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(33) 療養所のお客様

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「ゴメス商会のお知らせ」

イトウ子爵家の領地の皆様。この度、療養所を建てる事となりました。工事の間はご迷惑をお掛けするかもしれませんが有ったらお知らせ下さい。迅速に対応致します。

工事の日程=3日間。

どうぞ、宜しくお願いします。

「責任者」スタンレー王都店長、ジュリアン・ハーパー






領地の西の山の日陰の湿地で工事が始まったなと思ってると、もう、終わりました。綺麗な白い洋館が建っております。領地の人達は物珍し気に見学に来ておりました。

マルグリートも、好奇心から見に来ております。芸術的な模様の鉄柵の外から眺めていると見知った顔が庭を歩いて来た。


「お義母さま、私です。マルグリートです。ここ、ここよ!」


声のする方に首を回して柵の外の若い娘の姿に気がついたイトウ子爵夫人。硬直して「ひー!」と声にならない悲鳴。でも、ギクシャクした動きで柵へ歩み寄る。


「あ、あら、マルグリート様。どうされましたか?(寝てる時間なのに)」


夫人は、この息子の嫁が苦手なのだ。どう扱っていいのか分からない。お金持ちのお嬢様で身分が違い過ぎるわ、夜に起きてて昼に起きるし、離れに閉じ籠って出て来ないし。


「療養所を見学に来ましたわ。お義母様は何をしてらっしゃるの?」


精一杯の愛想を振り撒く嫁は、普段が無愛想なだけに怖い。


「今日、始めての入所の方が見えるので準備を。」

「まあ、いらっしゃるの?じゃあ、私も手伝いますわ!」


嫌も応も無い。強引に入り込んでしまう令嬢。断りたいのだが断りきれず入れる義母(断ったら後が)。

そして、お客様が到着された。ハーパー店長が移動魔法で連れて来たのだ。


「お客様をお連れしました。こちらは、ベネディット・バデロッサ 公爵です。」


マルグリートは、目を見張る。ハニーブロンドの髪にアメジストのよな瞳。画に書きたくなる程の美男子だわ。それに、公爵ですって。お買い得でしてよ。


「ようこそ、バデロッサ公爵様。」


笑顔満開、向日葵の花よ。見つめられちゃった。私の美しいスマイルに見惚れてるのかしら。当然だけど。

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