9 / 111
彼女の日常
しおりを挟む
山下沙奈は、他人が自分に対して優しくするということを理解できなかった。いや、優しい人間がいるということが理解できないと言った方がいいだろうか。他人は常に暴力的で横暴で支配的で理不尽なものであるというのが、彼女の認識だった。
だから、自分に対して何も要求せず命令せずただ与えてくれるという行為を受け入れることができないのだ。そこには何か別の意図があり、うっかりそれを受け入れたりすればもっと酷い目に遭わされるに違いないと、明確な思考ではなく動物的な感覚として警戒していたのである。
その為、保護されて入院している間も、施設にいる間も、出された食事には殆ど手を着けようとしなかった。それは、人間に虐待された犬が人間を警戒して懐こうとしない様子に酷似していた。
その一方で、生きるのに最低限必要な分程度は看護師や施設の職員の目を盗むようにして口にしていた故に命は繋げた。とは言え、保護された時に比べ多少はマシになり見るだけで命の危険まで感じるほどのものではなくなりつつも、痩せ細った枯れ枝のような体は劇的には改善されなかった。
なのに、藍繪汐治に引き取られて、彼の性的欲求に応えた報酬として与えられたコンビニ弁当のような食事については、好き嫌いを見せることなく全部食べた。皮肉なことに、要求に応じた見返りとして食事を与えるという手順が彼女にとっては必要だということがそれで判明した。過酷過ぎる状況に過剰適応した結果なのだろう。しかしそのことが彼女の回復に一役買ったというのも事実だという外ない。
ただ、彼女の為の食事としてコンビニ弁当を買ってきたりしていた藍繪汐治に比べて、網螺春喜の方は、気分が良ければ総菜パンなどを買ってきてくれることもあったが、基本的には自分の食べ残しの残飯を彼女に与えるだけだった。そのくせ、彼女の体を玩具で弄び、その様子をビデオカメラで録画しては、その手の動画を買い取ってくれる業者に売って金に換えるということを繰り返していた。
ある日には、朝、介護用の吸水シートを敷いたベッドに寝かせた彼女の手足をテープで拘束した上で、胸や局部といった部分にローターをテープで固定し、「そこから動くなよ。漏らすんならそのままやってもいいからよ」と命じたまま外出して夕方までパチンコ三昧ということもあった。弄ばれる彼女の姿を録画した動画がいい値で売れるようになったことで、網螺春喜はバイトも辞めてそれだけで生計を立てるようになったのである。そして自分は思う存分、パチンコに興じるということだ。
帰った時には当然のように彼女は尿も便も漏らした状態だったが、網螺春喜は拘束を解いた彼女自身にその始末をやらせ、自身は買ってきた弁当を食べ、その残りを彼女に与えた。
これが、網螺春喜の下での彼女の日常であった。
だから、自分に対して何も要求せず命令せずただ与えてくれるという行為を受け入れることができないのだ。そこには何か別の意図があり、うっかりそれを受け入れたりすればもっと酷い目に遭わされるに違いないと、明確な思考ではなく動物的な感覚として警戒していたのである。
その為、保護されて入院している間も、施設にいる間も、出された食事には殆ど手を着けようとしなかった。それは、人間に虐待された犬が人間を警戒して懐こうとしない様子に酷似していた。
その一方で、生きるのに最低限必要な分程度は看護師や施設の職員の目を盗むようにして口にしていた故に命は繋げた。とは言え、保護された時に比べ多少はマシになり見るだけで命の危険まで感じるほどのものではなくなりつつも、痩せ細った枯れ枝のような体は劇的には改善されなかった。
なのに、藍繪汐治に引き取られて、彼の性的欲求に応えた報酬として与えられたコンビニ弁当のような食事については、好き嫌いを見せることなく全部食べた。皮肉なことに、要求に応じた見返りとして食事を与えるという手順が彼女にとっては必要だということがそれで判明した。過酷過ぎる状況に過剰適応した結果なのだろう。しかしそのことが彼女の回復に一役買ったというのも事実だという外ない。
ただ、彼女の為の食事としてコンビニ弁当を買ってきたりしていた藍繪汐治に比べて、網螺春喜の方は、気分が良ければ総菜パンなどを買ってきてくれることもあったが、基本的には自分の食べ残しの残飯を彼女に与えるだけだった。そのくせ、彼女の体を玩具で弄び、その様子をビデオカメラで録画しては、その手の動画を買い取ってくれる業者に売って金に換えるということを繰り返していた。
ある日には、朝、介護用の吸水シートを敷いたベッドに寝かせた彼女の手足をテープで拘束した上で、胸や局部といった部分にローターをテープで固定し、「そこから動くなよ。漏らすんならそのままやってもいいからよ」と命じたまま外出して夕方までパチンコ三昧ということもあった。弄ばれる彼女の姿を録画した動画がいい値で売れるようになったことで、網螺春喜はバイトも辞めてそれだけで生計を立てるようになったのである。そして自分は思う存分、パチンコに興じるということだ。
帰った時には当然のように彼女は尿も便も漏らした状態だったが、網螺春喜は拘束を解いた彼女自身にその始末をやらせ、自身は買ってきた弁当を食べ、その残りを彼女に与えた。
これが、網螺春喜の下での彼女の日常であった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
完結【R―18】様々な情事 短編集
秋刀魚妹子
恋愛
本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。
タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。
好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。
基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。
同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。
※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。
※ 更新は不定期です。
それでは、楽しんで頂けたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる