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5. そして始まる文化祭
5-25
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大盛況の中、コンテストは無事に終了した。
ミスKは、特進クラスの白川まほり。
彼女は事前調査の段階から、ぶっちぎりの一位だった。
二位の同じく特進クラス、相田ニチとの得点差が500ポイント以上。
三位は俺と同じクラスの笛吹れみな。そんな彼女に「武田君。おめでとう」なんて声をかけられたけど、厚化粧、ドレス姿では誰か正直わからなかった。
「あ、ありが、とう」
クスクス笑われているのは、俺の格好のせいだろう。
「やぁ!武田君!悔しいけどやっぱり、君には敵わなかったなぁ。おめでとう」
二神が肩を掴みながら横から顔をのぞかせてきた。
爽やか過ぎる笑顔だが、彼もまた女装をしている。
「まさか、生徒会長が逆転三位に食いこんでくるとは思わなかったな」
二神に言われ、苦笑いをしている生徒会長は自分の衣装を眺めている。
生徒会長の衣装コンセプトは、ウエスタン調だけど爽やかでかっこいい感じのやつ。
俺も出来ればそう言うのが良かったんだけど。
なんだよ女装して優勝とかって……。
何か納得いかない。
「コンセプトのおかげですよ。僕なんて……」
胸ポケットから銀縁の眼鏡を取りだし掛けようとした所に二神がそれを取り上げた。
「コンタクトしてるのに、眼鏡かけたら勿体ないだろう?もう少しその衣装を楽しみなよ。ほら、記念に写真撮ろう!」
舞台袖では賞を取った者同士健闘をたたえ合っている。
俺は、こっそり写真から逃れようとその場を離れた。
終わったぁぁ。疲れた。マジで疲れた。
慣れないメイクとカツラ、慣れない服装、慣れないストッキングにピンヒール。
女の人ってマジで大変だな。付け睫毛を取りたい。目を思い切りかきむしって、椅子に座るにも足を拡げて座りたい。
舞台袖で一人肩を回しながら、貰った金一封?と書かれた封筒とトロフィーを脇に挟みのろのろ会場を後にした。
もうこんな姿誰に持見られたくない!
「武田君」
また後から声をかけられた。恐る恐る振り返ると園崎さんが、小さく手を振ってこちらに向かってくるのが見えた。
「園崎さん」
見られたくない人上位の人だったかも、って言ってもステージに立った時点で無理な話か。
「優勝おめでとう。私もちゃんと武田君に投票したんだよ」
少し興奮気味で、前のめりになりながら話をしてくる園崎さんは俺のこの格好を見ながら「ホントに可愛いね」ため息交じりにそう言った。
「女子の私から見て可愛いって思うんだから、自信持ちなよ武田君」
「いやその自信持ったところで、俺男だけど」
「あ、そうだね。ごめん」
慌てて手をひらひらさせながら謝る仕草は計算されているのだろうか。
若干白けた目線で彼女を見降ろしていると「あ、ごめんね。着替え、するんでしょう?」そう言って、生徒会室の方を指さした。
「本当にお疲れ様」
一方的に話を切られ、帰り際再び小さく手を振り園崎さんは去っていった。
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