6 / 40
第一章
第6話 装備を整える
しおりを挟む
翌日、僕はミサキと一緒に試験のために準備を整えることにした。まずは僕の武器防具を揃えるのが先決ということで、僕たちは街で一番大きい武具店へとやってきた。武具店はエリュシウス中央広場のすぐ近くにあり、名前は『ガイスハンマー』という店だった。名前からしてすごく武具店って感じだなと僕は思った。
ガイスハンマーは街で一番大きいというだけあって、店内はかなり広く、たくさんの武器や防具が所狭しと陳列されていた。カウンターには、店主と思しき40代ぐらいのとてもガタイのいい男が座っていて、チラリとこちらを見た。僕たちは特に気にすることなく武器コーナーへと向かう。
「色々あるけど、どの武器にする?」
武器コーナーでミサキがそう僕に聞いた。武器コーナーには剣、短剣、大剣、槍、斧、弓といった様々な武器が並べられている。
「うーん、個人的にはやっぱり剣かな。一番使いやすそうだし」
「そう。じゃあこの少し短めのてつの剣はどう? 軽くて扱いやすいし、初心者向きだと思う」
そう言ってミサキは一振りのてつの剣を取り、僕に差し出した。僕は剣を取り、その場で少し振ってみる。……確かに軽くて振りやすいと感じた。値段もなんとか予算内に収まる程度だ。
(うん、いい感じだ。最初はこういうのでいいかも)
その後、他の武器もいくつか触ってみたけれど、僕は結局このてつの剣を買うことにした。
「それじゃ、次は防具ね。……君の予算だと中古の革鎧がギリギリかな」
次に僕たちは防具コーナーと向かった。防具コーナーにはローブといった軽めの装備から重鎧といった重めの装備まで色々揃っていた。ただ、全体的に値段がとても高く、ミサキの言う通り、僕が買えるのは特価で売っていた中古の革鎧が精々だった。予算的にこれ以外に買えるものはなかったので、僕の防具は中古の革鎧にすぐに決まった。
買うものが決まったので、僕はてつの剣と中古の革鎧を携えてミサキと一緒にカウンターへと向かった。僕はカウンターの上にてつの剣と中古の革鎧を置いて、この二つを購入したい旨を店主と思しき男に告げた。すると、男は無表情で僕に代金の額を告げる。
代金を支払うと、男は僕の方を見て何やら話しかけてきた。
「……冒険者志望か?」
「え? えっと、まぁ、そんなところです……」
実際は僕はただのミサキの付添いだけど、説明するのが面倒くさかったのでそう返答をする。
「ふ、そうか。『最初の試練』、頑張れよ」
男はそう言った。
店を出ると、ミサキが「あの人がガイスハンマー店主のガイスさんらしいわよ。気難しいけど根は優し
いんだって」と言った。僕は確かにと思った。
「それじゃあ、一応スキル店にも寄っておこっか」
ミサキの提案で、僕たちは次にスキル店に寄ることになった。スキル店というのはその名の通り、使うとスキルを習得できる【スキル書】を売っているお店のことだ。最初に聞いたときにはとても驚いたけど、この世界ではスキルはスキル書を使うことで誰でも覚えることができるらしい。そして、そのスキル書は普通に専門のお店に行けば売っているとのことだった。
(スキルがあるだけでもびっくりだけど、まさかそれが店売りされてるとはね……)
僕はそう思いつつも、自分でもスキルを覚えられるかもしれないという期待に少し胸を踊らせていた。
そんなわけで、僕たちは武具店から少し離れたところにあったスキル店へと向かった。
スキル店はミサキ曰く「この街の冒険者の御用達」ということもあって、かなり大きな店だった。さっきの武具店と同じぐらいの規模だろうか。看板にはスキル店『バルロシェ』という文字があった
店内では何やらよくわからない魔法陣や呪文のようなものが記された紙が、至る所に陳列されている。これがいわゆるスキル書というものだろう。スキル書を見るのは僕にとって初めてのことだった。
僕は適当に近くにあったスキル書を手に取ってみる。ラベルには【麻痺攻撃】の文字があった。……名前的にきっとこのスキルは相手に麻痺を与える効果があるスキルだろうと僕は思った。
僕は何気なくスキルに付いていた値札に目をやる。
「うわ、たっか……」
僕は思わずそう呟いた。実際、それは相当の高値だった。現代日本で例えるなら最新のスマホ数台分ぐらいの値段ぐらいにはなるんじゃないだろうか……。僕は予想外の値段に驚きつつも、他のスキル書もいくつかチェックしてみた。
