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せめて人間らしく
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神河内良久は次に、彼女を理髪店へと連れてきていた。あまりにいい加減すぎる髪型をどうにかする為だ。適当に鋏で真っ直ぐ切り揃えただけの前髪以外は伸ばし放題で痛みが酷く、絡まり合い膨れ上がったその様子はライオンの鬣を思わせた。だが彼女は<雌>だ。鬣を持つのは雄だけである。そしてなにより彼女はライオンではない。
「胸くらいまでの長さで、不格好にならない程度に適当に…」
という実に曖昧な注文だったが、理髪店側はさすがにそれを生業にしているだけあって、今時の小学生の少女らしい、可愛らしいといって差し支えのない髪型に整えてくれた。そして彼女は、鏡に映った自分の姿を不思議そうに眺めていた。髪の傷みそのものは今後の手入れで改善していくしかないだろうが、それでも前の状態に比べればまともな人間の姿にはなった。
次は服だ。藍繪汐治が彼女に与えた服はもう既に毛玉だらけのよれよれで、いかにもみすぼらしかった。そこで、取り敢えずということで子供用品店で売れ筋らしき服を適当ではあったがまとめて買い、そのうちの一着を試着室で身に付けさせて店を出た。そうするともうすっかり、見た目だけなら普通の小学生の少女のそれになっていた。ついでに下着や靴や生理用品等もそこで買った。初潮が来ているかどうかは知らなかったが、いずれにせよ必要になるのは分かっていたから念の為ということだ。
店を出て帰る途中、彼女は自分の姿が気になるのか、ガラスなどにそれが映る度に立ち止まっては見詰めていた。神河内良久はそんな彼女を急かすでもなく好きにさせた。
家に帰ると、ケースワーカーの中年女性が門の前で待っていた。既に何度か面談していた為、彼女の変貌ぶりに「まあ、とても可愛らしくなりましたね」と感嘆の声を上げた。
しかし、いくら見た目を整えようとほぼ獣同然の彼女自身が変わる訳でもない。慣れない相手は警戒して鋭く睨み、特定の人間以外の指示には従わず、食事は箸が使えずスプーンの使い方すら乳幼児レベルで、言葉すら満足にしゃべれない。
だが問題はそれだけではなかった。彼女は最近、この家での生活にもそれなりに慣れてきたのか、少し油断した様子も見せるようになっていたのだが、それは自身の敏感な部分に手を這わせ、延々と弄るというものだった。
神河内良久とケースワーカーの女性が話をしている間にも、自分に注意が向けられていないと見るやその隙にと言わんばかりに自慰行為に耽るのである。これにはケースワーカーの女性も閉口した。警察に記録があった性的虐待の影響ということで理解はしようとしたが、やはり芳しいものではない。それでも学校には通わせないといけないことには変わりなく、見た目だけでも整ったということで入学予定の学校へとケースワーカー同伴で向かうことになったのだった。
「胸くらいまでの長さで、不格好にならない程度に適当に…」
という実に曖昧な注文だったが、理髪店側はさすがにそれを生業にしているだけあって、今時の小学生の少女らしい、可愛らしいといって差し支えのない髪型に整えてくれた。そして彼女は、鏡に映った自分の姿を不思議そうに眺めていた。髪の傷みそのものは今後の手入れで改善していくしかないだろうが、それでも前の状態に比べればまともな人間の姿にはなった。
次は服だ。藍繪汐治が彼女に与えた服はもう既に毛玉だらけのよれよれで、いかにもみすぼらしかった。そこで、取り敢えずということで子供用品店で売れ筋らしき服を適当ではあったがまとめて買い、そのうちの一着を試着室で身に付けさせて店を出た。そうするともうすっかり、見た目だけなら普通の小学生の少女のそれになっていた。ついでに下着や靴や生理用品等もそこで買った。初潮が来ているかどうかは知らなかったが、いずれにせよ必要になるのは分かっていたから念の為ということだ。
店を出て帰る途中、彼女は自分の姿が気になるのか、ガラスなどにそれが映る度に立ち止まっては見詰めていた。神河内良久はそんな彼女を急かすでもなく好きにさせた。
家に帰ると、ケースワーカーの中年女性が門の前で待っていた。既に何度か面談していた為、彼女の変貌ぶりに「まあ、とても可愛らしくなりましたね」と感嘆の声を上げた。
しかし、いくら見た目を整えようとほぼ獣同然の彼女自身が変わる訳でもない。慣れない相手は警戒して鋭く睨み、特定の人間以外の指示には従わず、食事は箸が使えずスプーンの使い方すら乳幼児レベルで、言葉すら満足にしゃべれない。
だが問題はそれだけではなかった。彼女は最近、この家での生活にもそれなりに慣れてきたのか、少し油断した様子も見せるようになっていたのだが、それは自身の敏感な部分に手を這わせ、延々と弄るというものだった。
神河内良久とケースワーカーの女性が話をしている間にも、自分に注意が向けられていないと見るやその隙にと言わんばかりに自慰行為に耽るのである。これにはケースワーカーの女性も閉口した。警察に記録があった性的虐待の影響ということで理解はしようとしたが、やはり芳しいものではない。それでも学校には通わせないといけないことには変わりなく、見た目だけでも整ったということで入学予定の学校へとケースワーカー同伴で向かうことになったのだった。
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