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(47) そんな戦い方

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誰とも分からなかった男はフードを外して顔を表す。王様もヘルミーナも驚いた。それは、美しい若者だったからだ。

紫色の長い髪を幾つもの三つ編みに分け、人形のように整った顔には硝子のような目が光って見える。ヘルミーナは彼を知っていた。


「フランソワ・カミュ代理でしたの!」


そう、魔法を使う男はゴメス商会の代理でゴメスが親代わりに世話している。フランソワは、名前を呼ばれてヘルミーナに片手を上げて微笑む。

ヘルミーナにとって何度も商談で顔は合わせた事のある相手だが、話をした事は僅かだ。その理由は、フランソワが会話が出来ない為である。


フランソワ「んはー(こんにちは)」


このように、彼には言語が無いのだ。だから、話をするのをヘルミーナは諦めた。

次にゴメスのした事は、フランソワの身支度だった。こんな時に装飾品を注意するのかと疑問に思いながらも皆で見ている。


「そうだな、これくらいか。」


ゴメスはフランソワの前に立つと、ぶつぶつ言いながら紫色の幾つもに分けられている三つ編みに手を触れた。そして、結んでいる紐を全て外す。


「ふっー(久しぶりだ)」


嬉しそうにフランソワは頭を振る。まるで、犬が身震いするようだ。すると、髪に光が発生するではないか。たちまち、彼の頭部は光に入って見えなくなる。ゴメスは指示した。


「いいか、狙えよ。教えておいた通りにやれ。さあ、やれ!」


ヘルミーナは悟った。そして、弟の頭を抱え込むと王様や兵士達に叫ぶ。


「座って、屈むのよ。そして、目を閉じるの。巻き込まれます!」


そして、フランソワは身体をブルブルと震わせた後に全身から閃光を放った。それは、遠く離れた敵の部隊へと分裂して夜空を走り抜ける。


キーーン、キーーン、ドンッドドッーーン!


空気を裂く音の後に響く爆発音。起こる地面の揺れと振動。アグアニエベは、黒い大きな羽根を出して飛び上がる。確認作業の為に打ち込まれた現場へと向かった。


「おやおや、欠片も残っていませんね。フランソワちゃんは、お片付けも上手だ。末恐ろしいですよ!」


何処を探しても部隊の形跡すら残っては居なかった。敵の部隊は消滅させられたようだ。


「フランソワちゃんの封じた髪の魔力、見せてもらいましたがねえ。手から指輪を外すと、どうなるか見たいなあ。何時かは、見れるでしょう。」


フランソワの両手の指にはめられた指輪は魔力封じにゴメスが付けた魔道具だった。それを全て外すと、部隊どころか国が無くなりそうですか?


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