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第13話(前篇):目撃

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     偽妹(ぎもうと)
―憎い男に身体を開かれていく―



■第13話(前篇):目撃






――夜







フミはサトシの運転する車に乗っていた。


この前のことを引きずっていた。

ミカのことで動揺していたとはいえ、後日冷静になってみると、
サトシにはずいぶん嫌な一面を見せてしまった。



・・・そして、サトシのあの真剣な言葉だった。


言われたことをフミは大切にしていた。
あんなに踏み込んだ言葉をぶつけられるとは思いもしなかった。

それだけにかえって恥ずかしかった。



サトシは普段とは変わらない顔をしている。
ここ数日の夜の悪戯いたずらもこれまでと同じようだった。



フミとサトシの日常に戻っていったようだったが、
彼女の心には変化が訪れていた・・・。




(・・・ごめんなさい・・・もう・・・)



ソウタのことが色褪いろあせてしまった。

学校に行けば彼に会うが、クラスメイトの仲のいい男子から
先に進める気がしなくなっていた。


おのれやみを到底彼に見せられない。



色んな秘密を互いにもってしまったサトシと比べて、
ソウタとの関係はまぶし過ぎた・・・。



ステージと客席との距離のように、彼女にとっては少し遠すぎた。
彼は確かに魅力的なのだが、それはあこがれに過ぎなかったのかもしれない。



・・・無いものねだり・・・


まばゆいものを身近に見つけて、思わず触れてみたくなった。
近寄ってみると、その眩さは自分自身の闇を際立たせてしまった。





・・・車窓の外に街灯がぽわりぽわりと通り過ぎていった。






「着いたぜ・・・」



街の繁華街はんかがいから少し離れたところに、
飲み屋通りがある。

どことなく雑然としていて、
5mほどのはばの通路しかない。

おそらく古くからあるようで、
古めかしい建物が多かった。


そうした店並みにたまに4~5階建てのビルが立っている。
雑居ビルのようで、必ず入り口には各階の案内がかかげられていた。

う人々は、中年の男と若い女のふたり組みが多い。



サトシはフミを連れて飲み屋通りを進んでいく。

彼女ばかりが周囲の目を気にしていたが、
傍を通り過ぎる人もふたりに無関心だった。


街路灯をはじめ、立ち並ぶ店も照明がやや暗い。


派手さはまったく無いが、
楽しそうな話し声が聞こえてくる。


大人な雰囲気ふんいきに、フミは自分が場違いであるように思えた。
サトシに手を引かれながら、身を小さくするようにして歩いた。



それでも、通りの両サイドに立ち並ぶ
飲み屋が物珍しくて、キョロキョロしていた。



(この街にこんな通りがあったなんて・・・)


フミは自分が暮らしている街の意外なエリアを知った。

学校とアパートの往復がほとんどだった。
買い物をよくしているが、スーパーやコンビニばかりだった。




・・・サトシはあるビルに入っていく。




「ここは変わった店なんだ」


「わたし・・・お酒なんて飲めないよ・・・」


「心配すんな、ただ見て楽しむだけでいいから」


フミはどういう店なのか全く見当がつかなかった。
それでも「ただ見て楽しむだけ」ということに安心した。



・・・ンギギッ・・・


サトシがドアを開けると、重苦しい音をたてた。
奥に暗い照明の店内が広がっていた。


ふたりが足を踏み込むと、店員がすぐに寄ってきてエスコートした。
サトシが彼と簡単な言葉を交わすと、店の奥に通された。


いくつか個室が並んでいるなかの一室に入る。




黒くて柔らかなソファだった。
目の前にガラスの低いテーブルがある。


そこにすぐドリンクが運ばれてきた。


ソファに腰掛けると、目の前には透明な壁があって、
さらにその奥が見通せるようになっていた。



「分かるか、これマジックミラーなんだぜ・・・」



フミの目にはベッドルームが見えている。
照明の色がピンクっぽくて、どうも変だった。



「サトシ・・・これって一体・・・」


ここで何か見せ物が始まりそうなことは分かったが、
フミの頭には演劇部の上演のことぐらいしか思い浮かばなかった。



「・・・さ、始まるぞ」


サトシは見れば分かるというように、部屋を見ているように促した。


やがて、目の前の部屋にふたり組みの男女が入ってきた。

どちらも制服姿で女のほうの制服には見覚えがあった。
フミと同じ学校のものだった。






「え!?」




入ってきたのはアイカとシュウジだった。
初めて出会った海の家でのことが思い出される。





「アイカたちがどうしてこんなところに・・・」



「・・・まさか今夜のセックス・ショーが
アイカちゃんとシュウジくんとは・・・」


初めて聞く言葉だった。フミは悪い予感しかしなかった。
今さらながら、とんでもない店に入ってしまったと思った。



「知ってるカップルだと、すげぇ楽しめるかもな・・・
ここにいれば向こうの声もばっちり聞こえるぜ」


サトシの言葉が終わらないうちに、
マジックミラーの向こうのふたりはキスを始めた。



「・・・・・・・・・」


シュウジはアイカより少し背が高い。

彼が少し背を傾けて、アイカを抱き締めている。
彼女は彼の首に手を回して、ふたりは顔を密着させていた。


恋人同士の深いキス・・・


見たくない気分だったが、目だけはその光景を見つめてしまう。
アイカのうっとりした顔は、フミにはうらやましく、ねたましくさえ思えた。


初めて交わすようなものではなかった。
フミが見てもそれは慣れた振る舞いであることが分かった。




『も、もう・・・』


サトシが言うとおり、向こうの声が聞えてくる。


やがて、アイカはシュウジに抱きかかえられると、
ベッドに運ばれていった。


海で会ったときより、シュウジは大人な感じがした。

あのとき見せていた顔の他に、セックスのときはアイカに
大人な顔を見せていた。


そのシュウジの振る舞いに、フミはドキリとする。


アイカは制服を着たままで、
大きな枕に背をもたれさせて座らされた。



『んぁ・・・』


シュウジはアイカの股間に顔を埋めると、
愛撫を始めたようだった。



しきりに動くシュウジの頭。


アイカの足から下着が脱ぎ取られる。


『・・・んんっ・・・』


切ない顔をするアイカなど見たことが無かった。
そんな顔をする彼女がフミにはショックだった。




「・・・何てことを・・・」


あわあわする口を咄嗟とっさに手で隠す。
それでも、フミは目をらせなかった。



ボーイッシュな感じのある彼女が、
シュウジの愛撫を受けて、乙女の顔になっている。



・・・バサ・・・ガサガサ・・・


ふたりは身に着けている制服がもどかしいように、
次々と脱ぎ捨てていった。



あらわになるシュウジの素肌。

彼はすでに勃起していて、
肉棒がヘソに付かんばかりに反り返っていた。


アイカはシュウジの前にひざ立ちになって、
肉棒を手につかんでめ始めた。



『いつもあきれるぐらい元気だね・・・』


『アイカが可愛がってくれっからな・・・』


・・・ちゅっちゅっ・・・ぺろ・・・


アイカは肉棒の裏スジを下から上になぞり、
亀頭のところを集中的に舌先で刺激した。



『おぁ・・・そこッ』


シュウジの弱いポイントなのか、
アイカの責めに声をらした。



・・・じゅるるるっ・・・


アイカは口を大きく開けると、
貪欲どんよくそうな顔をしながらずっぽり咥え込んだ。



『おお・・・ぅあ・・・』



・・・じゅぷじゅぷ・・・




アイカの頭が忙しく動く。
肉棒のとりこになっているも同然に思えた。



(はしたない・・・)


フミはまゆをひそめる。

アイカのむき出しになったメスなど見たくはなかった。



『んっぱぁ・・・へへっ・・・
まだ射精させてあげないかんな・・・』


アイカは口から肉棒を引き抜くと、
不敵にシュウジを見上げた。




それはふたりの合図だったのだろうか。

シュウジは肩をすくめながら、ベッドに仰向あおむけになった。
アイカはその上にまたがる。


ぐっと腰を下げて、彼女は肉棒を握り、
慣れた手つきで陰部に差し入れた。




『んあっ!』 


『おお・・・』


妙になまめかしい声だった。



すぐさまアイカは下品に腰を振り始めた。




(・・・あのアイカが・・・)



屋上でダラダラし・・・


フミの話をじっくり聞き・・・


お菓子を食べたり・・・


笑ったり・・・



今では親友だと思っているそのアイカが、
彼氏のシュウジと激しくセックスしている。


女の友情を厚く感じていたのに、彼氏とセックスを楽しむ姿を見て、
その友情が揺らぐのを感じた。



「アイカの腰使いはすげぇな・・・」


サトシが感嘆した。
女の腰使いで肉棒への刺激はずいぶん変わってくる。


目の前で、アイカの腰がくねくねと肉棒を楽しんでいる。



「ああ・・・アイカ・・・」


目の前で腰を振っている彼女が別人のように思えた。
学校の屋上で知っている彼女とは違う一面だった。


色々と話をしていて、恋愛にかなり詳しいとは思っていた。
彼氏もいて、セックスもしていることは分かっていた。


それを実際に目にするのはまた違っていた。

セックスにずいぶん慣れていることが、
フミの胸にチリチリとしたかすかな痛みを生んでいた。



(・・・これが恋人同士というものなの・・・)



ふたりは互いに許し合っているようで、
自然に絡み合い、求め合っていた。



あの愛撫・・・


あの腰使い・・・



フミには様々な思いが渦巻いた。




ベッドでの騎乗位が終わると、
あろうことか、ふたりがこちらに寄ってきた。

アイカがマジックミラーに手を突いて、後ろに大きく尻を突き出す。
そうしたとたん、シュウジが躊躇ためらい無く後ろから肉棒をめる。




「もっと近くで見てやれよ」



「ええっ!?」



サトシはフミの手を引いて、
ふたりマジックミラーのすぐ傍まで近づいた。


本当にマジックミラーがあるのか疑わしくなるほど、
間近でアイカとシュウジが交わっていた。



目の前に映る光景は、想像以上に動物的な行為だった。



『ヤバ・・・すっごい感じちゃうっ!』


アイカの素直な感想に、フミはさらに恥ずかしくなった。



セックスしているときの女はこんなに乱れるのか、
とフミは目の前の光景に驚愕きょうがくしていた。



・・・ずっぱん!ずっぱん!・・・くちゅくちゅちゅっ!!



シュウジの腰使いが小刻こきざみに、早くなっていく。



『ああっ!イクイクイクっ!』



次の瞬間、アイカが顔をけ反らせ、
身体がガクガクと痙攣けいれんしている。


・・・ぷしゅしゅ・・・


マジックミラーに飛沫ひまつがかかった。



(・・・す、すごい・・・)


絶頂を迎えた女が潮を吹く。
フミはアイカの姿を目に焼き付けた。



『ああぁあああ・・・』


アイカは白目をいて、
絶頂を噛み締めていた。












(つづく)
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