王の恋

猫幸世

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王の恋

第9話

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「歩いても歩いても森林から出られない」

長い森林の中を歩き続け疲れてきた剛志はふらつきうつ伏せで倒れた。 

そこへ2匹の犬が現れた。

「人間だ」

「人間がどうしてここに居るんだ?」

2匹の犬は剛志の身体をうつ伏せから仰向けに向けると顔を見た。 

「男だ」

「男だけど美形だな」

1匹の犬が服を掴み引き裂くともう1匹の犬が剛志の肌に触れなめたその時、レオが現れた。 

「お前ら何をしている」

「レオ様!」

「その者から離れここから去れ」 

「申し訳ございませんでした」

レオの恐ろしい顔にビビリ2匹の犬は急いでその場から離れていった。 

レオは剛志の側に座り手を向け引き裂かれた服を元に戻すと無言で剛志を見守った。

それから暫くして剛志が目を覚ますとレオが話しかけた。 

「目が覚めたか」

「……」

慌てて身体を起こし剛志が見つめると再びレオが話しかけた。 

「逃げ出すほど俺が嫌いか?」 

「あんたは俺の身体をムリヤリ奪った、あんたの側に居たくない」

「そうだよな」

「俺をムリヤリ妻にしようとしてるのか」

「そうだと言ったらどうする」

レオが目を向けると剛志は立ち上がり口を開いた。 

「俺はレオンさんが好きです、俺をムリヤリ妻にしようとするのは止めてください」

「……」

剛志の言葉にレオは無言で立ち上がり目を向けると口を開いた。 

「わかった、君のこと諦めるよ」

「本当ですか」

「約束する」

「……」

「なぜ泣いてるんだ」

涙を流す剛志にレオが話しかけると剛志は涙を拭い口を開いた。 

「レオさんにムリヤリ身体を奪われたとき俺はレオさんのこと恨んでました」

「そうだよな」

「本当は優しい方だったんですね、恨んでゴメンなさい」

「恨んで当然だ、君が謝ることはない」

「……」

「君を家に帰してやる」

「……」

「俺の側に」

「はい」

剛志が近づくとレオは剛志の手を掴み口を開いた。 

「ルークに気を許すな」

「どうしてですか?」

「君を手に入れるためならルークは何でもする、レオンの命を奪ってでも君を手に入れようとする」

「わかりました」

「レオンに伝えてくれ、ルークに負けるなと」

「わかりました」

「剛志君、元気で」

そう言ってレオは剛志の唇に別れのキスをし剛志から離れると姿を消していく剛志をレオはじっと見送った。 

「……」

両目を閉じながら立ったまま寝室に姿を現した剛志はゆっくり両目を開き驚いた。 

「俺の寝室…家に戻ってきたんだ…」

剛志が口にしたその時、レオンが現れ抱きしめられた。 

「無事で良かった」

「……」

「怪我は大丈夫か」

レオンが見つめると剛志は何も言わずレオンの唇に唇を重ねた。

その後、剛志は唇を離し驚いた顔で見つめるレオンに「俺をレオンさんの妻にしてください」と言って抱きつくとレオンは剛志を強く抱きしめた。 
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