愛しのアリシア

京衛武百十

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ロボット忍者、アリシアの街角忍法帳

ゲイツ、驚愕する

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<チェーンガンを装備したメイトギア>の重心点だけを捉えて表示すると、きっと非常に滑らかな曲線を描いていることだろう。決して強引に力尽くで機体を動かしているのではなく、重心を中心として常に回転することで全方位に攻撃を繰り出しつつ、的確に自らは攻撃を躱しているのだ。

普通の要人警護仕様のメイトギアでも格闘技の名人の体裁きがプログラムされていることが多いとはいえ、本来の装備ではないであろう大型の重火器込みのその動きは、ゲリラとしての経験を重ねてきたゲイツでさえこれまで見たことのないものだった。

「くそっ! こんな奴、相手にしてられねえ! ほっといて標的をやるぞ!」

ゲイツは元々<仲間>だったサイボーグ二人にそう告げた。しかし、その内の一人は、ゲリラ達の用意していたロケット砲をメイトギアが拾って使ったものの直撃を受け、息絶えていた。

「くそがぁっ!!」

呪いの言葉を口にしつつも、ゲイツは冷静だった。仲間を悼むからこそ、<仕事>を果たさなければならないと、爆炎にまぎれて飛び出した。<標的>目掛けて。<仲間>のサイボーグがそれに続く。途中で合流したもう一人のサイボーグはすでに死んでいた。

結局、サイボーグはゲイツともう一人だけが残ったようだ。

そして二人が<標的>目掛けて走るが、その頭に衝撃。

「なあっ!?」

前のめりに倒れる際に視界の隅に捉えられたのは、ロケット弾を放った後のロケット砲だった。それを投げつけてきたのだ。あのメイトギアが。

もう一人のサイボーグも同じく転倒。そちらは破壊された重機関銃の本体部分がぶつけられたようだった。正面から投げ付けられたのなら耐えることもできたが、全力で走っていた頭に後ろからだったことで、バランスが崩されて転倒してしまった。

「く……っ!」

もちろんすぐに体を起こして自分達が走ってきた方向を見ると、そこには、猛然と迫ってくるメイトギアの姿。

ゲイツともう一人のサイボーグは、この状況で背を向ければ確実に背後からチェーンガンで撃たれると判断。ここで撃破するしかないとして迎え撃つこととした。

が、

『マジで何なんだこいつはっ!?』

ゲイツは、一切の手加減なく一撃で破壊するつもりで挑みかかった。なのに、まったく追いつけない。直線的な速さもそうだが、動きが変則的でしかも俊敏なのだ。それに追いすがろうとすると、体の方で自動的にリミッターが働き、追いつけない。

脳をはじめとした生身の臓器をその体に納めているサイボーグは、どれほど性能を上げようとしても、加速度の面で、

『生身の臓器がその加速Gに耐えられない』

という決定的な弱点があるのだった。

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