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第一部 ライアス編
エルド王国(前編)
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村での話し合いが行われた後、ライアスとマリアはエルローズの村に別れを告げて、ユミ将軍と第3騎士団と共に王都エルド王国を目指す。
護衛の騎士団は屈強で頼もしい。散開し陣形を保ちながら進む。ライアスとマリアは村にあった荷馬車の中で騎士団に大切に守られる様に王都に向かう。
「でも驚いたな…ライアスがあんなに強いなんて、いつから修行していたの?」
「7年前位かな。老師との出会いは…懐かしいけど、とても厳しい修行だったよ。」苦笑いしながら続けて話した。
「僕はマリアと違って魔法はダメだったからね。でもこんな僕でも老師と知り合えて魔族と戦えるようになる事が出来たよ。」
「これから国王様に会うんだよね?その後はどうするの?」
「まずは国王様に会って、老師の居場所を探して魔族に苦しめられている人々を救って行こう!その為にも僕達二人だけじゃダメだ。」
「仲間を探すのね」
「そうだね。魔族と戦う為にも仲間を集めないと!」
ライアスとマリアが話している間にも、周りの景色が変わってきた。
エルド王国の王都が見えてきた。広い草原の先には美しい城だ。周りは巨大な城壁に囲まれ、その中に街がある。
城壁には見張りの兵がいる。こんなに美しい国なのに嫌でも戦争中という事を忘れさせてはくれない。城壁の上には弩弓兵に魔法兵が多くいる。
二人が城壁の方を見ていると、騎乗して近くにいたユミ将軍が話し掛けてきた。
「先の戦いの事もあり、伝令の知らせを受けて王都も警備が厳重になっているのだ。」
「王都でも冒険者に有名な宿屋を手配してあるので、今日は旅の疲れを癒すのが良いだろう。明日、迎えの者をよこすので、国王に会って欲しい。」
「分かりました。お心遣いありがとうございます。」
王都に入るとエルローズの村とは違い人々と大きな建物が建ち並んでいる。そして騎士団の帰還と共に街中から歓声があがる。
「姫様だ~!!」
「姫様が戻られたぞ~!」
「お帰りなさい、姫様!!」
「姫様ばんざーい!!!」
エルローズ村での戦いが王都の街人達にも広まっているようだ。
すごい喜びようだが無理もない。
民衆の期待は相当なものだ。
ユミ姫は第5王女でありながら将軍である。
しかも自ら魔族に切り込み圧倒的な強さを示す。姫様がこの国にいる限り、魔族が押し寄せてこようと負けないであろうと。
「では、また明日な。」ユミ将軍に言われた宿屋まで送り届けてもらい、二人は宿屋の中に入った。
宿屋だが、一階は冒険者達が集まって食事が出来るようになっている。上の階がどうやら宿泊施設のようだ。
二人は宿屋の女主人に挨拶をした。
「本日はお世話になります。」ライアスが挨拶をすると、女主人は笑顔で出迎えてくれた。
「まあまあ、良くお越しくださいました。こっちにまで話は来てますよ。魔族の大軍を姫様と一緒に撃退したってね。」女主人はとても頼りがいのある女将という感じである。ちょうど夕食の時間という事もあって一階は賑わっている。
店の奥にある階段で二階に女将さんの案内で行こうとした時、食事をしている冒険者達の中の一人がライアスとマリアに向かって声を掛けてきた。
「あんたらがエルローズ村の英雄さん達かい?姫様と一緒に魔族を撃退したんだって?」
すると食事や酒で賑わっていた冒険者達の視線が一斉にこちらに向いた。
「なんでも魔族の将軍を倒したんだってさ。」
「その話、聞いてるぞ。」
「王様に呼ばれて魔王を討ちに行くんだろ!」
最初に話し掛けて来た男が近づいて来て話してくる。歳は20台半ばであろうか。
「まさか二人で旅をして魔王を倒すなんて言うんじゃないだろうな。」
「そんな無謀な事はしないよ。冒険をしながら仲間を集めて魔王を倒して見せるよ。」ライアスは力強く、だがいつものような優しい表情で男に言った。
「そうかい。その冒険についていってくれる仲間には心当たりはあるのかい?」
「そうだね。僕達は、まだこの街に来たばかりだし明日は王様にも謁見するんだけど…心当たりはあるよ。」
「ほう?」と、その男はライアスを確かめるように首をかしげながら見てくる。
「お兄さん、貴方はかなりの使い手だね。短剣二刀流に魔力も高い。ただの斥候…という訳でも無さそうですね。」ライアスは自信を持って問い掛けた。
