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第四幕

教わっていればこその話

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そう。

『親がどんなのでも子供が努力すれば這い上がれる』

なんていうのは、努力をしない怠け者の親が、自身のその行いを有耶無耶にするための言葉だよね? それを恥ずかしいと思わない親というのは、どういうことなの?

『配られたカードでどうにかするしかない』

という言葉もよく使われるけど、それもあくまで、

<配られたカードの使い方>

を教わっていればこその話だよね? ブラックジャックのルールも教わらずにブラックジャックで勝負しろと言われて、どうにかできるの? しかも<クレイジーエイト>というカードゲームにも<ブラックジャック>と呼ばれるものがあるけど、カジノとかで有名なブラックジャックのルールを知ってても、そっちのでは勝負できないよ?

『その場で教わればいい!』

って言うかもしれないけど、それ自体、相手が親切にもその時になってルールを教えてくれるという発想だよね? 世の中はそんなに甘くなかったりもするよ? だって相手からすれば勝負さえできずに負けてくれる方がありがたいからね。

『親がどんなのでも子供が努力すれば這い上がれる』

『配られたカードでどうにかするしかない』

そのどちらも、親が努力しないでいい根拠にはならないよ? ましてや、好ましくない親の振る舞いを免責してくれるわけじゃない。

どうしてその事実から目を背けようとするの?

自分では努力せず、親や環境や境遇の所為にして何もしない人間も確かにいるんだろうね。だけどそういう人間は、結局、

<努力している親の姿>

というものを実感できる形で見てこなかったから、できないんじゃないの。

加えて、

『子供は親を超えることを目指すべき』

なんてことを言ってる人間もいるけど、おかしいなあ。それなら、歴史上の偉人の子孫は、皆、祖先以上の功績を残していないとおかしいはずだけどな。だけど、人間自身、千年前の人間に比べてそんなに優秀になっていると言えるの? どうやってそれを証明するの?

知識なら確かに増えているかもしれないけど、体力面や気迫といった面ではむしろ衰えているんじゃないのかな?

だから、『子供は親を超えることを目指すべき』なんていうのも、ただの詭弁だよね。

『親は結婚して子供を作ったんだから、子供がそれをしないのは親より劣ってる証拠だ』

みたいなことを言う人間もいるけど、ネット上に溢れている<夫婦の愚かしい軋轢>を見ているだけでも、

『親が子供より優れている』

証拠になんてならないと思うけどな。むしろそんな結末を回避できなかったのなら、それは『劣っている』からじゃないのかな? それをあらかじめ回避するために結婚もしない子供も作らないというのなら、逆に危機管理能力が高いと言えるんじゃないの?

少なくともネット上に溢れてる<夫婦の愚かしい軋轢>がなくならないかぎり、

『親の方が優れてる』

という話にはならないだろうね。

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