48 / 76
波乱 2
しおりを挟む
いつでも出港出来るように装備や物資を積み込み、着々と準備を整える船の上で、ディオンは水平線を見つめ、陽光を反射させてキラキラと輝く海面に、メルリーナの青銀の瞳を思い浮かべた。
メルリーナがリヴィエールを再び離れ、ウィスバーデンへ向かってから、そろそろ十日が過ぎる。
今頃、メルリーナはどの辺りにいるだろうか。
遠回りしてウィスバーデンへ向かうと言っていたが、そろそろウィスバーデンの港町シーフブレムゼに辿り着いただろうか。
ウィスバーデンに到着しているとすれば、陸の上だと王子様になるというゲイリーが、性懲りもなくメルリーナに纏わりついているような気がして、つい顔をしかめた時、潮風に乗ってセヴランの声が聞こえた。
「ディオン様」
振り返れば、その手に白い紙片を持っている。
「アラン様からの知らせです」
セヴランが差し出した手紙というより走り書きのようなものを受け取ったディオンは、そこに書かれていた言葉を見るなり、乗組員たちに明日までに出港の準備を整えるよう命じ、一旦宮殿へ戻ると告げた。
港へ向かうボートに乗り込んだディオンに、セヴランはメルリーナが旅立つのと時を同じくしてカーディナルへと旅立ったフランツィスカのことを口にした。
「フランツィスカ王女は無事カーディナルに到着し、一番の大物から援助を取り付けたようです」
「ああ。カーディナル皇帝は、もともとファニーを気に入っているからな。誑かすのも難しくはなかったんじゃないか?」
ディオンは、フランツィスカなら必要な援助はもちろんのこと、それ以上のものだって引き出せるだろうと苦笑した。
カーディナルにしてみれば、政情不安定なエナレスに乗り込むための足掛かりとして、リーフラントが自ら跪くのだ。その願いを退けるような勿体ない真似はしないだろうし、むしろ大船団を送り込んで徹底的な援助の下、エナレスにまで侵略する気かもしれない。
リヴィエールとしても、自国で援助という名の侵略が出来るほどの戦力はない。
リーフラントがカーディナル寄りに、もしくはその支配下に入ってくれた方が、心おきなくアンテメール海を行き来できるので、有難い。
ただ、今回は単純にリーフラントと二国間だけの話では終わらない。
アランからの手紙には、カーディナルが動くこと、彼らが西海からアンテメール海へ入り、リーフラントの沖合へ到達するまでの間、邪魔な海賊を掃討すること、ウィスバーデンの船を牽制することなどがいかにも大したことではないかのように綴られていたが、実際は大事だ。
「父上も出るつもりなのか?」
大きな戦闘になる可能性があるから逃げたいと言うのではなく、その後のリーフラントはもちろん、カーディナルやウィスバーデンとの関係においては、リヴィエール公爵であるアランの判断なくしては何の話も出来ない。
自分は、まだまだ全権を預からせてもらえるような身分ではないということは、ディオンも自覚している。
「どうでしょう。雑魚は我々に片付けさせて、後から悠々と現れるかもしれませんよ?」
「それはどうだろうな。最近は全然船に乗れないと愚痴をこぼしていたから、母上に言い訳出来ると、嬉々として船に乗り込むかもしれない」
リヴィエールに戻るまで、長い間、グレースを陸に置き去りにしていたアランは、公爵となってからは昔のように頻繁に船に乗ることはしていない。
そもそも、アンテメール海で大きな争いが起きなかったし、せいぜい商船を襲った海賊を見せしめとばかりに、容赦ない砲撃で滅多打ちにしていたくらいだ。
新しい船で新しい技術を試したり、小さくとも破壊力の高い砲を開発したりと、船を改良する方に熱心だった。
そのおかげで、リヴィエールの軍艦はいつも最新鋭の状態だ。
港からリヴィエールの宮殿へと馬車を走らせて戻ったディオンは、珍しく出迎えた母グレースに首を傾げた。
「母上、どうしたのです? 誰か客人でもいらっしゃるのですか?」
