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都合よく何かが起こる
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アオは言う。
「何て言うかさ、世間じゃ<ご都合主義>って言葉が独り歩きしてるけど、それって、たとえ登場人物にとって都合の悪い事件であっても、『なにかが起こってそれで物語を動かす』のは、それ自体がご都合主義だよね。都合よく物語が動く事件が起こるなんてさ。
現実にはそんな風に場を盛り挙げる事件とか出来事なんてそうそう起こらないじゃん? それが都合よく起こるんだから、これのどこが『ご都合主義じゃない』って言うの?
だから、『都合よく何かが起こる』っていうこと自体が<物語の本質>なんだよ。それを、どの程度の匙加減にするかってだけの話。
しかもその匙加減自体が、人それぞれで好みが違う。違うから、同じ物語を見ててもそれを『面白い』と感じる人と『つまらない』と感じる人がいるんだよ。
自分の好みを基準にして他人が面白いと感じてるものをわざわざ貶す人って、嫌われるんだよね。<○○警察>とか呼ばれたりしてさ。
特にフィクションにおいて『リアルか、リアルじゃないか』っていうのは論じること自体がナンセンスだと私は思ってる。
だって、フィクションなんだから。『都合よく物語を動かす出来事が起こる』っていう時点でもうリアルじゃないよ。
あと、商業ベースのものは商売として利益が見込めるものでないと形にはしてもらえない。一部の読者や視聴者が『こうすれば面白い!』って声を上げたって、それが売れる見込みがなくちゃ通らないんだよね。
たとえば、少年誌一つとっても、少年誌の購買層の大部分が求めてる演出や展開っていうものがあるんだ。それに合致しないものは、通らない。
私の作品がさくらからボツを喰らうのもそれだよ。商売は慈善事業じゃない。売れなきゃただの不良在庫なんだ。
私もね、分かってるんだよ。さすがにキャリアもそれなりだしさ。でも、さくらは、私がいくつものボツの中からでも使えるものを作るから、好き勝手させてくれてるんだ。だけど好き勝手させてもらえるからこそ、OKが出るものと出ないものとの違いがなんとなく分かってきたんだよね。
それでも、書きたいものを書きたい。創作者としてはその想いもある。商業プロってのは、いつだってその綱引きなんだ。
で、<ショタ吸血鬼セルゲイ異聞シリーズ>は現在のドル箱だからさ。その辺りはわきまえないといけないんだよ~」
いつもはさくらに対して『好き勝手書かせろ!』みたいなことを口走っている母親も本当はそれを分かっていて、その上でさくらに対しては本音をぶちまけていることを改めて感じて、
『ホントに仲がいいんだな』
と思わされたのだった。
「何て言うかさ、世間じゃ<ご都合主義>って言葉が独り歩きしてるけど、それって、たとえ登場人物にとって都合の悪い事件であっても、『なにかが起こってそれで物語を動かす』のは、それ自体がご都合主義だよね。都合よく物語が動く事件が起こるなんてさ。
現実にはそんな風に場を盛り挙げる事件とか出来事なんてそうそう起こらないじゃん? それが都合よく起こるんだから、これのどこが『ご都合主義じゃない』って言うの?
だから、『都合よく何かが起こる』っていうこと自体が<物語の本質>なんだよ。それを、どの程度の匙加減にするかってだけの話。
しかもその匙加減自体が、人それぞれで好みが違う。違うから、同じ物語を見ててもそれを『面白い』と感じる人と『つまらない』と感じる人がいるんだよ。
自分の好みを基準にして他人が面白いと感じてるものをわざわざ貶す人って、嫌われるんだよね。<○○警察>とか呼ばれたりしてさ。
特にフィクションにおいて『リアルか、リアルじゃないか』っていうのは論じること自体がナンセンスだと私は思ってる。
だって、フィクションなんだから。『都合よく物語を動かす出来事が起こる』っていう時点でもうリアルじゃないよ。
あと、商業ベースのものは商売として利益が見込めるものでないと形にはしてもらえない。一部の読者や視聴者が『こうすれば面白い!』って声を上げたって、それが売れる見込みがなくちゃ通らないんだよね。
たとえば、少年誌一つとっても、少年誌の購買層の大部分が求めてる演出や展開っていうものがあるんだ。それに合致しないものは、通らない。
私の作品がさくらからボツを喰らうのもそれだよ。商売は慈善事業じゃない。売れなきゃただの不良在庫なんだ。
私もね、分かってるんだよ。さすがにキャリアもそれなりだしさ。でも、さくらは、私がいくつものボツの中からでも使えるものを作るから、好き勝手させてくれてるんだ。だけど好き勝手させてもらえるからこそ、OKが出るものと出ないものとの違いがなんとなく分かってきたんだよね。
それでも、書きたいものを書きたい。創作者としてはその想いもある。商業プロってのは、いつだってその綱引きなんだ。
で、<ショタ吸血鬼セルゲイ異聞シリーズ>は現在のドル箱だからさ。その辺りはわきまえないといけないんだよ~」
いつもはさくらに対して『好き勝手書かせろ!』みたいなことを口走っている母親も本当はそれを分かっていて、その上でさくらに対しては本音をぶちまけていることを改めて感じて、
『ホントに仲がいいんだな』
と思わされたのだった。
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