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第四幕

イジメをなくす努力

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アオは続ける。

「でも、だからこそ、親は自分の子供のことをちゃんと見なきゃいけないと思うんだ。その『子供をちゃんと見る』ってのを『過保護だ!』とか言ってやらずに済むように持っていこうとしてるのもいるけど、『ちゃんと見る』のと『過度に干渉する』ってのは違うから。そこを混同して、『子供をちゃんと見るとかめんどくさいことしたくないから過保護って話にしてやらずに済むようにしたい』って甘えが見え見えじゃん。

あとさ、『イジメられたと虚偽の申告をして誰かを学校に来させないようにする』ってのは、それ、<偽計業務妨害>ってことになりそうな気がするんだよね。学校に対して虚偽の申告をして正当な業務を妨げるってことでさ。だとしたらそれ、立派な<犯罪>だよね。ありもしないイジメに対処させようとしてるわけだし。まあ、『イジメが実際にあるかどうかを確認する』のは学校の業務の一つかもしれないけどさ。だからって虚偽の事実で必要のない業務を行わせようなんて、嘘の爆破予告とか殺人予告で警備体制を強化させるのと同じだと思うんだけどな。

とにかく、そういう嘘を見抜けるかどうかってのは、普段の子供の様子をちゃんと見てるかどうかにかかってくると思うんだ。

私は、悠里ユーリ達が『イジメをしてる』って言われても『嘘だ!』って自信を持って言えるけど、普段の子供の様子を見てない親がそれを言えるとは思えない。だって、普段の様子を知らないんでしょ? だったら自分の子供が隠れて何かしてたって分かんないじゃん。そういうことなんだよ。

もし、悠里ユーリ達が誰かから『イジメられた!』って言われたとしたら、じっくり話をするために一日二日休ませることはあるかもしれないけど、それくらいなら風邪ひいただけでも有り得るレベルだし、問題ないと思う。それでやっぱりイジメなんかしてないって思ったら、『そんなのは嘘です』って主張するよ。んでもって相手の出方を窺う。ここで相手側が冷静な対応をしないとなったら、それは何か後ろめたいことがあるからって話だろうしさ。

だけどそうするためにもこうやって普段から悠里達と話をして、お互いに何を考えてるかってのを知るんだよ。それを怠ってる親が何を偉そうに言ったって私は信用しない。

それにさ、こうやって思ってることを素直に話し合ってたらさ、不平とか不満とかも把握できるじゃん。そうして不平とか不満とかに対処していけば、別に他所様のお子さんに八つ当たりする必要もなくなるじゃん。<イジメをなくす努力>ってのは、こういうことでしょ?」

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