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第五幕
親の狡い考え方が緩和されれば
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子供に承諾も取らずにこの世に送り出しておいて『生んでやった』『育ててやった』という狡い考え方をする限り、<狡い人間>はいなくならないだろうし、<狡い人間こそが得をする社会>も改まることはないと思う。自分が生まれた直後にそういう狡い考え方を押し付けられるんだからね。
逆を言えば、親の狡い考え方が緩和されれば、いくらかは和らいでいくだろうけど。
悠里や安和や椿のように。
僕はもちろん、アオも三人に対して狡い考え方を押し付けないから。さくらも同じ。だから恵莉花も秋生もそういう狡い考え方は基本的にしないんだ。
けれど、この国においては、それこそ、
『狡くなければ生き残れない』
というほどの社会になってしまっている。そこで生まれ育ったムジカに、
『他者を欺き金品を奪い取る』
ことへの罪悪感が乏しくてもなにも不思議じゃないと思うよ。でも、だからと言って、
『そんな国は核ミサイルで焼き払ってこの世界から消してしまえばいい』
なんていう考え方を持って、ましてやそれを実行しようとするような国は、<魔王を討伐した後の勇者>と同じく危険な存在でしかない。『生んでやった』『育ててやった』という狡い考え方をする親の下で育った人間が権力を握っている国である以上、やっぱり狡いことをするだろうからね。
いわゆる<大国>と呼ばれる国が<狡いこと>をしていない例が、この地球上にある?
あくまで程度の差が多少あるだけで、本質的には狡いことをしているんじゃないのかな。立場の弱い国から不平等な条件で資源を買い叩いたり、軍事的な盾に使ったり、自分達にばかり有利な条件で協定や条約を結ばせたり。
なぜそんな狡いことが当たり前にできてしまうのか、よく考えるべきだと思う。貧しい国だとそれに加えて『生きていく』だけでもままならない場合があるから、なお一層、『狡くなくちゃ生きられない』という状況もあるしね。大国相手には正面切って歯向かえなくても、『支援を一方的にもらうだけもらって見返りは用意しない』とか、そういう形での狡さを発揮する場合もあると思う。
そしてこの国も、そうやって近隣の国から支援をしてもらって、でも何も返さないということを何十年も続けてるそうだ。
むしろそんな風に一方的に支援を引き出していることを誇ってさえいる面もある。
『お人好しな国から自分達は支援を引き出すことができている』
と言ってね。
これが、生まれた瞬間から<狡い大人の振る舞い>を見て育った人間達が作った国だよ。
逆を言えば、親の狡い考え方が緩和されれば、いくらかは和らいでいくだろうけど。
悠里や安和や椿のように。
僕はもちろん、アオも三人に対して狡い考え方を押し付けないから。さくらも同じ。だから恵莉花も秋生もそういう狡い考え方は基本的にしないんだ。
けれど、この国においては、それこそ、
『狡くなければ生き残れない』
というほどの社会になってしまっている。そこで生まれ育ったムジカに、
『他者を欺き金品を奪い取る』
ことへの罪悪感が乏しくてもなにも不思議じゃないと思うよ。でも、だからと言って、
『そんな国は核ミサイルで焼き払ってこの世界から消してしまえばいい』
なんていう考え方を持って、ましてやそれを実行しようとするような国は、<魔王を討伐した後の勇者>と同じく危険な存在でしかない。『生んでやった』『育ててやった』という狡い考え方をする親の下で育った人間が権力を握っている国である以上、やっぱり狡いことをするだろうからね。
いわゆる<大国>と呼ばれる国が<狡いこと>をしていない例が、この地球上にある?
あくまで程度の差が多少あるだけで、本質的には狡いことをしているんじゃないのかな。立場の弱い国から不平等な条件で資源を買い叩いたり、軍事的な盾に使ったり、自分達にばかり有利な条件で協定や条約を結ばせたり。
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むしろそんな風に一方的に支援を引き出していることを誇ってさえいる面もある。
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