歌の光花

古川優亜

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春の物語

人と関わってね

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「嘘だろ?なんでウカには懐いて俺には威嚇すんだよ!!」
サムが昨日の事気にしていたのか朝食を食べ終わって後片付けをしていたら訪ねてきた。
「何となくサムは舐めていいって思ってるんじゃない?」
サラは私と一緒に食器洗いを手伝ってくれてるんだけどどうしていつもケンカするのに2人は一緒にいるのかな?
「んだと!サラは舐められてないっていう自信あんのかよ!」
「あ、やっぱり舐められてるって感じてたんだ。」
サムが食いついたらサラはわざとらしくおどけながらサムの言葉をかわしていた。
「こいつら、うるさい。」
男の子は私のスカートを掴むとぼそっと言った。
う~ん。この子は人見知りなのかな?
「とりあえず、馬鹿なサムは置いといて。」
「いや、置いとくなよ!」
「馬鹿なのは認めるんだ?」
「サラ!!」
「はいはい!2人とも子供の前で痴話げんかは止めて!」
「「誰と誰が夫婦じゃ!!!」」
2人に大きな声で言われ私は肩をすくめた。


「んで、名前なんだよ。」
サムとサラのケンカがようやくひと段落付きサムが苛立たちながら言った。
「サム、怖い顔しすぎじゃない?」
「うるせぇ!」
「・・・何でこんな奴らと仲良くしてるの。」
「おい!俺たち2人は無視かよ!」
男の子がぼそっと言ったことは地獄耳のサムに入ったらしい。
「はは。こんな奴らじゃないよ。私がこの村にいれるのは私を受け入れてくれたサムとサラのおかげだよ?
君に会えたのもサムがこの仕事を提案してくれたからなんだよ?」
私が肩にそっと手を置いて言うと男の子は驚いたように目を丸くしていた。
「こいつが?・・・俺と・・・??」
下を向いて何か考えているみたいでその後は何も言わなくなった。
どうして男の子っていつもいきなり黙るんだろう?
「名前・・・は、、、俺の名前は、チョコ!!!」
突然立ち上がってどうしたんだろうと思っていたら大きな声で名前を教えてくれた。
チョコ。チョコチョコチョコ!!
「素敵な名前だね、チョコ。」
笑顔からそう言うとチョコは嬉しそうに笑った。
「へへ。ありがと、ウカ姉さん!」
え?今。
「て、おい!」
私は思わず突っ込んだ。
「チョコ、どこに行ったの!!」
チョコに初めて読んでもらえたのが嬉しくて一瞬目を離したらサムと一緒に消えている!!
そして
「何で、2人を止めてくれなかったの!?サラ!!」
サムの行動に絶対に気づくであろうサラがのんびりしているし!!
「なんか、2人で楽しそうに二ヤツいてたから大丈夫かな~って」
いや!大丈夫じゃない!!絶対にやばいやつ!!!
「まぁまぁ、落ち着きなよ、ウカ。なんかあったらサムが守るっしょ。」
そっちは心配してません!
私が心配してるのは
「サムが変な事教えないといいけれど・・・。」
「まぁまぁ、可愛い子には旅をさせろって言うじゃない?」
1人で頭を抱え込んでいたらサラが軽い調子で私に言った。
うん、まぁ人と関わってくれるならそれでいいかな。
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