「いいえ。あなたを待っていました、ディオン」
「俺?……ええと……俺が、何か……」
グレースが待ち構えているとき、それがよい知らせだったことはない気がして、顔が引きつった。
「何かあったのは、あなたではありません」
ややその顔が青ざめているのを見て、嫌な予感がした。
「もしかして……」
ディオンがその名前を口にするより先に、グレースが美しい顔を歪め、つい先ほど齎された情報だと呟いた。
「メルリーナが……海に落ちて、行方不明です」
◇◆
丸二日。満身創痍のまま、海岸線沿いの海を走り回るようにしてあるものを探していたヴァンガード号は、結局探し物を見つけられないままだった。
一旦、近場の寂れた港町に停泊し、申し訳程度に船の修復と必要な手配を終えた後、当初の目的地へと向かうとブラッドフォードは告げた。
「ジャック、クルト。進路をウィスバーデンへ取れ」
「ブラッドっ!」
昼も夜も必死に海面を見つめ、僅かな手掛かりはないかと目を凝らし続けたゲイリーは、他の乗組員同様、目の下に隈を作っている。
その憔悴ぶりに、この腐れ縁の悪友が意外に本気だったのだと知って、ブラッドフォードはやるせない気持ちになった。
海賊船との戦闘の最中、メルリーナが海へ落ちたに違いないと気付いたのは、激しい戦闘にどうにかこうにか勝利した後、エメリヒが青い顔をしてメルリーナが戻らないと言って来たからで、その時点でメルリーナが海に落ちたと思われる時から、既にかなりの時間が経っていた。
混乱した船上で、メルリーナの行動の一部始終を見ていた者などいるはずもなかったが、半分死にかけているような船員たちにも聞き回った結果、銃を撃った後で船から落ちたらしいとわかった。
「これ以上探しても、無駄だ。ゲイリー」
「無駄って……もしかしたら、どこかに漂着しているかもしれないだろうっ!?」
「そうだとしても、これ以上探し回るのは無理だ」
「無理って……」
「早いところウィスバーデンへ戻らねぇと、片手じゃ足りない数の野郎共が死ぬし、リーフラントへの対応を誤れば、ウィスバーデンにも少なくない死人が出るかもしれねぇ」
一隻で二隻の海賊船を相手にしても勝機はあるとブラッドフォードは思っていたが、予想以上の打撃を受けた。
破れた帆や壊れた索具は応急処置で保たせている状態のため、船足はかなり遅くなっているし、無傷な船員の方が少ないくらいで、操船可能なぎりぎりの人数だ。
もう一度でも襲われたなら、それが漁船のような海賊船であっても、危うい。
船長として、船に乗る者全員の命を預かる者として、たったひとりのためにその他全員の命を危険にさらすことは出来なかった。
そのためには、言いたくないことも、言わなくてはならない。
「諦めろ、ゲイリー」
ブラッドフォードの襟を締め上げていた手が震え、やがて力なく落ちた。
「……教えるんじゃなかった」
ぼそっと呟いたゲイリーは、自嘲の笑みを浮かべ、ぐしゃぐしゃと乱れた髪を掻きむしる。
「僕が、メルに銃の撃ち方を教えなければ、こんなことにはならなかった」
そうではない、と言っても聞く耳は持たないだろう。
むしろ、ひねくれた悪友が求めているものはその逆だとブラッドフォードにはわかっていた。
メルリーナは、ゲイリーを狙っていた海賊を撃とうとしたようだと、偶然目撃していた乗組員は言っていた。
本当かどうかはわからないが、メルリーナが銃を撃つとすればそれは誰かのためだろうし、ゲイリーのためだったということは、十分にあり得る。
「そうだな。おまえが教えなければ、メルは何も知らないままだった。だが、知りたいと望んだのはメル自身だ」
「メルが望んでも、駄目だと言えばよかった」
「ああ、そうだな。だが、それで納得はしなかっただろうよ。だから、おまえの言いつけを守らずに甲板に出て、当たりもしねぇ銃をぶっ放したんだろう」
「部屋に閉じ込めておけばよかった」