「ぷっ…はっはははぁ~。」男はたまらず笑いこけた。
「大したもんだ、魔王を倒せるかもしれないって街の奴らがほざいてたからな…どれ程の奴かと思ったが…なるほど。あながち嘘でも無さそうだな。」男はそう言うと
「オレぁクラウドってんだ。一応は斥候で情報を売って生業にしてるんだ。武器は短剣に、まあ妨害魔法や探知魔法が得意だ。そっちの嬢ちゃんのようには攻撃魔法は得意じゃないんだかな。」とライアスとマリアを見ながら、ご機嫌で話した。
お酒も入っているのか上機嫌で話す。探知魔法が得意なのも本当だろう。マリアは今は杖は荷物にしまってあるから魔術師とは気付かない。おそらく魔力を探知したのだろう。
「クラウドさん、魔王退治を手伝って頂けませんか?」マリアが直球で尋ねた。
「ははぁは~。面白い嬢ちゃんだな。単刀直入過ぎやしないかい?…まぁ話によっちゃあ仲間になってやってもいいぜ。」
「本当ですか!」マリアはぱぁっと顔を喜ばせて言った。
「いいのですか?こんなに簡単に決めてしまって。」ライアスがクラウドに驚いたように聞いてきた。
「俺ぁ…まぁ、そのなんだ…色々あるのさ。あんたらが本当に魔王を倒すってんなら、ついて行くぜ。」
何か話したくない理由があるのだろう…。
この戦争状態の中で軍隊に入らずに冒険者稼業を生業にしている人達は過去に色々な犠牲を伴ってきた人達ばかりと聞いている。
「明日、国王との謁見が終わったらこの店で待ってるからよ。宜しく頼むや。」クラウドはそう言うと自分が食事をしていた席に戻り酒の続きを始めた。
ライアスとマリアは女将と一緒に今日の宿の部屋に案内された。二人は隣同士の部屋だ。
荷物を置いてしばらく休んでいたら、食事が運ばれてきた。マリアはライアスの部屋に行き一緒に食事をとることにした。
「今日は色々あったね。早くも仲間が見つかるなんてね。」マリアが嬉しそうに食事をとりながら話し掛ける。
「そうだね。頼もしい仲間が出来て心強いね。マリアも無理をしないで、今日はゆっくり休んで。」
「えっ?あ、ありがとう。どうしたの急に?」
「あの戦いの後から魔法の練習をずっと続けているから。」
「気付いていたんだ。少しでもライアスの力になりたくて…。でも、今日はゆっくり休むわ。女将さんの料理、どれも美味しいね。」
二人で食事を満足に食べて、ゆっくりと休む事にした。明日はエルド王国の国王に旅立ちの挨拶をするためだ。
そして彼らの冒険が始まる…。
護衛の騎士団は屈強で頼もしい。散開し陣形を保ちながら進む。ライアスとマリアは村にあった荷馬車の中で騎士団に大切に守られる様に王都に向かう。
「でも驚いたな…ライアスがあんなに強いなんて、いつから修行していたの?」
「7年前位かな。老師との出会いは…懐かしいけど、とても厳しい修行だったよ。」苦笑いしながら続けて話した。
「僕はマリアと違って魔法はダメだったからね。でもこんな僕でも老師と知り合えて魔族と戦えるようになる事が出来たよ。」
「これから国王様に会うんだよね?その後はどうするの?」
「まずは国王様に会って、老師の居場所を探して魔族に苦しめられている人々を救って行こう!その為にも僕達二人だけじゃダメだ。」
「仲間を探すのね」
「そうだね。魔族と戦う為にも仲間を集めないと!」
ライアスとマリアが話している間にも、周りの景色が変わってきた。
エルド王国の王都が見えてきた。広い草原の先には美しい城だ。周りは巨大な城壁に囲まれ、その中に街がある。
城壁には見張りの兵がいる。こんなに美しい国なのに嫌でも戦争中という事を忘れさせてはくれない。城壁の上には弩弓兵に魔法兵が多くいる。
二人が城壁の方を見ていると、騎乗して近くにいたユミ将軍が話し掛けてきた。
「先の戦いの事もあり、伝令の知らせを受けて王都も警備が厳重になっているのだ。」
「王都でも冒険者に有名な宿屋を手配してあるので、今日は旅の疲れを癒すのが良いだろう。明日、迎えの者をよこすので、国王に会って欲しい。」
「分かりました。お心遣いありがとうございます。」
王都に入るとエルローズの村とは違い人々と大きな建物が建ち並んでいる。そして騎士団の帰還と共に街中から歓声があがる。
「姫様だ~!!」
「姫様が戻られたぞ~!」
「お帰りなさい、姫様!!」
「姫様ばんざーい!!!」
エルローズ村での戦いが王都の街人達にも広まっているようだ。
すごい喜びようだが無理もない。
民衆の期待は相当なものだ。