……しかし、どれも軒並み値段が高く、中には僕の当面の生活費の1年分を超える値段のものもあった。金欠の状態にある今の僕にはとてもじゃないけど手が出せるものではなかった。いや、お金があってもこの値段はキツいかも……。
「スキル書ってこんなに高いんだね……」
僕は隣にいるミサキにそう言った。
「うん。スキル書は基本的にとても高い。有用なものになればなるほど、値段は上がっていく」
「そうなんだ……」
僕は初めてスキルが覚えられるとわくわくしていたけれど、その期待は脆くも崩れ去った。また後でお金が貯まったら来ようと僕は思った。
僕はここでスキルは買わなかったけど、ミサキは【索敵】のスキルを買っていた。【索敵】は自分の周りの一定範囲内にいる人間やモンスターの気配を察知することができるスキルらしい。効果範囲はレベルによるんだとか。
ガイスハンマーは街で一番大きいというだけあって、店内はかなり広く、たくさんの武器や防具が所狭しと陳列されていた。カウンターには、店主と思しき40代ぐらいのとてもガタイのいい男が座っていて、チラリとこちらを見た。僕たちは特に気にすることなく武器コーナーへと向かう。
「色々あるけど、どの武器にする?」
武器コーナーでミサキがそう僕に聞いた。武器コーナーには剣、短剣、大剣、槍、斧、弓といった様々な武器が並べられている。
「うーん、個人的にはやっぱり剣かな。一番使いやすそうだし」
「そう。じゃあこの少し短めのてつの剣はどう? 軽くて扱いやすいし、初心者向きだと思う」
そう言ってミサキは一振りのてつの剣を取り、僕に差し出した。僕は剣を取り、その場で少し振ってみる。……確かに軽くて振りやすいと感じた。値段もなんとか予算内に収まる程度だ。
(うん、いい感じだ。最初はこういうのでいいかも)
その後、他の武器もいくつか触ってみたけれど、僕は結局このてつの剣を買うことにした。
「それじゃ、次は防具ね。……君の予算だと中古の革鎧がギリギリかな」
次に僕たちは防具コーナーと向かった。防具コーナーにはローブといった軽めの装備から重鎧といった重めの装備まで色々揃っていた。ただ、全体的に値段がとても高く、ミサキの言う通り、僕が買えるのは特価で売っていた中古の革鎧が精々だった。予算的にこれ以外に買えるものはなかったので、僕の防具は中古の革鎧にすぐに決まった。
買うものが決まったので、僕はてつの剣と中古の革鎧を携えてミサキと一緒にカウンターへと向かった。僕はカウンターの上にてつの剣と中古の革鎧を置いて、この二つを購入したい旨を店主と思しき男に告げた。すると、男は無表情で僕に代金の額を告げる。
代金を支払うと、男は僕の方を見て何やら話しかけてきた。
「……冒険者志望か?」
「え? えっと、まぁ、そんなところです……」
実際は僕はただのミサキの付添いだけど、説明するのが面倒くさかったのでそう返答をする。
「ふ、そうか。『最初の試練』、頑張れよ」
男はそう言った。
店を出ると、ミサキが「あの人がガイスハンマー店主のガイスさんらしいわよ。気難しいけど根は優し
いんだって」と言った。僕は確かにと思った。
「それじゃあ、一応スキル店にも寄っておこっか」
ミサキの提案で、僕たちは次にスキル店に寄ることになった。スキル店というのはその名の通り、使うとスキルを習得できる【スキル書】を売っているお店のことだ。最初に聞いたときにはとても驚いたけど、この世界ではスキルはスキル書を使うことで誰でも覚えることができるらしい。そして、そのスキル書は普通に専門のお店に行けば売っているとのことだった。
(スキルがあるだけでもびっくりだけど、まさかそれが店売りされてるとはね……)
僕はそう思いつつも、自分でもスキルを覚えられるかもしれないという期待に少し胸を踊らせていた。
そんなわけで、僕たちは武具店から少し離れたところにあったスキル店へと向かった。
スキル店はミサキ曰く「この街の冒険者の御用達」ということもあって、かなり大きな店だった。さっきの武具店と同じぐらいの規模だろうか。看板にはスキル店『バルロシェ』という文字があった
店内では何やらよくわからない魔法陣や呪文のようなものが記された紙が、至る所に陳列されている。これがいわゆるスキル書というものだろう。スキル書を見るのは僕にとって初めてのことだった。
