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(17) ゴメス商会を訪問
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テントの中でヘルミーナは床に穴を呼び出して見せた。彼女は魔法が使えるのだ。ドモン国の王族が魔力があるとは聞かされてないライアンは驚く。ヘルミーナは笑って教える。
「違うんですの。魔力は持ってませんわ、私は。少しだけなら有りますけど。これ、魔力コントローラーを使ってますから。」
ヘルミーナの手には、女性の手に握れる程の小さな緑色の丸い石があった。技術が必要だが少しの魔力でも魔法が使えるようになる魔道具だそうだ。
手渡されたライアンは、火花が飛び出て驚き落としてしまう。石は床を転がって止まった。
「あっ、ごめんなさい。壊したかな?」
「大丈夫よ。ゴメス商会の品物は丈夫だから。あなた、魔力が強いのね。道具の限界を越えてたみたい。」
「強い?鑑定式では、無しと出てのに。」
「子供の頃でしょ。成人すると変わる人も少なくないから、鑑定してみたら分かるかもしれないわ。」
そして、ヘルミーナはライアンの手を引き穴へ飛び込んだ。その穴は空間移動の入り口であった。
「いらっしゃいませ、ヘルミーナお嬢様。」
そこは、何処かの会社の事務所のようであった。ネクタイをした背広姿の若い男が礼儀正しく出迎えてくれる。黒い髪に灰色の瞳をした美形だ。
手を取られたヘルミーナは慣れた仕草で案内されるソファーへ腰を降ろした。
「ハーパー店長、私の新しい婚約者ですわ。」
「はじめまして。ライアン・マルケス・グレゴリーです。」
ハーパー店長は、ライアンを見つめた。
「グレゴリー家というと。もしかして、ニュンパ王家の方ですか。これから、うちのゴメス商会とお付き合いが出来ると嬉しいですよ。これまでの商談は断られてきましたから。」
「僕の国は変化を嫌いますから。新しく何かをするというのは出来ないんですよ。」
ヘルミーナは、ハーパー店長と顔を見合わせた。これまで、ゴメス商会はニュンパ王家へアタックしては断られてしまっていた。
でも、あの国は変わらなくてはいけないとヘルミーナは思うのだ。気まずそうなライアンにヘルミーナは話を変える。
「そうだわ、お願いしたい事がありますの。ライアンの魔力を鑑定して頂けるかしら?」
「鑑定ですか、お安い御用だ。うちの新入社員の魔力を検定している魔道具がありますよ。」
ハーパー店長は簡易魔力検査機を物置からだしてくれた。視力検査をするようにレンズを覗き込む様式らしい。ライアンは、言われるままにレンズを覗く。
「はい、終わりました。凄いな、中級魔術師クラスですよ!」
驚かれてしまったライアンの魔力に本人が1番ビックリ。でも、彼の父親や兄弟にバレるとヤバいので内緒にしておく事になった。
これだけの強い魔力なら次期の王様にだってなれる可能性がある。争いの素になりそうだから。
「違うんですの。魔力は持ってませんわ、私は。少しだけなら有りますけど。これ、魔力コントローラーを使ってますから。」
ヘルミーナの手には、女性の手に握れる程の小さな緑色の丸い石があった。技術が必要だが少しの魔力でも魔法が使えるようになる魔道具だそうだ。
手渡されたライアンは、火花が飛び出て驚き落としてしまう。石は床を転がって止まった。
「あっ、ごめんなさい。壊したかな?」
「大丈夫よ。ゴメス商会の品物は丈夫だから。あなた、魔力が強いのね。道具の限界を越えてたみたい。」
「強い?鑑定式では、無しと出てのに。」
「子供の頃でしょ。成人すると変わる人も少なくないから、鑑定してみたら分かるかもしれないわ。」
そして、ヘルミーナはライアンの手を引き穴へ飛び込んだ。その穴は空間移動の入り口であった。
「いらっしゃいませ、ヘルミーナお嬢様。」
そこは、何処かの会社の事務所のようであった。ネクタイをした背広姿の若い男が礼儀正しく出迎えてくれる。黒い髪に灰色の瞳をした美形だ。
手を取られたヘルミーナは慣れた仕草で案内されるソファーへ腰を降ろした。
「ハーパー店長、私の新しい婚約者ですわ。」
「はじめまして。ライアン・マルケス・グレゴリーです。」
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「僕の国は変化を嫌いますから。新しく何かをするというのは出来ないんですよ。」
ヘルミーナは、ハーパー店長と顔を見合わせた。これまで、ゴメス商会はニュンパ王家へアタックしては断られてしまっていた。
でも、あの国は変わらなくてはいけないとヘルミーナは思うのだ。気まずそうなライアンにヘルミーナは話を変える。
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