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第五幕

<死という破滅>

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<死という破滅>

人間はそれを恐れ、だからこそ<生まれ変わり>や<転生てんしょう>や<天国に至る道>や<極楽浄土>という概念を生み出してその恐怖を克服しようとしたんだよね? 

その中には、

『死ねば主の下に召される』

というものもある。『絶対的な存在の下に保護されて永遠に幸せになれる』というものということかな? だけどこの考え方には致命的な欠陥がある。それは、

『<絶対的な存在>なるものを人間の感覚では知覚できない以上、<どこかの誰かがでっちあげた絶対的な存在>を客観的に否定も肯定もできない』

という致命的な欠陥だ。そしてその<致命的な欠陥>をカルト宗教は利用する。それを論理的に客観的に証明できないのをいいことに、

<自分達にだけ都合のいい絶対的な存在>

を作り上げてそれを盲信することを求めてくるんだ。だけど、<死という破滅>や<抗い難い不幸>を恐れる人間は、自分の不安に<答>が示されるとそれに縋ってしまって、論理的客観的に考えることを放棄してしまうことがある。これによりカルト宗教の存続が果たされてしまう。

また他方では、オカルトを否定する立場であるはずの科学者が、この世界そのもの成り立ちを突き止めようとすると、その果てに何か神秘的な存在を感じてしまうということがあるらしいね。

でもね、科学者が解き明かそうとしている<世界の成り立ち>と<カルト宗教が掲げるオカルト>とは実際には相反するもののはずなんだ。科学者が口にする<神とでも表現するしかない存在>は、<カルト宗教が掲げる神>とはまったく別の概念なんだよ。あくまで『神とでも表現するしかない』からいかにも神秘的なもののように感じられるけど、それは結局、<物理的な状態・現象>のことでしかなくて、<神様という形>じゃないんだ。だけどカルト宗教は、

『神という絶対者が存在して人間はそれを肯定するために生きるべき』

ということを求めてくる。そのために寄付や献金を<信仰の証>として要求してきたりするんじゃないのかな?

もちろん、そういう形じゃないカルト宗教もあるんだろうけど、少なくとも寄付や献金を求めてくるようなカルト宗教が掲げる<神>は、科学者が科学の果てに見出してしまう<神とでも表現するしかない何か>とはまったく別のものだよ。

少し話が逸れてしまったようだけど、『<死という破滅>が結末として用意されているのならそこに至るまでいかにいい目を見るか』という考えそのものがカルト宗教を成立させていると考えれば、実はムジカ達の生き方と本質は同じものだと言えるだろうね。

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