愛しのアリシア

京衛武百十

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ロボット忍者、アリシアの街角忍法帳

人類の夜明け戦線Rのメンバー、容赦ない技を掛ける

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こうして倒れた男の姿は、次の瞬間には消え失せていた。

それとは知らず、<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>のメンバーは、次のアジトに移っていた。

「おい? あいつはどこに行った?」

岩丸ゆかりを抱えていた男が、彼女に乱暴を働こうと目論んでいた男の姿がないことに気付き、問い掛ける。しかし誰も心当たりがなく、

「どこでサボってやがんだ! この大事な時に! やっぱりあいつには俺達の理念は理解できないってことかもな」

忌々し気に吐き捨てる。元々、自分達が今回のテロを計画しているのを、

「面白そうじゃん。一口嚙ませろよ」

だなどと、『面白そう』という理由で参加してきたような軽薄な奴である。自動車の運転技術だけは大口を叩くのに値する程度には優れていたものの、所詮はその程度だ。

「まあいい、邪魔ならあいつも始末する。それより、次のフェーズに進むぞ」

と仲間に告げた。

そうして、今度は、ネットワークから締め出されたものとは別の端末を取り出して、

『楽しんでるかい?』

というメッセージを発信する。すると今度は、今、騒ぎになっている地域とは、市の中心を挟んで逆方向で火花が上がった。

徹底してニューオクラホマそのものを混乱に陥れるつもりのようだ。



しかし、その一方で、ウルヴァリン・ガーデン各所で見張りをしていた<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>のメンバーの一人が、ハッと背後を振り返った。けれど次の瞬間、さらに背後から手が延ばされ、男はその手を取ったと同時に、体を回転させ背後にいた者の足を掃い、地面に叩きつけようとした。

見事な体捌きだった。おそらく柔術の流れを汲むものなのだろうと思われる。その道ではそこそこの結果も出せそうだったにも拘らず、男は<人類の夜明け戦線R(リベンジ)>などというテロ組織に参加し、今回のことを引き起こしたのだ。

いくら才能があっても、才能だけでは日の当たる場所を歩けないということなのだろう。実際、男は、自身の才能に溺れて組手の際に、確実に自分より数段劣っている相手に、受け身を取ることさえ難しい容赦ない投げ技を掛けて、結果、頭蓋骨骨折の重傷を負わせ、公式試合への出場資格を剝奪されたという過去があった。

もっとも、その一回だけならそこまで厳しい処分は下らなかったかもしれないが、それ以前から素行の悪さを指摘されてきたこともあり、併せての判断だったと思われる。

実に救われない話だと言えるだろう。

自身の行いが自らを不幸にしたにも拘らず社会を恨み、

『容赦なく自分の技を掛けられるかもしれない』

と考えてテロに参加したのだから。

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