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彼女の卒業
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その後の彼女は、学校では非常に大人しく穏やかに過ごしていた。小学校を卒業し中学に進学、小学校の時と同じく特別支援学級に所属したが特に問題を起こすこともなく三年間を無事に過ごした。在学中に友人などは出来なかったものの、彼女にとってそれは何一つ問題ではなかった。
いつの頃からか丹上真朱里も滅多に彼女の家には来なくなっていた。聞けば彼氏が出来たらしい。しかも優しくて穏やかな感じの、お似合いのカップルだそうだ。
だが彼女は何も困らなかった。家には神河内良久も伊藤玲那もいてくれる。この二人がいてくれれば他に望むものはなかった。
そして彼女は、今でも、彼と一緒に風呂に入っている。本当は自分で体も洗えるのだが、彼に洗ってもらうのが好きで、彼が入ってくるとせがむようにその膝に座った。
明日は中学の卒業式。彼女は高校には進学しない。もう、学力が全く追い付かないからだ。中学も、義務だから通わせたに過ぎない。彼女の学力は結局、小学校中学年レベルで止まってしまっていた。しかし、そこまで行けただけでも十分だっただろう。彼女のことをよく知っている人間からすれば。
狂暴性は今でも秘めている筈だった。しかし、周囲の人間が彼女や彼女が仲間と認めた人間を害そうとしない限り、山下沙奈が自ら牙を剥くことはない。その程度の自制心も備えている。
中学を卒業すれば、後はもう、神河内良久と伊藤玲那の庇護の下、その生涯を全うするだけだ。先は長いが、現状を考えればそれが最も賢明な選択だっただろう。
彼女も既に二十歳。立派に成人である。完全に自立するのは難しくても、神河内家の家族の一員として生きるくらいなら問題もない。
夜、彼女は、風呂と同じで今でも彼のベッドで一緒に寝ている。それだけではない。彼が寝ている横で自慰行為に耽ったりさえしていた。明らかに彼のことを欲していた。それは、彼女らしい本能的なものだったのかも知れない。快楽を得る為でなく、彼の子を欲していたのだ。彼のことをパートナーと認めたからこそのものだと思われる。
しかし、当の彼はまったくそれにとりあおうとしなかった。彼女がいくら自分の隣で自分に触れながら自らを慰めてようとも、歯牙にもかけなかった。だから彼女は自ら行動を起こしたのである。
藍繪汐治や網螺春喜に散々やらされたことを、敢えて彼に対しても発揮したのだ。
「よし…ひさ……」
この時、彼女は初めて彼の名を呼んだ。彼を必要としていたから。
それは、彼女がそれらの行為を苦痛であると感じていたことからの解放でもあったのだった。
いつの頃からか丹上真朱里も滅多に彼女の家には来なくなっていた。聞けば彼氏が出来たらしい。しかも優しくて穏やかな感じの、お似合いのカップルだそうだ。
だが彼女は何も困らなかった。家には神河内良久も伊藤玲那もいてくれる。この二人がいてくれれば他に望むものはなかった。
そして彼女は、今でも、彼と一緒に風呂に入っている。本当は自分で体も洗えるのだが、彼に洗ってもらうのが好きで、彼が入ってくるとせがむようにその膝に座った。
明日は中学の卒業式。彼女は高校には進学しない。もう、学力が全く追い付かないからだ。中学も、義務だから通わせたに過ぎない。彼女の学力は結局、小学校中学年レベルで止まってしまっていた。しかし、そこまで行けただけでも十分だっただろう。彼女のことをよく知っている人間からすれば。
狂暴性は今でも秘めている筈だった。しかし、周囲の人間が彼女や彼女が仲間と認めた人間を害そうとしない限り、山下沙奈が自ら牙を剥くことはない。その程度の自制心も備えている。
中学を卒業すれば、後はもう、神河内良久と伊藤玲那の庇護の下、その生涯を全うするだけだ。先は長いが、現状を考えればそれが最も賢明な選択だっただろう。
彼女も既に二十歳。立派に成人である。完全に自立するのは難しくても、神河内家の家族の一員として生きるくらいなら問題もない。
夜、彼女は、風呂と同じで今でも彼のベッドで一緒に寝ている。それだけではない。彼が寝ている横で自慰行為に耽ったりさえしていた。明らかに彼のことを欲していた。それは、彼女らしい本能的なものだったのかも知れない。快楽を得る為でなく、彼の子を欲していたのだ。彼のことをパートナーと認めたからこそのものだと思われる。
しかし、当の彼はまったくそれにとりあおうとしなかった。彼女がいくら自分の隣で自分に触れながら自らを慰めてようとも、歯牙にもかけなかった。だから彼女は自ら行動を起こしたのである。
藍繪汐治や網螺春喜に散々やらされたことを、敢えて彼に対しても発揮したのだ。
「よし…ひさ……」
この時、彼女は初めて彼の名を呼んだ。彼を必要としていたから。
それは、彼女がそれらの行為を苦痛であると感じていたことからの解放でもあったのだった。
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