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ハーレム
力と悠(注目のカップル。いろんな意味で)
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新暦元年八月二十九日
力と悠については、これはもう本人同士に任せることにしてた。正直、二人については勝手にしててくれていい。そしてその通りに、二人は好き勝手にイチャイチャしてるだけだった。
と同時に、悠のことはそれなりに注視してる。俺もそうだし、エレクシアとセシリアCQ202にも注意深く観察してもらってた。
だが、元の不定形生物に戻ってしまうような気配はまるでなかった。力のことがちゃんと好きらしく、彼を受け入れて、悠自身も彼に受け入れてもらえてることを喜んでるようだ。
エレクシアとセシリアCQ202の二人にそれぞれバイタルサインとかをモニタリングしてもらってるが、生態的な差異からくると思われる人間との微妙な違いはあるものの、力とは殆ど差異はないからそれで正常なんだろう。透明であることを除けば完全に力と同じ種族の生き物として生きてるんだろうな。
それがどういうことなのかもよく分からない。
ただ、これでいくらか新たな推測が立った。密達のルーツについてだ。
あの不定形生物は、力が河に戻したワニ少女の遺体を捕食するかどうかして遺伝情報を取り込み、それを再現してるというのが現時点での仮説だった。もしそうなら、コーネリアス号の乗員達を襲ったことで彼らの遺伝情報を取り込み、そして何らかのきっかけで悠のようにその体を再現して、それが密達に繋がっていったという可能性がある。こう考えると、他にも捕食した生き物の遺伝情報を取り込んでいて、それが不定形生物の中で掛け合わされることでキメラ化していったのかもしれない。
とは言え、それはあくまで現時点での仮説にすぎないが。
それに、この説では、悠が透明なのに密達がそうじゃないことの説明がつかないし、しかも悠はあくまで元のワニ少女と殆ど変わらない姿をしてる。他の生物とのキメラ化は起こっていない。透明かそうでないかキメラ化が起こるかそうでないかはあくまで偶発的なものかもしれないが、なにしろサンプルがまだ悠一人だからどうにもな。
俺達の乗ったローバーが襲撃を受けた時、車内に零れ落ちた分は悠になった。では、残りの部分はあの後どうなったんだ? 元の不定形生物のままか、それとも何かの形になったのか。だとしたらそれは悠と同じ姿なのか、それとも他の取り込んだ生物の姿なのか。
悠の皮膚の一部を採取して分析機にかけると、力と完全に同じ種であるという結果が出た。体が透明であるにも拘らずだ。まあこの辺は、俺達の使ってる分析器があくまで簡易のものだからというのもあるのかもしれない。もっと高性能な本格的なのを使えば別の結果が出る可能性もある。しかし、簡易測定の範囲でなら別種であるとは判定できない。それほど高度に再現されてるということだろう。
となると、もう既にあの不定形生物としての機能は失ってるという可能性も考えられる。戻りたくても戻れないのかもしれない。が、力とイチャイチャしてる様子を見る限りでは、悠自身が自分を力と同じ種であると認識してるとも思える。
他にもサンプルが見付かれば、もっといろんなことが分かるのかもしれないなあ。
もっとも、それが分かったところでやはり誰にも伝えられないが。結局、それに興味を持つのも俺の自己満足に過ぎないってことだな。
が、基本的に暇なんだよ。密達の相手もずっとやってる訳じゃない。密は今の生活に慣れたらしく家にこもりっぱなしなのは退屈なのか密林の中をうろついてるし、刃も狩りや縄張りの見回りでいないことも多いし、最初は俺にべったりだった伏も多少落ち着いたのか一日の大半を寝て過ごしてるしで、生活パターンが定着してくると、案外、空き時間が多いんだよな。
だからまあ、色々気になることについて考えてしまう訳だ。
とか言いながら今も、家の前でビーチチェアに横たわりながら、池で力と悠がイチャイチャしてるのをぼんやりと眺めてたって感じだ。
二人が来てから二ヶ月ほど経つんだが、本当に仲がいいよな。しかも人間のそれと同じく随時発情できるらしくて、気が付いたらいたしてたりする。となると次に来るのは当然、<妊娠>だ。果たして二人の間に子供ができるのかどうかも興味の対象ではある。DNAレベルで再現されてるそうだから理屈の上では妊娠も可能なのかもしれないものの、それで実際に子供ができるかどうかは別だろう。
新暦元年九月十日
力と悠は今日も元気だ。
だが、突然、それはやってきた。さっきまで力とイチャイチャしてた悠がいきなりそわそわし始めて池から上がって落ち着きなく周りを歩き始めた。その悠を追いかけて池から上がって近付こうとすると、急に歯を剥き出して「シャーッッ!」と威嚇する。
その様子を見ていたエレクシアが言った。
「妊娠の可能性がありますね」
