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5. そして始まる文化祭
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いつもなら100%追いかけてくるのに、そうしないのは今日の行事を一応気遣ってるんだろうか。
いや、だったら最初からこんなところ連れてくるなよ。
振り返らずそのままドアを引き部屋を出た。
(なんで秘密の場所に連れてきたんだろう。自分だけの場所にしておけばいいのに)
少し歩いてから振り返ってみた。
髪の毛を掻きむしり欠伸をしながら部屋から出てくる有栖川が見え、直ぐに視線を前に向けた。
あたりを十分に警戒しながら、落としたプラカードを探した。
「あ、あった」
プラカードは幸いにも落とした場所にそのままになっていた。
それを拾い上げ、視線をあげるとしょんぼりとした表情の有栖川がとぼとぼと歩いてきているのが見えた。
(あんな顔するなら連れ去らなきゃ良かったのに)
一歩近づこうとしたが、足が止まった。ここで関わるとろくなことがない。
傾きかけた体重を戻しそのまま、プラカードを持ちなおし「『メイド喫茶やってまぁす。クラスの男子がおもてなしぃ……あなたのお気に入りを見つけてみてはいかがですかぁ』」とまた棒読みを始めた。
通り過ぎようとしていた男子が、くるりと踵を返しこちらに近づいてくるのすら無視したい気分になりながら、顔をプラカードで隠した。
そう言えば、俺は今メイド服を着ているんだった。
「武田君?」
声をかけられたけど、聞こえないふりをしてそのまま歩き続けた。
今、俺に声をかけないでくれ─────足音がこちらに近づいてくる─────逃げないと─────
早足になりながら、どこかに逃げ込もうと辺りを見回しているうちに肩を掴まれ足が止まった。
「あ、やっぱり。声が武田君だったからわかったよ。でもこんな恰好してどうしたの?あれ?もしかして、これなコンテストの格好?」
爽やか過ぎる笑顔の主は二神だった。
「なんだ……二神か……」
全然知らない奴じゃないから、少しはホッとしたけど、正直こんな恰好見られたくなかった。
二神は、俺の姿を足の先から頭の先まで舐めるように一通り見ると「後姿は完全に女子だったから全然気が付かなかったな。すっごく可愛いね武田君……」
肩に乗っていた手が頬に触れた。
「なっ!!!」
その手を思い切り振り払った。
何考えてんだ二神の奴。
「あ、ごめんね?可愛いからつい構いたくなっちゃうな。デートに誘いたいくらいだよ」
爽やかにウインクとか背筋がゾクッとする。
俺こんな恰好ですけど一応男です!!!
いや、だったら最初からこんなところ連れてくるなよ。
振り返らずそのままドアを引き部屋を出た。
(なんで秘密の場所に連れてきたんだろう。自分だけの場所にしておけばいいのに)
少し歩いてから振り返ってみた。
髪の毛を掻きむしり欠伸をしながら部屋から出てくる有栖川が見え、直ぐに視線を前に向けた。
あたりを十分に警戒しながら、落としたプラカードを探した。
「あ、あった」
プラカードは幸いにも落とした場所にそのままになっていた。
それを拾い上げ、視線をあげるとしょんぼりとした表情の有栖川がとぼとぼと歩いてきているのが見えた。
(あんな顔するなら連れ去らなきゃ良かったのに)
一歩近づこうとしたが、足が止まった。ここで関わるとろくなことがない。
傾きかけた体重を戻しそのまま、プラカードを持ちなおし「『メイド喫茶やってまぁす。クラスの男子がおもてなしぃ……あなたのお気に入りを見つけてみてはいかがですかぁ』」とまた棒読みを始めた。
通り過ぎようとしていた男子が、くるりと踵を返しこちらに近づいてくるのすら無視したい気分になりながら、顔をプラカードで隠した。
そう言えば、俺は今メイド服を着ているんだった。
「武田君?」
声をかけられたけど、聞こえないふりをしてそのまま歩き続けた。
今、俺に声をかけないでくれ─────足音がこちらに近づいてくる─────逃げないと─────
早足になりながら、どこかに逃げ込もうと辺りを見回しているうちに肩を掴まれ足が止まった。
「あ、やっぱり。声が武田君だったからわかったよ。でもこんな恰好してどうしたの?あれ?もしかして、これなコンテストの格好?」
爽やか過ぎる笑顔の主は二神だった。
「なんだ……二神か……」
全然知らない奴じゃないから、少しはホッとしたけど、正直こんな恰好見られたくなかった。
二神は、俺の姿を足の先から頭の先まで舐めるように一通り見ると「後姿は完全に女子だったから全然気が付かなかったな。すっごく可愛いね武田君……」
肩に乗っていた手が頬に触れた。
「なっ!!!」
その手を思い切り振り払った。
何考えてんだ二神の奴。
「あ、ごめんね?可愛いからつい構いたくなっちゃうな。デートに誘いたいくらいだよ」
爽やかにウインクとか背筋がゾクッとする。
俺こんな恰好ですけど一応男です!!!
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