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第二幕
類は友を呼ぶ
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『<冠井迅>のような男子』
『<山下羽楼>や<藤木一紅>のような女子』
というのはやや極端な例だとしても、アオは言う。
「この世には、<完璧な人間>なんていないよ。だからって、自分の周りに<完璧な人間の完成品>がいないからって、嘆くのはおかしいと思う。
だってさ、そう言って嘆いてる自分がもう<完璧>じゃないじゃん?
私は自分が完璧な人間だなんて一ミリも思ってないよ。
さくらだってそれは同じ。私達は、不完全で駄目な部分があるのを、お互いに補い合ってきただけなんだ。だから今がある。
ミハエルに出逢う以前に、私は、さくらと出逢ってたんだよ。そのおかげで、人間に絶望せずに済んだ。
それまでにも、私を小説の道に導いてくれた作品をこの世に送り出してくれた作者がいてくれたからこそ私がいるんだ。
ただ、その作者さん、作品は素晴らしいんだけど本人の人間としての評価は割とアレでさ。作家本人の人間性と作品の質は必ずしも一致しないんだなあというのも教えてくれたね。
だけど逆に、そのおかげで私もダメな人間でありつつこうやって仕事を続けてられるっていうのもあるんだ。
<完璧な人間>はいない。いないけど、<お互いを高め合っていける相手>っていうのは、実はいるんだよ。
結婚とかそういう狭い話じゃなく、ある種の<パートナー>って言える人間は確かにいるんだ。そういう相手に巡り会えれば、それでもし相手が異性で、お互いの気持ちが噛み合えば、結婚だってしていいと思うんだよ。
まあ、言うほど簡単じゃないのも事実だけどさ。
だけど、『類は友を呼ぶ』って言葉もあるくらい、<他人を貶すんじゃなく自分を高めていこうとしてる人間>の前には同じタイプが現れる可能性が高くなるのも事実だと思うんだよね。
他人を罵って貶して攻撃するような人間の周りにはさ、そういうタイプが集まってくるんだよ」
アオのその言葉には、恵莉花や秋生も、そして椿も、思い当たる節があった。
つるむのも似たようなタイプだし、そしてやたらと衝突するのも同じようなタイプだという実感がある。
学校での人間関係を見ているだけでも。
椿にとっての<山下羽楼>や<藤木一紅>の例が特に分かりやすいだろうか。
そして、恵莉花や秋生も、それと似たような事例は散々見てきた。
結局、似たような人間同士が強く関わりあうのだと。
しかし、それに対しても、恵莉花は敢えて問うた。
「だけど、椿は、冠井とかいうのに付きまとわれたりしたんだよね? それについてはどうなの? これは『類は友を呼ぶ』っていうのとは違うよね?」
『<山下羽楼>や<藤木一紅>のような女子』
というのはやや極端な例だとしても、アオは言う。
「この世には、<完璧な人間>なんていないよ。だからって、自分の周りに<完璧な人間の完成品>がいないからって、嘆くのはおかしいと思う。
だってさ、そう言って嘆いてる自分がもう<完璧>じゃないじゃん?
私は自分が完璧な人間だなんて一ミリも思ってないよ。
さくらだってそれは同じ。私達は、不完全で駄目な部分があるのを、お互いに補い合ってきただけなんだ。だから今がある。
ミハエルに出逢う以前に、私は、さくらと出逢ってたんだよ。そのおかげで、人間に絶望せずに済んだ。
それまでにも、私を小説の道に導いてくれた作品をこの世に送り出してくれた作者がいてくれたからこそ私がいるんだ。
ただ、その作者さん、作品は素晴らしいんだけど本人の人間としての評価は割とアレでさ。作家本人の人間性と作品の質は必ずしも一致しないんだなあというのも教えてくれたね。
だけど逆に、そのおかげで私もダメな人間でありつつこうやって仕事を続けてられるっていうのもあるんだ。
<完璧な人間>はいない。いないけど、<お互いを高め合っていける相手>っていうのは、実はいるんだよ。
結婚とかそういう狭い話じゃなく、ある種の<パートナー>って言える人間は確かにいるんだ。そういう相手に巡り会えれば、それでもし相手が異性で、お互いの気持ちが噛み合えば、結婚だってしていいと思うんだよ。
まあ、言うほど簡単じゃないのも事実だけどさ。
だけど、『類は友を呼ぶ』って言葉もあるくらい、<他人を貶すんじゃなく自分を高めていこうとしてる人間>の前には同じタイプが現れる可能性が高くなるのも事実だと思うんだよね。
他人を罵って貶して攻撃するような人間の周りにはさ、そういうタイプが集まってくるんだよ」
アオのその言葉には、恵莉花や秋生も、そして椿も、思い当たる節があった。
つるむのも似たようなタイプだし、そしてやたらと衝突するのも同じようなタイプだという実感がある。
学校での人間関係を見ているだけでも。
椿にとっての<山下羽楼>や<藤木一紅>の例が特に分かりやすいだろうか。
そして、恵莉花や秋生も、それと似たような事例は散々見てきた。
結局、似たような人間同士が強く関わりあうのだと。
しかし、それに対しても、恵莉花は敢えて問うた。
「だけど、椿は、冠井とかいうのに付きまとわれたりしたんだよね? それについてはどうなの? これは『類は友を呼ぶ』っていうのとは違うよね?」
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