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5. そして始まる文化祭
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菊ちゃんは有太に任せて、俺は少し離れた所で開いているテーブルを見つけて座った。
もう少しで、文化祭もホントの意味で終わる。
時計を見ながらそう思っていると「はい、どうぞ」声をかけられた。
目の前のオリジナルノンアルコールカクテルを置かれ、視線をあげてみると園崎さんが小さく微笑んで小首を傾げていた。
(あれ、なんでいるんだ?)
「ここ、座ってもいいかな?」
向かいの椅子を指しながら言ってきた。
俺はチラッと有太の方を見た。完全に菊ちゃんに捕まってこちらに気づいている様子はないし、反対側に視線をやれば、クラスの女子たちに囲まれたまま仏頂面をしている有栖川なんてこちらに意識すらない。
少しくらい、こっちの事気にしてるかと思ったけどそんなの自意識過剰か─────。
「わっ!!」
「何考えてるの?」
返事のない俺の顔の前に、クリッとした目が何度も瞬きをしながら見つめてきた。
驚くほどの近距離に思わず椅子ごと後ろに後ずさりしてしまった。
「あっ、ごめんね。何か遠くを見てたから、誰を見てるのかなぁって気になっちゃって」
“クスクス”って文字が見えそうな感じの笑い方をしている園崎さんは、チラリと横目で有栖川の方を見た。
まずい!園崎さんが有栖川の方を見てる!
俺、無意識のうちに見すぎてたか!?
「なんで?え、っと……。ク、クラスに戻ったのかと思ってた。一人でどうしたの」
意識をこちらに向けさせようと、必死に思いついた会話。
有栖川を見ていた視線がこちらに戻り口角がクイッと上がった。
「倫太郎君と二人でお話がしたかったの」
「何で?」
「何でって、それ聞いちゃう?」
なんだろうこの空気……すごく嫌いな感じだ。
この先の言葉がなんとなく見えてしまっているような感じ─────。
「あぁ、えっと……」
今度は意識的に有太の方に視線を向けた。
助けを求めないとだめだ。これは一人じゃ対処できない。
「フフフ。倫太郎君ってわかりやすいよね」
「え?」
「倫太郎君って、入学当時からあんまりクラスの人とかとも話をしなかったけど、それは今でも変わらないんだね。相良君とは仲良さそうに話をしてるのにね」
何が言いたいのか、何がしたいのか、俺をどうしたいのか、この人の瞳は全然読めない。
誰か俺をこの場所から引っ張りだしてくれ。
会話が続かないし、続けたいとも思えないし、そもそも園崎さんってこんな人だったっけ?
俺の中の彼女のイメージが随分と違うように感じる。
「私、一人でいる時は結構肉食なんだよ?あ、これは私の友達には言わないでね?」
「言わないけど、肉食って自分で言っちゃうんだ」
「うん。倫太郎君の事が気になるからね?私も本性ばらしたんだから、次は倫太郎君の番ね?」
俺の、番って……なに?
もう少しで、文化祭もホントの意味で終わる。
時計を見ながらそう思っていると「はい、どうぞ」声をかけられた。
目の前のオリジナルノンアルコールカクテルを置かれ、視線をあげてみると園崎さんが小さく微笑んで小首を傾げていた。
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「ここ、座ってもいいかな?」
向かいの椅子を指しながら言ってきた。
俺はチラッと有太の方を見た。完全に菊ちゃんに捕まってこちらに気づいている様子はないし、反対側に視線をやれば、クラスの女子たちに囲まれたまま仏頂面をしている有栖川なんてこちらに意識すらない。
少しくらい、こっちの事気にしてるかと思ったけどそんなの自意識過剰か─────。
「わっ!!」
「何考えてるの?」
返事のない俺の顔の前に、クリッとした目が何度も瞬きをしながら見つめてきた。
驚くほどの近距離に思わず椅子ごと後ろに後ずさりしてしまった。
「あっ、ごめんね。何か遠くを見てたから、誰を見てるのかなぁって気になっちゃって」
“クスクス”って文字が見えそうな感じの笑い方をしている園崎さんは、チラリと横目で有栖川の方を見た。
まずい!園崎さんが有栖川の方を見てる!
俺、無意識のうちに見すぎてたか!?
「なんで?え、っと……。ク、クラスに戻ったのかと思ってた。一人でどうしたの」
意識をこちらに向けさせようと、必死に思いついた会話。
有栖川を見ていた視線がこちらに戻り口角がクイッと上がった。
「倫太郎君と二人でお話がしたかったの」
「何で?」
「何でって、それ聞いちゃう?」
なんだろうこの空気……すごく嫌いな感じだ。
この先の言葉がなんとなく見えてしまっているような感じ─────。
「あぁ、えっと……」
今度は意識的に有太の方に視線を向けた。
助けを求めないとだめだ。これは一人じゃ対処できない。
「フフフ。倫太郎君ってわかりやすいよね」
「え?」
「倫太郎君って、入学当時からあんまりクラスの人とかとも話をしなかったけど、それは今でも変わらないんだね。相良君とは仲良さそうに話をしてるのにね」
何が言いたいのか、何がしたいのか、俺をどうしたいのか、この人の瞳は全然読めない。
誰か俺をこの場所から引っ張りだしてくれ。
会話が続かないし、続けたいとも思えないし、そもそも園崎さんってこんな人だったっけ?
俺の中の彼女のイメージが随分と違うように感じる。
「私、一人でいる時は結構肉食なんだよ?あ、これは私の友達には言わないでね?」
「言わないけど、肉食って自分で言っちゃうんだ」
「うん。倫太郎君の事が気になるからね?私も本性ばらしたんだから、次は倫太郎君の番ね?」
俺の、番って……なに?
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