「メルは閉じ込められるのは嫌だと言うだろうし、おまえの言うことに黙って従ったりはしない。メルは、メルの考えで行動し、選ぶことを望むだろう。だから……少なくとも、後悔はしていないはずだ」
「だから、後悔するなとでも?」
苛立ちと痛みに塗れた声で呟くゲイリーは、ここ一年ほどで、狂犬から番犬へとマシになりつつあったのに、きっとあっという間に再び狂犬に逆戻りすることだろう。
ブラッドフォードは、今のゲイリーはディオンに殴り殺されたいに違いないと思いながら、その胸を拳で軽く叩くとその耳に囁いた。
「後悔するのは、おまえでも、メルでもねぇ。……エナレスだ」
メルリーナがリヴィエールを再び離れ、ウィスバーデンへ向かってから、そろそろ十日が過ぎる。
今頃、メルリーナはどの辺りにいるだろうか。
遠回りしてウィスバーデンへ向かうと言っていたが、そろそろウィスバーデンの港町シーフブレムゼに辿り着いただろうか。
ウィスバーデンに到着しているとすれば、陸の上だと王子様になるというゲイリーが、性懲りもなくメルリーナに纏わりついているような気がして、つい顔をしかめた時、潮風に乗ってセヴランの声が聞こえた。
「ディオン様」
振り返れば、その手に白い紙片を持っている。
「アラン様からの知らせです」
セヴランが差し出した手紙というより走り書きのようなものを受け取ったディオンは、そこに書かれていた言葉を見るなり、乗組員たちに明日までに出港の準備を整えるよう命じ、一旦宮殿へ戻ると告げた。
港へ向かうボートに乗り込んだディオンに、セヴランはメルリーナが旅立つのと時を同じくしてカーディナルへと旅立ったフランツィスカのことを口にした。
「フランツィスカ王女は無事カーディナルに到着し、一番の大物から援助を取り付けたようです」
「ああ。カーディナル皇帝は、もともとファニーを気に入っているからな。誑かすのも難しくはなかったんじゃないか?」
ディオンは、フランツィスカなら必要な援助はもちろんのこと、それ以上のものだって引き出せるだろうと苦笑した。
カーディナルにしてみれば、政情不安定なエナレスに乗り込むための足掛かりとして、リーフラントが自ら跪くのだ。その願いを退けるような勿体ない真似はしないだろうし、むしろ大船団を送り込んで徹底的な援助の下、エナレスにまで侵略する気かもしれない。
リヴィエールとしても、自国で援助という名の侵略が出来るほどの戦力はない。
リーフラントがカーディナル寄りに、もしくはその支配下に入ってくれた方が、心おきなくアンテメール海を行き来できるので、有難い。
ただ、今回は単純にリーフラントと二国間だけの話では終わらない。
アランからの手紙には、カーディナルが動くこと、彼らが西海からアンテメール海へ入り、リーフラントの沖合へ到達するまでの間、邪魔な海賊を掃討すること、ウィスバーデンの船を牽制することなどがいかにも大したことではないかのように綴られていたが、実際は大事だ。
「父上も出るつもりなのか?」
大きな戦闘になる可能性があるから逃げたいと言うのではなく、その後のリーフラントはもちろん、カーディナルやウィスバーデンとの関係においては、リヴィエール公爵であるアランの判断なくしては何の話も出来ない。
自分は、まだまだ全権を預からせてもらえるような身分ではないということは、ディオンも自覚している。
「どうでしょう。雑魚は我々に片付けさせて、後から悠々と現れるかもしれませんよ?」
「それはどうだろうな。最近は全然船に乗れないと愚痴をこぼしていたから、母上に言い訳出来ると、嬉々として船に乗り込むかもしれない」
リヴィエールに戻るまで、長い間、グレースを陸に置き去りにしていたアランは、公爵となってからは昔のように頻繁に船に乗ることはしていない。
そもそも、アンテメール海で大きな争いが起きなかったし、せいぜい商船を襲った海賊を見せしめとばかりに、容赦ない砲撃で滅多打ちにしていたくらいだ。
