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(3) 開けた記憶

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記憶の蓋を開けたら、サッサと退散した悪魔。好みの美人でも美少女でも無かったから?男の子だし。

捨て置かれたパトリシア・バートン。羊と草の上で寝ていたのだが、寝ていられなくなった。


「うーん、あいうえおかきくけこさしすせそ。風が吹くとバケツ屋が儲かる~~。」


実は、この子。学校へ行ってない。読み書きは愚か計算も出来ないのだ。なのに、賢そうな寝言。何がが起こっているのか。突然、ガバッと跳ね起きた。


「ああー、頭が頭が痛いいいいー!」


頭を押さえて喚き出す。眠りを破られた山羊が怒ってキックバック。それを素早く交わす子供。脚を掴んでギロッと睨んだ。


「メエエエエー!(ひいー)」


他の山羊たちも、怯んだ。どうしたというんだ、何が起こった?こいつ、弱っちくて言いなりだったのに。蹴っても噛みついても泣いてた弱虫だったのに。


「はあ、はあ、はあ。何だよ、目の前がグルグル回ってるぜ。」


そう、ボヤイて肩で息つく人間。怯えて固まっている山羊のグループ。ペタリと座り込み息を整えて手を出す。


「鞄ー、俺の鞄。何で出て来ない?」


出した右腕をガタガタと震えさせる。不思議そうな顔で、あーだ、こーだ、こんにゃろーで暫く立った。

ポッと青い炎が手から上がる。眺めていた山羊たちは人間から後退りして離れた。こんな事してる、注意しなくてはと。


「どうなってんだよ。魔力が安定しないぞ。」


文句を言ったら、ドサッと音がして鞄が頭の上に落ちてきた。苛立ちながら鞄を開きポットを出して中身の水を口にする。


「うぐっ、何だ。これは!」


パトリシアは、吐き出した。中身は水では無くなっていたのだ。腐ったを通り越して酷い味だ。

それから、鞄の中身を広げると荷物の山が出来る。それを1つ1つ検品して行った。


「魔道具だからな、長期間もつんだが。これは、何百年くらい過ぎた状態になってるぞ。いくら、何でも。そんな馬鹿な!」


パトリシアは、自分の言った言葉に驚いた。もしかして、そうなのか?


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