やばい彼氏にご注意を

5. そして始まる文化祭

5-10

「あぁあ、あの人・・・が先に手を出してなきゃ僕が手を出したのになぁ」
意味深げな発言に、鼓動が一気に早まるのを感じた。
あの人って、誰だ？有栖川？
こいつ、俺とあいつの関係をしってんのか？
まさか……な……。
 黙って二神を見つめていてふと我に返って「そうだ。二神、この前去り際に言った言葉あれなんだよ、どういう意味だ」 あの言葉を忘れるわけがない。
『自分で自分の衣装を傷つけたとか、変な妄想しちゃっただろ』
二神は少し考えた後「あぁその事。概ね君の考えてる事であってると思うけど」
「は？」
「あ、独り言？胸の内で呟いてるつもりだった？全部聞こえてたよ？」
「二神、どうして？」
「さぁ？こう言う演出した方が盛り上がるかなぁって」

(何を呑気にこいつは)

俺は危うく犯人にされるところだったのに！！！ 「てめっ─────「君ってそっちが本性？」 口を塞がれ、そのまま押されながら俺は後ずさり二神を睨み続けていると、背中が壁に当たった。
「可愛い顔してるのに、お口が悪いよね？けど、普段はそう言うところを見せない─────優等生だから？」
ズシッと二神の体重が乗り、思わず表情をゆがめてしまった。
「フフッ。良い表情だね。僕が好きな顔だ。あぁ、あの人にもそう言う表情を見せるの？それとももっとエッチな顔見せるの？」

 (何、言ってんだ)

 口を塞がれてるせいで話すことも出来ないから、顔を横に振る事しか出来ない。
 「どうして、君なんだろうね。兄さん・・・は……」

兄さん？？
誰の事を言っているのかわからなくなった。 話がすり替わっている。
 あの衣装を切り裂いたのが二神なら、ちゃんとみんなに言わないと─────でも─────

ダメだ。
息がうまくできない。

「こうして見たらさ、僕が可愛い女子を口説いているように、犯してるみたいに見えるかな？？」

ふざけんな！ただでさえ、イライラしてたのにどうしてこんな目に……。