532 / 697
第五幕
<死という破滅>
しおりを挟む
<死という破滅>
人間はそれを恐れ、だからこそ<生まれ変わり>や<転生>や<天国に至る道>や<極楽浄土>という概念を生み出してその恐怖を克服しようとしたんだよね?
その中には、
『死ねば主の下に召される』
というものもある。『絶対的な存在の下に保護されて永遠に幸せになれる』というものということかな? だけどこの考え方には致命的な欠陥がある。それは、
『<絶対的な存在>なるものを人間の感覚では知覚できない以上、<どこかの誰かがでっちあげた絶対的な存在>を客観的に否定も肯定もできない』
という致命的な欠陥だ。そしてその<致命的な欠陥>をカルト宗教は利用する。それを論理的に客観的に証明できないのをいいことに、
<自分達にだけ都合のいい絶対的な存在>
を作り上げてそれを盲信することを求めてくるんだ。だけど、<死という破滅>や<抗い難い不幸>を恐れる人間は、自分の不安に<答>が示されるとそれに縋ってしまって、論理的客観的に考えることを放棄してしまうことがある。これによりカルト宗教の存続が果たされてしまう。
また他方では、オカルトを否定する立場であるはずの科学者が、この世界そのもの成り立ちを突き止めようとすると、その果てに何か神秘的な存在を感じてしまうということがあるらしいね。
でもね、科学者が解き明かそうとしている<世界の成り立ち>と<カルト宗教が掲げるオカルト>とは実際には相反するもののはずなんだ。科学者が口にする<神とでも表現するしかない存在>は、<カルト宗教が掲げる神>とはまったく別の概念なんだよ。あくまで『神とでも表現するしかない』からいかにも神秘的なもののように感じられるけど、それは結局、<物理的な状態・現象>のことでしかなくて、<神様という形>じゃないんだ。だけどカルト宗教は、
『神という絶対者が存在して人間はそれを肯定するために生きるべき』
ということを求めてくる。そのために寄付や献金を<信仰の証>として要求してきたりするんじゃないのかな?
もちろん、そういう形じゃないカルト宗教もあるんだろうけど、少なくとも寄付や献金を求めてくるようなカルト宗教が掲げる<神>は、科学者が科学の果てに見出してしまう<神とでも表現するしかない何か>とはまったく別のものだよ。
少し話が逸れてしまったようだけど、『<死という破滅>が結末として用意されているのならそこに至るまでいかにいい目を見るか』という考えそのものがカルト宗教を成立させていると考えれば、実はムジカ達の生き方と本質は同じものだと言えるだろうね。
人間はそれを恐れ、だからこそ<生まれ変わり>や<転生>や<天国に至る道>や<極楽浄土>という概念を生み出してその恐怖を克服しようとしたんだよね?
その中には、
『死ねば主の下に召される』
というものもある。『絶対的な存在の下に保護されて永遠に幸せになれる』というものということかな? だけどこの考え方には致命的な欠陥がある。それは、
『<絶対的な存在>なるものを人間の感覚では知覚できない以上、<どこかの誰かがでっちあげた絶対的な存在>を客観的に否定も肯定もできない』
という致命的な欠陥だ。そしてその<致命的な欠陥>をカルト宗教は利用する。それを論理的に客観的に証明できないのをいいことに、
<自分達にだけ都合のいい絶対的な存在>
を作り上げてそれを盲信することを求めてくるんだ。だけど、<死という破滅>や<抗い難い不幸>を恐れる人間は、自分の不安に<答>が示されるとそれに縋ってしまって、論理的客観的に考えることを放棄してしまうことがある。これによりカルト宗教の存続が果たされてしまう。
また他方では、オカルトを否定する立場であるはずの科学者が、この世界そのもの成り立ちを突き止めようとすると、その果てに何か神秘的な存在を感じてしまうということがあるらしいね。
でもね、科学者が解き明かそうとしている<世界の成り立ち>と<カルト宗教が掲げるオカルト>とは実際には相反するもののはずなんだ。科学者が口にする<神とでも表現するしかない存在>は、<カルト宗教が掲げる神>とはまったく別の概念なんだよ。あくまで『神とでも表現するしかない』からいかにも神秘的なもののように感じられるけど、それは結局、<物理的な状態・現象>のことでしかなくて、<神様という形>じゃないんだ。だけどカルト宗教は、
『神という絶対者が存在して人間はそれを肯定するために生きるべき』
ということを求めてくる。そのために寄付や献金を<信仰の証>として要求してきたりするんじゃないのかな?
もちろん、そういう形じゃないカルト宗教もあるんだろうけど、少なくとも寄付や献金を求めてくるようなカルト宗教が掲げる<神>は、科学者が科学の果てに見出してしまう<神とでも表現するしかない何か>とはまったく別のものだよ。
少し話が逸れてしまったようだけど、『<死という破滅>が結末として用意されているのならそこに至るまでいかにいい目を見るか』という考えそのものがカルト宗教を成立させていると考えれば、実はムジカ達の生き方と本質は同じものだと言えるだろうね。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
甘灯の思いつき短編集
甘灯
キャラ文芸
作者の思いつきで書き上げている短編集です。 (現在16作品を掲載しております)
※本編は現実世界が舞台になっていることがありますが、あくまで架空のお話です。フィクションとして楽しんでくださると幸いです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
貸本屋七本三八の譚めぐり ~実井寧々子の墓標~
茶柱まちこ
キャラ文芸
時は大昌十年、東端の大国・大陽本帝国(おおひのもとていこく)屈指の商人の町・『棚葉町』。
人の想い、思想、経験、空想を核とした書物・『譚本』だけを扱い続ける異端の貸本屋・七本屋を中心に巻き起こる譚たちの記録――第二弾。
七本屋で働く19歳の青年・菜摘芽唯助(なつめいすけ)は作家でもある店主・七本三八(ななもとみや)の弟子として、日々成長していた。
国をも巻き込んだ大騒動も落ち着き、平穏に過ごしていたある日、
七本屋の看板娘である音音(おとね)の前に菅谷という謎の男が現れたことから、六年もの間封じられていた彼女の譚は動き出す――!
瑠菜の生活日記
白咲 神瑠
キャラ文芸
大好きで尊敬している師匠コムが急に蒸発して死んだのだと周りから言われる瑠菜。それを認めることはできず、コムは生きているんだと信じているが、見つけなければ信じ続けることもできない。
そんなことを考えていたある日、瑠菜の弟子になりたいという少女サクラが現れる。瑠菜は弟子を作ることを考えたこともなかったが、しつこいサクラを自分と重ねてしまいサクラを弟子にする。
サクラの失敗や、恋愛というより道をしながらも、コムを見つけるために瑠菜はコムがいなくなった裏側を探る。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
声劇台本置き場
ツムギ
キャラ文芸
望本(もちもと)ツムギが作成したフリーの声劇台本を投稿する場所になります。使用報告は要りませんが、使用の際には、作者の名前を出して頂けたら嬉しいです。
台本は人数ごとで分けました。比率は男:女の順で記載しています。キャラクターの性別を変更しなければ、演じる方の声は男女問いません。詳細は本編内の上部に記載しており、登場人物、上演時間、あらすじなどを記載してあります。
詳しい注意事項に付きましては、【ご利用の際について】を一読して頂ければと思います。(書いてる内容は正直変わりません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる