(完)仕方ないので後は契約結婚する

(７２) 決定事項です

その後、温泉宿に客が続々と訪れる。小さな国の辺鄙な場所にある小さな温泉なのに。何故だ。


「どうして、知ってる人達ばかりなのよ。おかしいでしょ。アグアニエベさんが呼んだの？」


そう思うのも当然。顔ぶれはエドワードに始まって、ハーパー店長にヘルミーナにゴメス。偶然にしては、不自然。

アグアニエベは、首を横に振る。そして、ゴメスを指差した。


「ゴメスさんが、計画されました。マルグリート様も招待するようにと。」


マルグリートも人数の中に入れられていたのだ。何かに利用する気だわ。ゴメスが目を付けたら逃れられそうに無い。無敵の魔法使いだもの。それなら、腹を据えましょう。


「分かった、何をさせたいの。仰ってくださいな。拒否権は有るのよね。」

「マルグリート様、酷いな。俺を、酷い男扱いしないでくれないか。こんなに、好きなのに。」

「はいはい、分かってます(嘘っぽい)」

「実は、セブン国に反乱が起こった。王族は、すでに逃亡している。反乱軍の要求は、第３王子のライアンを王位に着かせる事だそうだ。」


それは、驚くニュースだった。マルグリートは田舎の修道院で暮らしていた為に知る事も無かった。だが、貧しい民に援助せず贅沢な暮らしをしている王族や貴族に不満を爆発させるのは見えていた事だ。

ライアンを王にする理由は、婚約者のヘルミーナが慈善事業を熱心にやっていた事からだろう。

食べ物を配ったり無料の診療所を設置したり新しい事業を始めて仕事を与えたりしてきた。今までの王族がやった事も無い事だ。

ゴメスは、皆を見回して宣言する。


「という事で、今回もゴメス商会が新しい統治する政府をプロデュースする事になってね。ハーパー店長は、宰相に就任。バデロッサ公爵は経済担当大臣。そのサポートにマルグリート様、お願いできますよね？」


驚くマルグリート。いきなり、大臣のサポートをやれとは無理難題もいいとこ。でも、ゴメスの挑戦するような視線に、マルグリートの負けず魂が起き上がる。やってやるわ。


「分かりました、やりますわ！」


という事で、新政府が立ち上がります。