新しい船で新しい技術を試したり、小さくとも破壊力の高い砲を開発したりと、船を改良する方に熱心だった。
そのおかげで、リヴィエールの軍艦はいつも最新鋭の状態だ。
港からリヴィエールの宮殿へと馬車を走らせて戻ったディオンは、珍しく出迎えた母グレースに首を傾げた。
「母上、どうしたのです? 誰か客人でもいらっしゃるのですか?」
「いいえ。あなたを待っていました、ディオン」
「俺?……ええと……俺が、何か……」
グレースが待ち構えているとき、それがよい知らせだったことはない気がして、顔が引きつった。
「何かあったのは、あなたではありません」
ややその顔が青ざめているのを見て、嫌な予感がした。
「もしかして……」
ディオンがその名前を口にするより先に、グレースが美しい顔を歪め、つい先ほど齎された情報だと呟いた。
「メルリーナが……海に落ちて、行方不明です」
◇◆
丸二日。満身創痍のまま、海岸線沿いの海を走り回るようにしてあるものを探していたヴァンガード号は、結局探し物を見つけられないままだった。
一旦、近場の寂れた港町に停泊し、申し訳程度に船の修復と必要な手配を終えた後、当初の目的地へと向かうとブラッドフォードは告げた。
「ジャック、クルト。進路をウィスバーデンへ取れ」
「ブラッドっ!」
昼も夜も必死に海面を見つめ、僅かな手掛かりはないかと目を凝らし続けたゲイリーは、他の乗組員同様、目の下に隈を作っている。
その憔悴ぶりに、この腐れ縁の悪友が意外に本気だったのだと知って、ブラッドフォードはやるせない気持ちになった。
海賊船との戦闘の最中、メルリーナが海へ落ちたに違いないと気付いたのは、激しい戦闘にどうにかこうにか勝利した後、エメリヒが青い顔をしてメルリーナが戻らないと言って来たからで、その時点でメルリーナが海に落ちたと思われる時から、既にかなりの時間が経っていた。
混乱した船上で、メルリーナの行動の一部始終を見ていた者などいるはずもなかったが、半分死にかけているような船員たちにも聞き回った結果、銃を撃った後で船から落ちたらしいとわかった。
「これ以上探しても、無駄だ。ゲイリー」
「無駄って……もしかしたら、どこかに漂着しているかもしれないだろうっ!?」
「そうだとしても、これ以上探し回るのは無理だ」
「無理って……」
「早いところウィスバーデンへ戻らねぇと、片手じゃ足りない数の野郎共が死ぬし、リーフラントへの対応を誤れば、ウィスバーデンにも少なくない死人が出るかもしれねぇ」
一隻で二隻の海賊船を相手にしても勝機はあるとブラッドフォードは思っていたが、予想以上の打撃を受けた。
破れた帆や壊れた索具は応急処置で保たせている状態のため、船足はかなり遅くなっているし、無傷な船員の方が少ないくらいで、操船可能なぎりぎりの人数だ。
もう一度でも襲われたなら、それが漁船のような海賊船であっても、危うい。
船長として、船に乗る者全員の命を預かる者として、たったひとりのためにその他全員の命を危険にさらすことは出来なかった。
そのためには、言いたくないことも、言わなくてはならない。
「諦めろ、ゲイリー」
ブラッドフォードの襟を締め上げていた手が震え、やがて力なく落ちた。
「……教えるんじゃなかった」
ぼそっと呟いたゲイリーは、自嘲の笑みを浮かべ、ぐしゃぐしゃと乱れた髪を掻きむしる。
「僕が、メルに銃の撃ち方を教えなければ、こんなことにはならなかった」
そうではない、と言っても聞く耳は持たないだろう。
むしろ、ひねくれた悪友が求めているものはその逆だとブラッドフォードにはわかっていた。
メルリーナは、ゲイリーを狙っていた海賊を撃とうとしたようだと、偶然目撃していた乗組員は言っていた。
本当かどうかはわからないが、メルリーナが銃を撃つとすればそれは誰かのためだろうし、ゲイリーのためだったということは、十分にあり得る。
