張りを主張する遠吠えに反応してるんだろうな。明らかに怒っているかのような印象のある強い声だった。加えてそれなりに年季も入った声質だったな。
だが、この日はそれだけじゃなかった。そんなに遠くないところからも、遠吠えに応えるように「うぉっっ! うぉっっ!」という声が聞こえてきたのだった。
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