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ロボット勇者、アリシアの電脳異世界冒険記
感心
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アリシアの全力の一撃でも破壊できなかったゴーレムに、
『さすがですね……!』
思わず心の中で称賛してしまう。
とはいえ、感心ばかりしているわけにはいかない。
とにかく倒さないことには先に進めないのだ。
そこでアリシアは、抗魔術を唱えた。
と言っても、そのままでは自立型のゴーレムにはほとんど効果は望めない。なにしろ魔術はあらかじめ埋め込まれているので、そこまで届かないのだ。
ただし、アリシアもそんなことは承知している。だから抗魔術だけでどうにかしようと思っているわけじゃない。
先ほどまで本当に人間のようにスムーズに動いていたゴーレムが、わずかに動きが乱れ始めた。電波状態が悪い中でラジコンでも動かしてるかのように、ギクシャクした動きになったのだ。
さりとて、それもあくまで『先ほどまでに比べれば』という程度の話でしかないが。
しかし、アリシアにはそれで十分だった。
動きが悪くなったゴーレムの攻撃など、彼女にはそれこそ当たらない。
何度も抗魔術を掛け続けるのは人間には非常に困難な作業ではあるものの、アリシアにとってはそこまでじゃない。
抗魔術を掛け続けゴーレムの動きを鈍らせつつ魔力を込めた剣の一撃で頭を削る。
地道ではあるものの、これが今は一番確実な方法でもある。
だが、その時、
「なんだこりゃ!? どうなってる!?」
「アリシア様!?」
アリシアの耳を打つ声。コデットとナニーニだった。
さすがに二人も、この騒動に目を覚ましたのだ。
しかしこの事態は、アリシアにとっては、困難であると同時に、実は幸運でもあった。
本当は二人を危険に曝したくなかったものの、正攻法では非常に時間がかかってしまうことも事実である。
けれど、
「コデット! このゴーレムの頭部に、石ではない小さな塊があるはずです! あなたのスティールでそれを奪い取ってください!!」
ためらうことなくそう指示した。
「え? あ、おう!」
コデットは戸惑いながらもすかさずそう返事をして、
「スティール!」
右手をゴーレムめがけて構えながら、叫んだ。
が、彼女の手にはなにも掴めていない。
失敗だ。<塊>の位置を見謝ってしまい、空振りだったのである。
けれどアリシアは慌てない。
「狙いが外れただけです! もう一度お願いします!」
すかさず改めて指示を出す。
だがそれに対してゴーレムもコデットが驚異であることを察知。彼女の方へと向かおうとする。
事態を察したナニーニも、コデットを守ろうとして、彼女の前に立ちふさがる。
そんな様子に、アリシアは、思わず微笑んだのだった。
『さすがですね……!』
思わず心の中で称賛してしまう。
とはいえ、感心ばかりしているわけにはいかない。
とにかく倒さないことには先に進めないのだ。
そこでアリシアは、抗魔術を唱えた。
と言っても、そのままでは自立型のゴーレムにはほとんど効果は望めない。なにしろ魔術はあらかじめ埋め込まれているので、そこまで届かないのだ。
ただし、アリシアもそんなことは承知している。だから抗魔術だけでどうにかしようと思っているわけじゃない。
先ほどまで本当に人間のようにスムーズに動いていたゴーレムが、わずかに動きが乱れ始めた。電波状態が悪い中でラジコンでも動かしてるかのように、ギクシャクした動きになったのだ。
さりとて、それもあくまで『先ほどまでに比べれば』という程度の話でしかないが。
しかし、アリシアにはそれで十分だった。
動きが悪くなったゴーレムの攻撃など、彼女にはそれこそ当たらない。
何度も抗魔術を掛け続けるのは人間には非常に困難な作業ではあるものの、アリシアにとってはそこまでじゃない。
抗魔術を掛け続けゴーレムの動きを鈍らせつつ魔力を込めた剣の一撃で頭を削る。
地道ではあるものの、これが今は一番確実な方法でもある。
だが、その時、
「なんだこりゃ!? どうなってる!?」
「アリシア様!?」
アリシアの耳を打つ声。コデットとナニーニだった。
さすがに二人も、この騒動に目を覚ましたのだ。
しかしこの事態は、アリシアにとっては、困難であると同時に、実は幸運でもあった。
本当は二人を危険に曝したくなかったものの、正攻法では非常に時間がかかってしまうことも事実である。
けれど、
「コデット! このゴーレムの頭部に、石ではない小さな塊があるはずです! あなたのスティールでそれを奪い取ってください!!」
ためらうことなくそう指示した。
「え? あ、おう!」
コデットは戸惑いながらもすかさずそう返事をして、
「スティール!」
右手をゴーレムめがけて構えながら、叫んだ。
が、彼女の手にはなにも掴めていない。
失敗だ。<塊>の位置を見謝ってしまい、空振りだったのである。
けれどアリシアは慌てない。
「狙いが外れただけです! もう一度お願いします!」
すかさず改めて指示を出す。
だがそれに対してゴーレムもコデットが驚異であることを察知。彼女の方へと向かおうとする。
事態を察したナニーニも、コデットを守ろうとして、彼女の前に立ちふさがる。
そんな様子に、アリシアは、思わず微笑んだのだった。
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