ユミ姫は第5王女でありながら将軍である。
しかも自ら魔族に切り込み圧倒的な強さを示す。姫様がこの国にいる限り、魔族が押し寄せてこようと負けないであろうと。
「では、また明日な。」ユミ将軍に言われた宿屋まで送り届けてもらい、二人は宿屋の中に入った。
宿屋だが、一階は冒険者達が集まって食事が出来るようになっている。上の階がどうやら宿泊施設のようだ。
二人は宿屋の女主人に挨拶をした。
「本日はお世話になります。」ライアスが挨拶をすると、女主人は笑顔で出迎えてくれた。
「まあまあ、良くお越しくださいました。こっちにまで話は来てますよ。魔族の大軍を姫様と一緒に撃退したってね。」女主人はとても頼りがいのある女将という感じである。ちょうど夕食の時間という事もあって一階は賑わっている。
店の奥にある階段で二階に女将さんの案内で行こうとした時、食事をしている冒険者達の中の一人がライアスとマリアに向かって声を掛けてきた。
「あんたらがエルローズ村の英雄さん達かい?姫様と一緒に魔族を撃退したんだって?」
すると食事や酒で賑わっていた冒険者達の視線が一斉にこちらに向いた。
「なんでも魔族の将軍を倒したんだってさ。」
「その話、聞いてるぞ。」
「王様に呼ばれて魔王を討ちに行くんだろ!」
最初に話し掛けて来た男が近づいて来て話してくる。歳は20台半ばであろうか。
「まさか二人で旅をして魔王を倒すなんて言うんじゃないだろうな。」
「そんな無謀な事はしないよ。冒険をしながら仲間を集めて魔王を倒して見せるよ。」ライアスは力強く、だがいつものような優しい表情で男に言った。
「そうかい。その冒険についていってくれる仲間には心当たりはあるのかい?」
「そうだね。僕達は、まだこの街に来たばかりだし明日は王様にも謁見するんだけど…心当たりはあるよ。」
「ほう?」と、その男はライアスを確かめるように首をかしげながら見てくる。
「お兄さん、貴方はかなりの使い手だね。短剣二刀流に魔力も高い。ただの斥候…という訳でも無さそうですね。」ライアスは自信を持って問い掛けた。
「ぷっ…はっはははぁ~。」男はたまらず笑いこけた。
「大したもんだ、魔王を倒せるかもしれないって街の奴らがほざいてたからな…どれ程の奴かと思ったが…なるほど。あながち嘘でも無さそうだな。」男はそう言うと
「オレぁクラウドってんだ。一応は斥候で情報を売って生業にしてるんだ。武器は短剣に、まあ妨害魔法や探知魔法が得意だ。そっちの嬢ちゃんのようには攻撃魔法は得意じゃないんだかな。」とライアスとマリアを見ながら、ご機嫌で話した。
お酒も入っているのか上機嫌で話す。探知魔法が得意なのも本当だろう。マリアは今は杖は荷物にしまってあるから魔術師とは気付かない。おそらく魔力を探知したのだろう。
「クラウドさん、魔王退治を手伝って頂けませんか?」マリアが直球で尋ねた。
「ははぁは~。面白い嬢ちゃんだな。単刀直入過ぎやしないかい?…まぁ話によっちゃあ仲間になってやってもいいぜ。」
「本当ですか!」マリアはぱぁっと顔を喜ばせて言った。
「いいのですか?こんなに簡単に決めてしまって。」ライアスがクラウドに驚いたように聞いてきた。
「俺ぁ…まぁ、そのなんだ…色々あるのさ。あんたらが本当に魔王を倒すってんなら、ついて行くぜ。」
何か話したくない理由があるのだろう…。
この戦争状態の中で軍隊に入らずに冒険者稼業を生業にしている人達は過去に色々な犠牲を伴ってきた人達ばかりと聞いている。
「明日、国王との謁見が終わったらこの店で待ってるからよ。宜しく頼むや。」クラウドはそう言うと自分が食事をしていた席に戻り酒の続きを始めた。
ライアスとマリアは女将と一緒に今日の宿の部屋に案内された。二人は隣同士の部屋だ。
荷物を置いてしばらく休んでいたら、食事が運ばれてきた。マリアはライアスの部屋に行き一緒に食事をとることにした。
「今日は色々あったね。早くも仲間が見つかるなんてね。」マリアが嬉しそうに食事をとりながら話し掛ける。
「そうだね。頼もしい仲間が出来て心強いね。マリアも無理をしないで、今日はゆっくり休んで。」
「えっ?あ、ありがとう。どうしたの急に?」
「あの戦いの後から魔法の練習をずっと続けているから。」
「気付いていたんだ。少しでもライアスの力になりたくて…。でも、今日はゆっくり休むわ。女将さんの料理、どれも美味しいね。」
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