王の恋

猫幸世

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王の恋

第20話

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身体を起こし剛志が藁のベッドからおりたその時、ドアが開きレオンが入ってきた。 

「レオンさん」

「剛志君」

急いでレオンは近づき剛志を抱きしめた。 

「レオさんとレンさんは?」

「父さんは人間の世界に向かった、レオは犬の国に帰った」

「仲直りしたんですね」

「母さんの言葉で一気に戦いは終わったよ」

そう言ってレオンは剛志から離れ見つめ唇を重ねた。

その後、レオンと剛志は藁のベッドに倒れ身体を重ねた。 

それから暫くしてレオンと剛志は身体を起こし寄り添った。 

「聞いても良いですか?」

「何?」

「お父さんが居なくなったら猫の国はどうなるんですか?」 

「王が居ない国は消滅する」

「消滅だなんてダメです」

レオンから離れ剛志が見つめるとレオンが口を開いた。 

「猫の国で暮らす猫達は他の国で」

「レオンさんが王になれば良いじゃないですか」

「俺は剛志君と人間の世界で暮らすことを決めたから王には…」

「俺が猫の国で暮らすと言ったら王になってくれますか」 

「モデルの仕事ができなくなるよ、それでも良いのか?」 

「モデルはします」

「猫の国と人間の世界を行き来するってこと?」 

「はい」

「大丈夫?」

「猫の国で暮らす猫達に俺の姿を見てほしいから」

「猫の国を消滅させたくないから父さんの代わりに俺が猫の国の王になります」

「良かった」

「剛志君、改めてプロポーズします」

そう言ってレオンは方膝をつき剛志を見つめ口を開いた。

「剛志君、俺の妻になってください」

「レオンさんの妻になります」

差し出されたレオンの片手を剛志が掴むとレオンは立ち上がり喜びながら剛志を抱きしめその後、喜びの口づけを交わした。

猫の国ではレオンの妻、人間の世界ではモデルそんな暮らしを続けて1年が経ち剛志の身体に異変が起きた。 

その異変はモデルの撮影中に起きた。 

「剛志君、カッコ良い顔して」

「……」

「剛志君、どうしたの?」

「…ゴメン…」

言いかけたその時、剛志はふらつきうつ伏せで倒れた。 

その後、剛志は救急車で病院に運ばれ治療を受けベッドで点滴をうけた。 

それから暫くして点滴が終わり先生から驚きの言葉を聞かされた。 

「男性であり得ないことが起きました」

「何ですか?」

「妊娠してます」

「妊娠?誰が?」

「三枝さんあなたが」

「冗談ですよね」

「本当です、産婦人科で詳しく検査してください…お大事に」

「……」

先生が出ていくと剛志は猫の国に帰りレオンに話した。

次の日、剛志はレオンと一緒にミミ医師の元に向かい検査を受けると妊娠を確信した。
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