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ガッツリと食べることに
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「そうか、それはよかった…!」
翌日は土曜日だったことで、恵莉花と秋生が蒼井家に遊びに来て、ビデオ通話越しに、さくらとエンディミオンが久しぶりに一緒にお風呂に入ってゆっくりと二人の時間を過ごせたという報告を受け、ミハエルがホッとしたように声を上げた。
「だよね~、私もホッとしたよ~♡」
アオも、恵莉花と秋生、椿と一緒に画面を覗き込みながら嬉しそうに言う。
「よかったね、恵莉花、秋生!」
ミハエルの隣では、悠里と安和も笑顔だった。
さくらとエンディミオンが仲良くできていたら皆が嬉しい。
なにしろ、悠里や安和と違って、エンディミオンは迷信に虐げられてきたことでまさに迷信通りの怪物と化したダンピールだったのだから。
さくらとエンディミオンの関係が改善されたことで一安心となり、ミハエル達は改めてカナダでの生活を満喫することになった。
そこで今日は、四人での食事だ。
まずは、ホテルの近くにあったステーキレストランに訪れる。
「お~! いい匂い♡」
安和はレストランの近くに来ただけでそう声を上げる。
「美味しそうだ」
悠里も笑顔になる。
ダンピールであるエンディミオンも、肉、特に血が滴るような肉が好きだったが、この辺りは吸血鬼やダンピールの、『血を欲する』習性が影響してるのだろう。
加えて、その身体能力を発揮するには膨大なエネルギーが必要になる。土が豊富にある場所でならそこからエネルギーを受けることもできるものの、コンクリートとアスファルトに覆われた人間の街となるとそれも十分ではないので、食事によって補う必要も出てくる。
そんなわけで、今日のところはガッツリと食べることにした。
ただし、一ヶ所で満足するまで食べるとまるでフードファイターのような食べ方になり目立ってしまうので、何ヶ所かに分けてという予定にしている。
で、最初のステーキレストランで、セルゲイは大人用の特大サイズを、ミハエルと子供達は普通の大人サイズの骨付きサーロインステーキを注文した。
「Oh…!」
幼い子供を連れた美麗な男性がしたその注文に、ウェイティングスタッフが思わず声を漏らす。まあ、無理もない。大人でも満足できるようにたっぷりとした食い応えがあるそれを、幼い子供が食べようというのだから。
この時点で十分に目立ってしまってはいるものの、これくらいならまあ大丈夫というのは経験から来る判断だった。
「あはは! 美味しそう♡」
運ばれてきた骨付きサーロインステーキに、安和が嬉しそうに声を上げる。
なお、カナダでは基本的にチップの習慣があり、セルゲイがウェイティングスタッフに慣れた様子で渡している。ちゃんとチップを渡すかどうかでスタッフの態度がまったく違ってしまうこともあるので、そういうことについても子供達には学んでもらおうという意図もあって、こうして積極的に出掛けていた。
「いただきま~す!」
悠里と安和は日本で生まれ育ったこともあり、意識しないと日本語が出る。この時も二人は日本語で『いただきます』と言った。
すると、他のテーブルで食事をしていた女性がハッとした様子でミハエル達を見た。
どうやら日本人のようだ。不意に日本語が聞こえて、しかもそれを発したのがプラチナブロンドの白人男性の子供らしき幼児で、加えて完全にネイティブな発音の日本語だったことで驚いてしまっていたのだった。
翌日は土曜日だったことで、恵莉花と秋生が蒼井家に遊びに来て、ビデオ通話越しに、さくらとエンディミオンが久しぶりに一緒にお風呂に入ってゆっくりと二人の時間を過ごせたという報告を受け、ミハエルがホッとしたように声を上げた。
「だよね~、私もホッとしたよ~♡」
アオも、恵莉花と秋生、椿と一緒に画面を覗き込みながら嬉しそうに言う。
「よかったね、恵莉花、秋生!」
ミハエルの隣では、悠里と安和も笑顔だった。
さくらとエンディミオンが仲良くできていたら皆が嬉しい。
なにしろ、悠里や安和と違って、エンディミオンは迷信に虐げられてきたことでまさに迷信通りの怪物と化したダンピールだったのだから。
さくらとエンディミオンの関係が改善されたことで一安心となり、ミハエル達は改めてカナダでの生活を満喫することになった。
そこで今日は、四人での食事だ。
まずは、ホテルの近くにあったステーキレストランに訪れる。
「お~! いい匂い♡」
安和はレストランの近くに来ただけでそう声を上げる。
「美味しそうだ」
悠里も笑顔になる。
ダンピールであるエンディミオンも、肉、特に血が滴るような肉が好きだったが、この辺りは吸血鬼やダンピールの、『血を欲する』習性が影響してるのだろう。
加えて、その身体能力を発揮するには膨大なエネルギーが必要になる。土が豊富にある場所でならそこからエネルギーを受けることもできるものの、コンクリートとアスファルトに覆われた人間の街となるとそれも十分ではないので、食事によって補う必要も出てくる。
そんなわけで、今日のところはガッツリと食べることにした。
ただし、一ヶ所で満足するまで食べるとまるでフードファイターのような食べ方になり目立ってしまうので、何ヶ所かに分けてという予定にしている。
で、最初のステーキレストランで、セルゲイは大人用の特大サイズを、ミハエルと子供達は普通の大人サイズの骨付きサーロインステーキを注文した。
「Oh…!」
幼い子供を連れた美麗な男性がしたその注文に、ウェイティングスタッフが思わず声を漏らす。まあ、無理もない。大人でも満足できるようにたっぷりとした食い応えがあるそれを、幼い子供が食べようというのだから。
この時点で十分に目立ってしまってはいるものの、これくらいならまあ大丈夫というのは経験から来る判断だった。
「あはは! 美味しそう♡」
運ばれてきた骨付きサーロインステーキに、安和が嬉しそうに声を上げる。
なお、カナダでは基本的にチップの習慣があり、セルゲイがウェイティングスタッフに慣れた様子で渡している。ちゃんとチップを渡すかどうかでスタッフの態度がまったく違ってしまうこともあるので、そういうことについても子供達には学んでもらおうという意図もあって、こうして積極的に出掛けていた。
「いただきま~す!」
悠里と安和は日本で生まれ育ったこともあり、意識しないと日本語が出る。この時も二人は日本語で『いただきます』と言った。
すると、他のテーブルで食事をしていた女性がハッとした様子でミハエル達を見た。
どうやら日本人のようだ。不意に日本語が聞こえて、しかもそれを発したのがプラチナブロンドの白人男性の子供らしき幼児で、加えて完全にネイティブな発音の日本語だったことで驚いてしまっていたのだった。
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