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願いが叶う水晶玉を操る三毛猫の剛

第5話

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学の手を握りながら金色の瞳の力を注ぎ続けて1時間後、勇気は温もりを感じた。

「温もりを感じる」

「それじゃ俺は」

「もう死人じゃない」

そう言って勇気が手を離すと学は手首を見た。 

「傷が消えてる」

「良かった…」

「勇気さん」

倒れかける勇気を学は慌てて抱き止めた。

「大丈夫ですか?」

「…すみません…力を使いすぎたようです…」

そう言って勇気が眠りにつくと学は勇気を仰向けで寝かせ壁に近づくと壁にもたれながら体育座りで座り眠る勇気を見つめた。      

「このままここからに逃げて剛さんの元に…」

立ち上がると学は階段を下り廃墟ビルを出ると森林に向かった。 

そして学は森林で嬉しそうな顔で大介と寄り添っている剛の姿を見た。

「そうだよな、今の剛さんには大介さんが居る」

そう言って学が森林を歩いていくと大介に寄り添っていた剛が目を向けた。 

「学…」

「剛さん?」

「すぐ戻る、白、黒、灰、大介を頼む」

そう言って剛は走り出し歩いていく学に声をかけた。 

「待ってくれ」

「……」

背を向けたまま学が立ち止まると剛が声をかけた。 

「悩みがあって来たんじゃないんですか?」 

「……」

無言で学が振り返ると剛は驚いた。 

「学…」

「剛さん」

「……」

「来ないでください」

近づこうとする剛を止めると学は勇気への思いを口にした。 

「俺は勇気さんの力によって命が復活しました」 

「勇気?…俺を襲ったヤツか」

「命を復活させてくれたのは勇気さんだけど俺を呼んだのは大介さんなんだ」 

「大介さんが」

「大介さんの涙が水晶玉となりその水晶玉が俺を呼んだ」 

「……」

「剛さん、大介さんを大切にね」

「学…」

消えていく学を剛は見つめながら見送った。 

「剛さん」

「……」

背後から名を呼ばれ振り返ると剛は大介に目を向け近づくと抱きしめた。 

その姿を見ていた白と黒と灰は2人きりにするためその場から消えていった。 

ー廃墟ビルー 

学がビルの中に姿を現すと2階から勇気が声をかけた。 

「戻ってくるとは思わなかったよ」

「……」

無言で階段を上がり勇気に近づくと学は勇気を抱きしめ口を開いた。 

「剛さんに別れを言ってきました」

「……」

「俺は勇気さんの側に居ます」

「剛さんに未練はないのか?」 

「剛さんには大介さんが居ます」 

そう言って勇気から離れると学は顔を近づけ唇を重ねた。   

その後、互いの唇が離れ見つめ合うと学と勇気は身体を倒し身体を重ねた。 

ー人混みの中ー 

森林で黒と灰と別れ1人で白が人混みの中を歩いていると背後から芽愛に手首を掴まれ立ち止まり振り向いた。 

「…君は…」

「やっと見つけた」 

「俺に何かようですか?」

「一目惚れしたの」

「え?…」

「私の家に行きましょう」

「え…ちょっと…」

芽愛に手首を掴まれたまま白は芽愛と共に芽愛の家に向かった。 

1時間後、芽愛の家の前に着いた白は芽愛に手首を掴まれたまま家の中に連れ込まれ玄関先で唇を奪われた。 

芽愛を離れさせ「何をするんだ」と白が口にすると芽愛が口を開いた。 

「あなたに気絶させられ眠ってたけど1時間しない間に目を覚ましすぐにあなたを探しに出たの」

「なぜ俺を」 

「言ったでしょ一目惚れしたって」

「……」

「好きな人が居るの?」 

「好きな人は居ません」

「私のこと嫌い?」

「女性に一目惚れしたって言われたの初めてだから驚いています」

「これだけ答えて」

「はい」

「私のこと嫌い?好き?」

「…好きです…」

「私、真剣であなたに恋してるのだから真剣に答えて」 

「……」

「今から私を抱いてと言ったらどうする」

「……」

真剣な顔で見つめる芽愛に白は芽愛を抱き寄せ唇を重ねた。 

その後、白は唇を離し口を開いた。 

「俺の答えです」

「芽愛と呼んでください」

「芽愛さん」

「何てお呼びしたら」

「白と呼んでください」

「白さん」

「芽愛さん」

互いの名前を呼び合うと芽愛と白は玄関を離れ寝室に向かいベッドで愛し合った。

黒と灰も何もなかったかのように普通の生活を始めた。 

水晶は森林で剛と大介に会い勇気のことを話した。 

「剛と大介さんに勇気のことで話がある」

「水晶、勇気さんは新しい生活を始めている」

「え…」

「……」

剛は魔法の杖を使って廃墟ビルで愛し合っている学と勇気の姿を水晶に見せた。 

驚いた顔で水晶が見つめると大介が口を開いた。 

「勇気さんがしたこと忘れます、水晶さんも忘れてください」

「大介さんは勇気がしたこと忘れられるんですか」

「忘れます、だって今の勇気さんは優しい顔をしてるから」

「優しい顔?」 

「学さんが勇気さんの心を浄化しただから優しい顔になった」

大介の会話後、剛が水晶に向かって口を開いた。 

「学が居れば勇気さんは大丈夫だ、だから水晶も安心して普通の生活を始めろ」

「2人が言うなら俺も普通の生活を始めるよ」

「水晶、幸せな生活を」

「剛も大介さんと幸せな生活を」

そう言って水晶は差し出された剛の手を握りその後、水晶は森林を去っていった 。  

2人きりなった剛と大介は寄り添いながら青空を見つめた。 

それから暫くして大介が口を開いた。 

「学さんに会って話しがしたいです」

「え…」

「言いたいことがあるんです、学さんに会わせてください」

そう言って大介が見つめると剛が口を開いた。 

「わかった、学を大介の家に連れていくよ」 

「ありがとうございます」

そう言って剛の唇に唇を重ねると大介は森林から離れていった。 

翌日、剛が学を連れて大介の家に現れた。 

「剛さん、学さんと2人きりで話したいです」

「わかった、外で待ってる」

そう言って剛が玄関から外に出てドアを閉めると大介が口を開いた。 

「剛さんが驚くのもわかります、本当にそっくり」

「話ってなんですか?」

「約束してください、自ら命を奪わないと」

「勇気さんを残して自ら命を奪うことなんかしません」

「それを聞いて安心しました」

「大介さん、剛さんのこと頼みますね」

「はい」

真剣な顔で大介が返事をすると学はその場から消え勇気が待つホストクラブユウキに向かった。 

大介はドアを開き剛を中に入れると抱きついた。

「学は?」

「帰りました」

「大介…」

大介を離れさせ顔を見つめると剛は唇を重ねた。

その後、剛は森林に向かい大介はホストクラブクリスタルに向かい仕事を始めた。 
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