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(1)罠にハメラレましたの、私
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世界から戻った悪魔のアグアニエベは、神さまがバカンスに行っているので天使たちの仕事を手伝っています。
「神さまは、いつ、復帰するんでしょうねえ?私も、お休みが欲しいんですけど。」
ちょっとだけ息抜きして戻ると思ったら、バカンス地を周っているようです。羨ましい事だ。
「えーと、放棄されたモンスターは、ここだな。」
退治したモンスターが山のように放置された場所。本来は、ギルドの規則として処理して持ち帰るのだが捨てて行っている。
腐敗ガスや異臭で、近隣の村に被害が出ていた。農作物は不作で病人が続出。なのに、重い税金で隣国に逃げ出す農民。
「こういうのは、その国がわかりますよ。この国が緩い取り締まりだから、ギルドも手抜き。困りましたねえ。」
天使は、人々の幸せを優先します(悪魔だけど)。アグアニエベは、見回した。この国にとって、致命的な物になるのは?
国境には、守護の力が張り巡らされている。この国の聖女は、強い力の持ち主らしい。モンスターが一歩も入れないのだ。
「よし、これにしよう!痛い目に合わないと、心を入れ替えません。」
そして、裏工作に王城へと飛び立った。
とばっちりを受ける事になった人。それは、大聖女エルザでした。
「あー、疲れたわ。休みます。」
今日も、国境に張り巡らした守護の魔法を点検して体力消耗。立っているのも、やっとの状態。自室のベッドへ横になるのだ。
だが、神官が起こしに来た。慌てた様子で。
「大聖女さま、フィッリプス殿下がお会いしたいそうです。急いで預かる下さい!」
結婚式の話なのだろうと、考えた。だって、フィリップス王子との挙式は来月でしたから。簡単な身仕度を済ませて神殿の控えの間に居るフィッリプス王子に会いに行く。
フィッリプス王子は、この国の第1王子で次期王であった。
聖女として大きな魔力を持っていると認められたエルザの婚約者となる。
「やっと、来たのか。エルザ、寝ていたのだな。今日も!」
久しぶりの対面。1年に1度か2度かの顔合わせは、義理のスケジュール。婚約者といえども、他人より遠い相手だ。
その時、エルザは、寝起きの頭で考えが及ばなかった。その言葉に毒があるのも気がつかない。
「フィッリプス王子さま。休んでおりました、申し訳ありません。」
控えめな性格のエルザは、相手の機嫌を損ねないように詫びた。
そして、予想もしない言葉を浴びせられる事になるのだ。
「休んでいただと?この、大嘘つきが。いいか、分かっているんだぞ。お前が仕事をしないで、寝てばかりいた事は!」
エルザは、首を横に振った。毎日、全力で務めをしているのは神殿に居る者なら知っている。それは、誤解だと。
「お前の下で働いているエミリアが、勇気を振り絞って直訴してくれた。高給を貪った者との結婚など、出来るものか。お前との婚約を破棄する!」
聖女としての魔力を認められた6歳の時に王が定めた王子との婚約を破棄すると言うのだ。エルザは泣いて訴えた。
「王子さま、違います。聞いて下さい、私は務めを果たしていました!」
だが、王子の傍らにエルザの下で働く凡聖女の1人が親しげに身を寄せる。
「ほら、偽りですわ。毎日、私達に仕事を押し付けて寝てばかり。魔力も無いくせに。どうぞ、罰して下さいませ。」
「罰してやるとも。処刑にも値するが、情けをかけてやる。私は、優しい王子だからな。国外追放の上に横領した国費返還として奴隷に売り飛ばせ!」
売り飛ばす・・・?まさか、冗談ですよね。
「神さまは、いつ、復帰するんでしょうねえ?私も、お休みが欲しいんですけど。」
ちょっとだけ息抜きして戻ると思ったら、バカンス地を周っているようです。羨ましい事だ。
「えーと、放棄されたモンスターは、ここだな。」
退治したモンスターが山のように放置された場所。本来は、ギルドの規則として処理して持ち帰るのだが捨てて行っている。
腐敗ガスや異臭で、近隣の村に被害が出ていた。農作物は不作で病人が続出。なのに、重い税金で隣国に逃げ出す農民。
「こういうのは、その国がわかりますよ。この国が緩い取り締まりだから、ギルドも手抜き。困りましたねえ。」
天使は、人々の幸せを優先します(悪魔だけど)。アグアニエベは、見回した。この国にとって、致命的な物になるのは?
国境には、守護の力が張り巡らされている。この国の聖女は、強い力の持ち主らしい。モンスターが一歩も入れないのだ。
「よし、これにしよう!痛い目に合わないと、心を入れ替えません。」
そして、裏工作に王城へと飛び立った。
とばっちりを受ける事になった人。それは、大聖女エルザでした。
「あー、疲れたわ。休みます。」
今日も、国境に張り巡らした守護の魔法を点検して体力消耗。立っているのも、やっとの状態。自室のベッドへ横になるのだ。
だが、神官が起こしに来た。慌てた様子で。
「大聖女さま、フィッリプス殿下がお会いしたいそうです。急いで預かる下さい!」
結婚式の話なのだろうと、考えた。だって、フィリップス王子との挙式は来月でしたから。簡単な身仕度を済ませて神殿の控えの間に居るフィッリプス王子に会いに行く。
フィッリプス王子は、この国の第1王子で次期王であった。
聖女として大きな魔力を持っていると認められたエルザの婚約者となる。
「やっと、来たのか。エルザ、寝ていたのだな。今日も!」
久しぶりの対面。1年に1度か2度かの顔合わせは、義理のスケジュール。婚約者といえども、他人より遠い相手だ。
その時、エルザは、寝起きの頭で考えが及ばなかった。その言葉に毒があるのも気がつかない。
「フィッリプス王子さま。休んでおりました、申し訳ありません。」
控えめな性格のエルザは、相手の機嫌を損ねないように詫びた。
そして、予想もしない言葉を浴びせられる事になるのだ。
「休んでいただと?この、大嘘つきが。いいか、分かっているんだぞ。お前が仕事をしないで、寝てばかりいた事は!」
エルザは、首を横に振った。毎日、全力で務めをしているのは神殿に居る者なら知っている。それは、誤解だと。
「お前の下で働いているエミリアが、勇気を振り絞って直訴してくれた。高給を貪った者との結婚など、出来るものか。お前との婚約を破棄する!」
聖女としての魔力を認められた6歳の時に王が定めた王子との婚約を破棄すると言うのだ。エルザは泣いて訴えた。
「王子さま、違います。聞いて下さい、私は務めを果たしていました!」
だが、王子の傍らにエルザの下で働く凡聖女の1人が親しげに身を寄せる。
「ほら、偽りですわ。毎日、私達に仕事を押し付けて寝てばかり。魔力も無いくせに。どうぞ、罰して下さいませ。」
「罰してやるとも。処刑にも値するが、情けをかけてやる。私は、優しい王子だからな。国外追放の上に横領した国費返還として奴隷に売り飛ばせ!」
売り飛ばす・・・?まさか、冗談ですよね。
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