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びっくりするくらい
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そんなこんなで、悠里を少し怯えさせてしまったものの、それでも、経産婦だったからか、安和の出産は実にスムーズだった。
なにしろ、<子宮口全開>からわずか三時間で生まれたから。
「いや~、びっくりするくらいすぐ生まれたね」
とはアオ自身の感想。
悠里の時には十二時間かかったのと比べれば、だけれど。
そして、
「悠里、あなたの妹だよ」
アオは悠里に生まれたばかりの妹を紹介した。
「いもーと……」
実年齢はまだ一歳を過ぎたところだけど、知能や精神的にはおそらく五歳くらいには達していると思われていた悠里が、「みいみい」と泣き声を上げる<小さな生き物>を見て、呟いた。
「いもーと? ぼくのいもーと?」
指を指しながら、アオとミハエルを交互に見て尋ねる。
「そうだよ。悠里の妹だよ」
「悠里はお兄ちゃんになったんだ」
二人に言われて、
「いもーと!」
悠里はパアッと顔を輝かせて興奮したように声を上げた。ようやく実感できたらしい。
「いもーと! いもーと! あんな!!」
胎児が女の子であることは検診の段階で分かっていたので、すでに名前は決まっていた。だから悠里も安和の名を呼んだ。
「あんな、よしよし♡」
手足をばたつかせながら「みいみい」と泣いている安和の頭を、悠里は本当に優しくそっと撫でた。慈しんでいるのが分かる。
彼にはもうすでに他者を慈しむ気持ちが備わっているのがそれで確認できた。
自分が両親にしてもらったことを、安和にもしてるのだ。
そして悠里は、いつも安和の傍にいた。
下の子が生まれると上の子は母親を取られたと感じて嫉妬することがあると言われるけれど、悠里にはそういうのがほとんど見られなかった。アオが、安和におっぱいをあげる時には必ず、悠里も傍に置いたからだ。
悠里はアオに抱き付きながら、安和がおっぱいを飲んでいるところをずっと見ていた。おっぱいが終わって安和が寝ると、アオは悠里を抱きながら一緒に寝た。
加えて、ミハエルが悠里の相手をしっかりとしてくれた。絵本を読み聞かせ、夜は一緒に寝てくれた。
だから悠里は、自分が放っておかれているという心配なんてまるでする必要がなかった。
当然、安和に対してヤキモチを妬く必要もない。
ただただ、
「かーいい♡ かーいい♡」
としていればよかった。
ミハエルとアオは、幼い悠里に子守を任せることもしない。親は自分達であって、全責任は自分達が負わなければいけないから。
未熟で責任能力もない子供に、赤ん坊を任せるとか、恐ろしくてできなかった。
他人がどうやってるかは関係ない。
どこまでいってもこの子達は自分の子供なのだから。
なにしろ、<子宮口全開>からわずか三時間で生まれたから。
「いや~、びっくりするくらいすぐ生まれたね」
とはアオ自身の感想。
悠里の時には十二時間かかったのと比べれば、だけれど。
そして、
「悠里、あなたの妹だよ」
アオは悠里に生まれたばかりの妹を紹介した。
「いもーと……」
実年齢はまだ一歳を過ぎたところだけど、知能や精神的にはおそらく五歳くらいには達していると思われていた悠里が、「みいみい」と泣き声を上げる<小さな生き物>を見て、呟いた。
「いもーと? ぼくのいもーと?」
指を指しながら、アオとミハエルを交互に見て尋ねる。
「そうだよ。悠里の妹だよ」
「悠里はお兄ちゃんになったんだ」
二人に言われて、
「いもーと!」
悠里はパアッと顔を輝かせて興奮したように声を上げた。ようやく実感できたらしい。
「いもーと! いもーと! あんな!!」
胎児が女の子であることは検診の段階で分かっていたので、すでに名前は決まっていた。だから悠里も安和の名を呼んだ。
「あんな、よしよし♡」
手足をばたつかせながら「みいみい」と泣いている安和の頭を、悠里は本当に優しくそっと撫でた。慈しんでいるのが分かる。
彼にはもうすでに他者を慈しむ気持ちが備わっているのがそれで確認できた。
自分が両親にしてもらったことを、安和にもしてるのだ。
そして悠里は、いつも安和の傍にいた。
下の子が生まれると上の子は母親を取られたと感じて嫉妬することがあると言われるけれど、悠里にはそういうのがほとんど見られなかった。アオが、安和におっぱいをあげる時には必ず、悠里も傍に置いたからだ。
悠里はアオに抱き付きながら、安和がおっぱいを飲んでいるところをずっと見ていた。おっぱいが終わって安和が寝ると、アオは悠里を抱きながら一緒に寝た。
加えて、ミハエルが悠里の相手をしっかりとしてくれた。絵本を読み聞かせ、夜は一緒に寝てくれた。
だから悠里は、自分が放っておかれているという心配なんてまるでする必要がなかった。
当然、安和に対してヤキモチを妬く必要もない。
ただただ、
「かーいい♡ かーいい♡」
としていればよかった。
ミハエルとアオは、幼い悠里に子守を任せることもしない。親は自分達であって、全責任は自分達が負わなければいけないから。
未熟で責任能力もない子供に、赤ん坊を任せるとか、恐ろしくてできなかった。
他人がどうやってるかは関係ない。
どこまでいってもこの子達は自分の子供なのだから。
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