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ロボット主任、アリシアの細腕奮戦記
ネルディ・ナイバルク、深々と頭を下げる
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魔鱗2341-DSE(実験機)の全機能が失われ、回収用にロボット潜水艇から伸ばされたワイヤーが右腕に滅茶苦茶に絡み付きメキメキと音を立てていた。
このままではいつ魔鱗2341-DSE(実験機)の右腕がちぎれるか分からないので、カルキノス02と、もう一チームを編成していたロボットがそれぞれワイヤーを掴み、負荷が集中しないようにする。
そうして、ロボット潜水艇がゆっくりと後退し、魔鱗2341-DSE(実験機)達を現場から離脱させ、ワイヤーを巻き取った。
そのロボット潜水艇をよく見ると、ボディの一部がはがれていた。
と言ってもその下にはまた別のボディが見えるので、実は一番外の部分は、本体を隠すための<偽装ボディ>なのである。そして、最後に魔鱗2341-DSE(実験機)とカルキノス02を襲った<影>は、その剥がれ落ちた<偽装ボディ>の一部だった。
メンテナンスに不備があり、水流に耐え切れず剥がれ落ちてしまったのだ。
しかし軍は、それを知らせなかった。知らせなかったどころか、魔鱗2341-DSE(実験機)とカルキノス02を襲った漂流物がロボット潜水艇からはがれた部品であることを認めようとさえしなかった。
それでいて、
『目標の回収には失敗した』
ということで、<成功報酬>として用意されていた後金については支払わなかったのだという。
当然、ミッションに参加していた業者の中にはそれに対して抗議した者もいたが、千堂は、
「失敗したことは事実ですから」
として何も言わなかった。すると現場責任者だったネルディは、彼とディミトリスに対してだけは深々と頭を下げた。
ただし、何も言わなかったが。
彼女の立場では、報酬云々については何の権限もなかったからであった。
それでも、魔鱗2341-DSE(実験機)やカルキノス02が可能な限りの努力をしてくれたことだけは一緒にモニターを見ていて分かったので、せめてもの労いということで頭を下げてくれたのだろう。
千堂にはそれで十分だった。
それに、前金で支払われた分だけでも、必要経費は賄えている。成功報酬を得られなかったことで<利益>を出せなかったためにそれについてはJAPAN-2社に戻ってから責任を問われることになるだろうが、その辺りも覚悟の上なので特に気にしてなかった。
むしろ、アリシアの方が、
「すいませんでした……私がちゃんとできなかったから……」
早々に追い払われるようにして空母から乗り移った迎えの高速飛行艇の中で、千堂に詫びる。
けれど、千堂は言った。
「アリシアは頑張ったよ。私はそれを理解している。あれは決して君の所為じゃない」
すると一緒に乗り込んでいたディミトリスも、
「気にすんな。お嬢ちゃん。こういう仕事は当たればデカいがリスクもでかい。軍が絡んでるやつだとなおさらだ。今回はたまたま運がなかった。それだけだ。とっとと帰って忘れちまえ。
にしても嬢ちゃん、ロボットとは思えないくらい表情豊かだな。さすがはJAPAN-2社製ってことか?」
と屈託なく笑ったのだった。
このままではいつ魔鱗2341-DSE(実験機)の右腕がちぎれるか分からないので、カルキノス02と、もう一チームを編成していたロボットがそれぞれワイヤーを掴み、負荷が集中しないようにする。
そうして、ロボット潜水艇がゆっくりと後退し、魔鱗2341-DSE(実験機)達を現場から離脱させ、ワイヤーを巻き取った。
そのロボット潜水艇をよく見ると、ボディの一部がはがれていた。
と言ってもその下にはまた別のボディが見えるので、実は一番外の部分は、本体を隠すための<偽装ボディ>なのである。そして、最後に魔鱗2341-DSE(実験機)とカルキノス02を襲った<影>は、その剥がれ落ちた<偽装ボディ>の一部だった。
メンテナンスに不備があり、水流に耐え切れず剥がれ落ちてしまったのだ。
しかし軍は、それを知らせなかった。知らせなかったどころか、魔鱗2341-DSE(実験機)とカルキノス02を襲った漂流物がロボット潜水艇からはがれた部品であることを認めようとさえしなかった。
それでいて、
『目標の回収には失敗した』
ということで、<成功報酬>として用意されていた後金については支払わなかったのだという。
当然、ミッションに参加していた業者の中にはそれに対して抗議した者もいたが、千堂は、
「失敗したことは事実ですから」
として何も言わなかった。すると現場責任者だったネルディは、彼とディミトリスに対してだけは深々と頭を下げた。
ただし、何も言わなかったが。
彼女の立場では、報酬云々については何の権限もなかったからであった。
それでも、魔鱗2341-DSE(実験機)やカルキノス02が可能な限りの努力をしてくれたことだけは一緒にモニターを見ていて分かったので、せめてもの労いということで頭を下げてくれたのだろう。
千堂にはそれで十分だった。
それに、前金で支払われた分だけでも、必要経費は賄えている。成功報酬を得られなかったことで<利益>を出せなかったためにそれについてはJAPAN-2社に戻ってから責任を問われることになるだろうが、その辺りも覚悟の上なので特に気にしてなかった。
むしろ、アリシアの方が、
「すいませんでした……私がちゃんとできなかったから……」
早々に追い払われるようにして空母から乗り移った迎えの高速飛行艇の中で、千堂に詫びる。
けれど、千堂は言った。
「アリシアは頑張ったよ。私はそれを理解している。あれは決して君の所為じゃない」
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「気にすんな。お嬢ちゃん。こういう仕事は当たればデカいがリスクもでかい。軍が絡んでるやつだとなおさらだ。今回はたまたま運がなかった。それだけだ。とっとと帰って忘れちまえ。
にしても嬢ちゃん、ロボットとは思えないくらい表情豊かだな。さすがはJAPAN-2社製ってことか?」
と屈託なく笑ったのだった。
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