僕は適当に近くにあったスキル書を手に取ってみる。ラベルには【麻痺攻撃】の文字があった。……名前的にきっとこのスキルは相手に麻痺を与える効果があるスキルだろうと僕は思った。
僕は何気なくスキルに付いていた値札に目をやる。
「うわ、たっか……」
僕は思わずそう呟いた。実際、それは相当の高値だった。現代日本で例えるなら最新のスマホ数台分ぐらいの値段ぐらいにはなるんじゃないだろうか……。僕は予想外の値段に驚きつつも、他のスキル書もいくつかチェックしてみた。
……しかし、どれも軒並み値段が高く、中には僕の当面の生活費の1年分を超える値段のものもあった。金欠の状態にある今の僕にはとてもじゃないけど手が出せるものではなかった。いや、お金があってもこの値段はキツいかも……。
「スキル書ってこんなに高いんだね……」
僕は隣にいるミサキにそう言った。
「うん。スキル書は基本的にとても高い。有用なものになればなるほど、値段は上がっていく」
「そうなんだ……」
僕は初めてスキルが覚えられるとわくわくしていたけれど、その期待は脆くも崩れ去った。また後でお金が貯まったら来ようと僕は思った。
僕はここでスキルは買わなかったけど、ミサキは【索敵】のスキルを買っていた。【索敵】は自分の周りの一定範囲内にいる人間やモンスターの気配を察知することができるスキルらしい。効果範囲はレベルによるんだとか。
33
お気に入りに追加
597
あなたにおすすめの小説
女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
土岡太郎
ファンタジー
自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。
死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。
*10/17 第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。
*R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。
あと少しパロディもあります。
小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。
YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。
良ければ、視聴してみてください。
【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
https://youtu.be/cWCv2HSzbgU
それに伴って、プロローグから修正をはじめました。
ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。
異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
成長チートと全能神
ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。
戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!!
____________________________
質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。
落ちこぼれの烙印を押された少年、唯一無二のスキルを開花させ世界に裁きの鉄槌を!
酒井 曳野
ファンタジー
この世界ニードにはスキルと呼ばれる物がある。
スキルは、生まれた時に全員が神から授けられ
個人差はあるが5〜8歳で開花する。
そのスキルによって今後の人生が決まる。
しかし、極めて稀にスキルが開花しない者がいる。
世界はその者たちを、ドロップアウト(落ちこぼれ)と呼んで差別し、見下した。
カイアスもスキルは開花しなかった。
しかし、それは気付いていないだけだった。
遅咲きで開花したスキルは唯一無二の特異であり最強のもの!!
それを使い、自分を蔑んだ世界に裁きを降す!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる