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(73) おめでたい宴

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数ヶ月後の良く晴れた日の午後。一組の結婚式が行われた。


「トーマ様、おめでとうございます!」


イトウ子爵家の庭で行われたお祝いパーティーで、集まった領民が喜んで祝福する。タキシード姿のトーマの隣りには愛らしい花嫁ノエミが笑顔で寄り添っていた。

庭の奥に建っていた古い離れの建物は壊されて新しい館が建っている。その場所、マルグリートが住んでいた事は忘れられようとしているのだ。

元ゴメス商会の店長であったジュリアン・ハーパーも駆け付ける。


「おめでとうございます。トーマさん、ノエミさん!」


トーマは、笑顔で応えた。


「ありがとうございます。ハーパーさんの結婚式には、呼んで下さい。出席しますから。」


ハーパーは、婚約者を伴って参加していたのだ。今や、セプテム国の宰相となった彼は念願だった家の再興を果たし結婚の相手も決まっている。まさに、成功者だ。

パーティーからの帰り道、今は家も立ち並び豊かなイトウ子爵家の領地を眺めてハーパーは言う。


「君は、知らないだろう。ここが、荒れ果てた土地だったなんて。」


すると、婚約者が笑った。


「勿論、知ってますわ。だって、私が呪われた土地と鑑定したんですもの。」


そうなのだ。婚約者は、ヘルミーナ令嬢であった。2人は、手を握り合う。見つめ合った目と目には熱い想いが溢れていた。日に日に愛は強くなる。

ハーパーは、抱き締めてキスしたくなるのを我慢した。早く、自分だけの人にしたい。


「ヘルミーナ様、何時に結婚してくれるんですか?」

「もう少し、待って下さいませ。ライアン様との婚約解消をしたばかりですもの。」


ライアンが新しい王となり国を再建する事になったので、ヘルミーナは婚約解消を簡単には出来なかった。暫くの間、病気療養として人前に姿を表さず過ごして、やっと婚約を解消できたのだ。

ヘルミーナは、クスッと笑う。


「ベネディット様は、ご自分の画を見て驚かれるでしょうねえ。」


彼女の手にしているのは、魔道具の一眼カメラで写した物だ。画家が居なくても画像が残せるので便利である。これも、レンタルをゴメス商会が行っています。




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