(完)仕方ないので後は契約結婚する

(４８) 何かが私を待っている

今日もお昼過ぎにお目覚めのマルグリートお嬢様。イトウ子爵家は、それぞれにお仕事しています。働き者の方達です。


「つまんなーい。やる事なくて。」


話相手も居ない為に独り言。魔法人形が勝手に着替えさせて髪をセットし化粧までしてくれる。テーブルには、温かい軽食(ダイエット食)が用意された。


「療養所ができたら暇つぶしになるかと思ったのに。つまんなーい。あれ、これは？」


テーブルの上に小さなピンクのガーベラの花束が置かれているではないか。メッセージカードも付いている。


『マルグリートお嬢様、お休みでしたので出直します。ジュリアン・ハーパー。』


マルグリートは、ワナワナと震える。ハーパー店長が訪ねて来るなんて、夢かしら。何時も熱心に誘って離れへ引っ張り込むのを苦労してやってたのに。


「これは、これは、もしかして。恋の予感ー？きゃー、きゃー！」


マルグリート令嬢、興奮のあまり床を跳び跳ねる。ウサギのようにピョンピョンと。







「夜の魔法学校」


皆さん、遠巻きにマルグリート令嬢を見ています。今夜は何時もよりパワーを放射しているようにみえるので。鈍感な人が話かけました。


「マルグリート様、教えて頂きたい事が。」


マルグリートは、ジロッと見た。ひるむ青年。今になって、彼女の不機嫌に気がつくが遅い。


「なーにかしら。私に出来る事でしたら。」

「いえ、あの、その。」

「何かしらと、聞いてますけど？(強い口調)」

「ひっ、ヘルミーナ様の事ですー。」

「ヘルミーナ様？」

「お忙しいみたいで、会う事が少なくなりまして。何か、僕の事を話されてないかと。」

「まあ、そうなのねえ(くだらないわ)」

「聞いてませんか、親しくされてるみたいですけど？」

「特には(別れたいって)。」

「そうですか、ありがとうございます。」


肩を落として立ち去る姿を見送って、「諦めるのね」と言いたくなる。だって、王女様で実業家として成功して大金持ちなんですもの。その気がないから。


(ハーパー店長ったら、連絡つかないし。待ってたのに来ないって、どういう事よ！)


人の事より自分の事。あー、来い。早く、恋。こんな美人が待ってるのよ！