「そうだな。おまえが教えなければ、メルは何も知らないままだった。だが、知りたいと望んだのはメル自身だ」
「メルが望んでも、駄目だと言えばよかった」
「ああ、そうだな。だが、それで納得はしなかっただろうよ。だから、おまえの言いつけを守らずに甲板に出て、当たりもしねぇ銃をぶっ放したんだろう」
「部屋に閉じ込めておけばよかった」
「メルは閉じ込められるのは嫌だと言うだろうし、おまえの言うことに黙って従ったりはしない。メルは、メルの考えで行動し、選ぶことを望むだろう。だから……少なくとも、後悔はしていないはずだ」
「だから、後悔するなとでも?」
苛立ちと痛みに塗れた声で呟くゲイリーは、ここ一年ほどで、狂犬から番犬へとマシになりつつあったのに、きっとあっという間に再び狂犬に逆戻りすることだろう。
ブラッドフォードは、今のゲイリーはディオンに殴り殺されたいに違いないと思いながら、その胸を拳で軽く叩くとその耳に囁いた。
「後悔するのは、おまえでも、メルでもねぇ。……エナレスだ」
0
お気に入りに追加
545
あなたにおすすめの小説
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
【完結】婚約者を譲れと言うなら譲ります。私が欲しいのはアナタの婚約者なので。
海野凛久
恋愛
【書籍絶賛発売中】
クラリンス侯爵家の長女・マリーアンネは、幼いころから王太子の婚約者と定められ、育てられてきた。
しかしそんなある日、とあるパーティーで、妹から婚約者の地位を譲るように迫られる。
失意に打ちひしがれるかと思われたマリーアンネだったが――
これは、初恋を実らせようと奮闘する、とある令嬢の物語――。
※第14回恋愛小説大賞で特別賞頂きました!応援くださった皆様、ありがとうございました!
※主人公の名前を『マリ』から『マリーアンネ』へ変更しました。
青き瞳に映るのは桃色の閃光
岬 空弥
恋愛
第一王子殿下の婚約者候補であるエステルダは、その日、幾人もの高位貴族を虜にしている美しい桃色の髪のアリッサと対峙する。
しかし、彼女が密かに恋焦がれていた相手が、実は自分の弟だと知ったエステルダは、それまで一方的に嫌っていたアリッサの真意を探るべく、こっそりと彼女の観察を始めるのだった。
高貴な公爵家の姉弟と没落寸前の子爵家の姉弟が身分差に立ち向かいながら、時に切なく、時に強引に恋を成就させていくお話です。
物語はコメディ調に進んで行きますが、後半になるほど甘く切なくなっていく予定です。
四人共、非常に強いキャラとなっています。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
変装して本を読んでいたら、婚約者さまにナンパされました。髪を染めただけなのに気がつかない浮気男からは、がっつり慰謝料をせしめてやりますわ!
石河 翠
恋愛
完璧な婚約者となかなか仲良くなれないパメラ。機嫌が悪い、怒っていると誤解されがちだが、それもすべて慣れない淑女教育のせい。
ストレス解消のために下町に出かけた彼女は、そこでなぜかいないはずの婚約者に出会い、あまつさえナンパされてしまう。まさか、相手が自分の婚約者だと気づいていない?
それならばと、パメラは定期的に婚約者と下町でデートをしてやろうと企む。相手の浮気による有責で婚約を破棄し、がっぽり違約金をもらって独身生活を謳歌するために。
パメラの婚約者はパメラのことを疑うどころか、会うたびに愛をささやいてきて……。
堅苦しいことは苦手な元気いっぱいのヒロインと、ヒロインのことが大好きなちょっと腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(作品ID261939)をお借りしています。
【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる