やばい彼氏にご注意を

＊＊番外編＊＊ ｢とんでもない正月｣

＊＊16＊＊

「会えない時間が寂しすぎて、ラインを送っても俺の恋人はさ、さっぱり無視するんだもん」
「いや、お前自分の発言に責任持てよな？」
「ん？発言？」
「……教室で距離を置こうっつった話だよ！」
「あぁ、それね」そう言って有栖川はスルリと離れ反対側に座りこみテレビの音量を下げた。

途端に空気が変わり緊張してきた。
「ま、年末年始、その事は棚に上げておこうか？」
「……は？」
ホントにハチャメチャな恋人を持ってしまった。
「距離を置こうって言ったのも事実だけど、冬休み入っちゃったらお前に会えないじゃん？ラインだけじゃ寂しすぎてつい……」
「お前は、我慢ってもんを知らんのか」
呆れはてていると「これでも煩悩捨てて頑張ろうと思ったんだよ？」そう言って、取りだしたのはレンタルショップで借りてきただろうＤＶＤ。
どれもＲ指定モノ。
「どれ見てもお前と重ねちゃってつまんないし、勃たないしでさぁ、ゲイビの喘ぎ声って機械的だと思わない？俺は、倫太郎のあの鼻にかかる甘い声がたまらなく好きなんだよな♡」
「……おい、変態教師。今煩悩捨てるって言ってたよな」
なにより未成年にまずいかがわしいＤＶＤをサラッと見せる教師がどこにいる。
「なぁ。倫太郎……？」
この、猫撫で声……。
再びこたつの中に入りこんだ有栖川はもぞもぞとこちらに向かってくる。
「い、いちいちこたつの中に入らなくてもいいだろ！出て来いへんたいぃぃ ！！！」
語尾が裏返ってしまった。
なんでって、こたつの中の変態が……。
「んっ……さ、わんな……」
「って言いながら、勃起してるぅ♡♡」
くぐもる声がこたつの中から聞こえてきてそれだけで更に下半身が反応してしまった。
「あ、今ピクッてなったよ」
「じ、実況すんな。変態。そこから出て来い……ぅあぁっ……」
「言葉と裏腹ぁ」

くっそぉぉ ！！！