って、はいぃ!? いや、まあ、そろそろあってもおかしくないとは思ってたが、まさか本当に来るとはね。
力と悠については、これはもう本人同士に任せることにしてた。正直、二人については勝手にしててくれていい。そしてその通りに、二人は好き勝手にイチャイチャしてるだけだった。
と同時に、悠のことはそれなりに注視してる。俺もそうだし、エレクシアとセシリアCQ202にも注意深く観察してもらってた。
だが、元の不定形生物に戻ってしまうような気配はまるでなかった。力のことがちゃんと好きらしく、彼を受け入れて、悠自身も彼に受け入れてもらえてることを喜んでるようだ。
エレクシアとセシリアCQ202の二人にそれぞれバイタルサインとかをモニタリングしてもらってるが、生態的な差異からくると思われる人間との微妙な違いはあるものの、力とは殆ど差異はないからそれで正常なんだろう。透明であることを除けば完全に力と同じ種族の生き物として生きてるんだろうな。
それがどういうことなのかもよく分からない。
ただ、これでいくらか新たな推測が立った。密達のルーツについてだ。
あの不定形生物は、力が河に戻したワニ少女の遺体を捕食するかどうかして遺伝情報を取り込み、それを再現してるというのが現時点での仮説だった。もしそうなら、コーネリアス号の乗員達を襲ったことで彼らの遺伝情報を取り込み、そして何らかのきっかけで悠のようにその体を再現して、それが密達に繋がっていったという可能性がある。こう考えると、他にも捕食した生き物の遺伝情報を取り込んでいて、それが不定形生物の中で掛け合わされることでキメラ化していったのかもしれない。
とは言え、それはあくまで現時点での仮説にすぎないが。
それに、この説では、悠が透明なのに密達がそうじゃないことの説明がつかないし、しかも悠はあくまで元のワニ少女と殆ど変わらない姿をしてる。他の生物とのキメラ化は起こっていない。透明かそうでないかキメラ化が起こるかそうでないかはあくまで偶発的なものかもしれないが、なにしろサンプルがまだ悠一人だからどうにもな。
俺達の乗ったローバーが襲撃を受けた時、車内に零れ落ちた分は悠になった。では、残りの部分はあの後どうなったんだ? 元の不定形生物のままか、それとも何かの形になったのか。だとしたらそれは悠と同じ姿なのか、それとも他の取り込んだ生物の姿なのか。
悠の皮膚の一部を採取して分析機にかけると、力と完全に同じ種であるという結果が出た。体が透明であるにも拘らずだ。まあこの辺は、俺達の使ってる分析器があくまで簡易のものだからというのもあるのかもしれない。もっと高性能な本格的なのを使えば別の結果が出る可能性もある。しかし、簡易測定の範囲でなら別種であるとは判定できない。それほど高度に再現されてるということだろう。
となると、もう既にあの不定形生物としての機能は失ってるという可能性も考えられる。戻りたくても戻れないのかもしれない。が、力とイチャイチャしてる様子を見る限りでは、悠自身が自分を力と同じ種であると認識してるとも思える。
他にもサンプルが見付かれば、もっといろんなことが分かるのかもしれないなあ。
もっとも、それが分かったところでやはり誰にも伝えられないが。結局、それに興味を持つのも俺の自己満足に過ぎないってことだな。
が、基本的に暇なんだよ。密達の相手もずっとやってる訳じゃない。密は今の生活に慣れたらしく家にこもりっぱなしなのは退屈なのか密林の中をうろついてるし、刃も狩りや縄張りの見回りでいないことも多いし、最初は俺にべったりだった伏も多少落ち着いたのか一日の大半を寝て過ごしてるしで、生活パターンが定着してくると、案外、空き時間が多いんだよな。
だからまあ、色々気になることについて考えてしまう訳だ。
とか言いながら今も、家の前でビーチチェアに横たわりながら、池で力と悠がイチャイチャしてるのをぼんやりと眺めてたって感じだ。
二人が来てから二ヶ月ほど経つんだが、本当に仲がいいよな。しかも人間のそれと同じく随時発情できるらしくて、気が付いたらいたしてたりする。となると次に来るのは当然、<妊娠>だ。果たして二人の間に子供ができるのかどうかも興味の対象ではある。DNAレベルで再現されてるそうだから理屈の上では妊娠も可能なのかもしれないものの、それで実際に子供ができるかどうかは別だろう。
新暦元年九月十日
力と悠は今日も元気だ。
だが、突然、それはやってきた。さっきまで力とイチャイチャしてた悠がいきなりそわそわし始めて池から上がって落ち着きなく周りを歩き始めた。その悠を追いかけて池から上がって近付こうとすると、急に歯を剥き出して「シャーッッ!」と威嚇する。
その様子を見ていたエレクシアが言った。
「妊娠の可能性がありますね」
って、はいぃ!? いや、まあ、そろそろあってもおかしくないとは思ってたが、まさか本当に来るとはね。
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