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第二幕
秋生の日常 その3
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汐見美登菜の思い付きで始まった<青春ラブコメハーレムごっこ>だったが、<ごっこ>であったからこそ意外なほどに上手くいっていた。
お互いにムキになりすぎないように、入れ込み過ぎないようにしているからだろう。
ただの<ごっこ>なのだから、楽しくしないといけないという。
それでいて、形の上では<ハーレム>でもあるので、秋生とも親しくできる。親しくなりたかったのは元々の本心だったというのもある。
もっとも、秋生としては一方的に付き合わされて、迷惑とまでは言わないものの、正直なところ、
『やれやれ…』
とも思っていた。
家族なら距離感も掴めているし、何より恋愛感情のようなものがないからすごく楽なのに、麗美阿も美登菜も美織も、
「ごっこだから」
とは言いつつ、本心では秋生に想いを寄せていることが察せられてしまって、それが少々重荷でもあった。
しかし同時に、<ごっこ>だからということで一線は引こうとしてるのも分かるし、その辺りで気遣いはしてくれてるのも伝わってくるので、無下にもできない。
そういう心理的なあれこれが煩わしくて、
『他人と一緒に暮らす』
すなわち<結婚>が煩わしいと秋生が思ってしまう原因の一つになっているかもしれない。
『僕は結婚はいいや……』
と思ってしまうのだ。
自分の実の家族と、ほぼ家族同然の蒼井家の人達さえいれば、寂しくもない。
家のことは、炊事も洗濯も掃除もするし、苦にならない。
それで十分だった。
『吉祥さんも汐見さんも市川さんも、ただの友達としてならいいんだけどな……』
というのが正直な気持ち。
しかしそんな秋生の気持ちを知ってか知らずか、三人は、
<青春の一ページ>
を満喫しているようでもある。
で、今回、
『ちょっと手伝ってほしい』
と麗美阿が言ったのは、OBから寄贈された蔵書の整理だった。
読書部として図書室にいると美登菜と美織も来てしまい、そんなに『五月蠅く』するわけではないものの、三人が秋生を取り囲んで仲良くしている光景は、周囲の人間には『煩く』感じられるらしく何とも言えない微妙な空気になってしまうので、いつしか秋生は部活には顔を出さない<幽霊部員>になってしまっていた。
それでも、麗美阿が図書委員であることで、頼まれれば手伝いくらいはする。
三人は独自に<正妻の日>を決めていて、その中で麗美阿が正妻ということになる日には、二人で本の整理をするというのがいつもの過ごし方だった。その日には美登菜と美織も遠慮してくれるというのもある。
けれど今回は、さすがに麗美阿一人では手に負えない状態だったので、美登菜が正妻の日だとは分かっていたものの、麗美阿としてもやむを得ず助けを求めたのだった。
お互いにムキになりすぎないように、入れ込み過ぎないようにしているからだろう。
ただの<ごっこ>なのだから、楽しくしないといけないという。
それでいて、形の上では<ハーレム>でもあるので、秋生とも親しくできる。親しくなりたかったのは元々の本心だったというのもある。
もっとも、秋生としては一方的に付き合わされて、迷惑とまでは言わないものの、正直なところ、
『やれやれ…』
とも思っていた。
家族なら距離感も掴めているし、何より恋愛感情のようなものがないからすごく楽なのに、麗美阿も美登菜も美織も、
「ごっこだから」
とは言いつつ、本心では秋生に想いを寄せていることが察せられてしまって、それが少々重荷でもあった。
しかし同時に、<ごっこ>だからということで一線は引こうとしてるのも分かるし、その辺りで気遣いはしてくれてるのも伝わってくるので、無下にもできない。
そういう心理的なあれこれが煩わしくて、
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すなわち<結婚>が煩わしいと秋生が思ってしまう原因の一つになっているかもしれない。
『僕は結婚はいいや……』
と思ってしまうのだ。
自分の実の家族と、ほぼ家族同然の蒼井家の人達さえいれば、寂しくもない。
家のことは、炊事も洗濯も掃除もするし、苦にならない。
それで十分だった。
『吉祥さんも汐見さんも市川さんも、ただの友達としてならいいんだけどな……』
というのが正直な気持ち。
しかしそんな秋生の気持ちを知ってか知らずか、三人は、
<青春の一ページ>
を満喫しているようでもある。
で、今回、
『ちょっと手伝ってほしい』
と麗美阿が言ったのは、OBから寄贈された蔵書の整理だった。
読書部として図書室にいると美登菜と美織も来てしまい、そんなに『五月蠅く』するわけではないものの、三人が秋生を取り囲んで仲良くしている光景は、周囲の人間には『煩く』感じられるらしく何とも言えない微妙な空気になってしまうので、いつしか秋生は部活には顔を出さない<幽霊部員>になってしまっていた。
それでも、麗美阿が図書委員であることで、頼まれれば手伝いくらいはする。
三人は独自に<正妻の日>を決めていて、その中で麗美阿が正妻ということになる日には、二人で本の整理をするというのがいつもの過ごし方だった。その日には美登菜と美織も遠慮してくれるというのもある。
けれど今回は、さすがに麗美阿一人では手に負えない状態だったので、美登菜が正妻の日だとは分かっていたものの、麗美阿としてもやむを得ず助けを求めたのだった。
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