やばい彼氏にご注意を

4.絶賛、文化祭準備中

4-19

「あ、そうそう。りんに似合いそうな衣装よ、衣装！！」
思い出したかのように両手を合わせ、雑誌とパンフレットをテーブルに広げ、嬉しそうにそれを眺め始めたオカ……菊ちゃん。

机の前に戻りながらチラリとそれに視線をやった瞬間、ギョッとした。
さっきまで生徒会室で一緒にいた奴が、ここでも微笑みかけてきている。

ガタン！！

机に身体が当たった拍子に、バサバサと机の上のノートやら教科書が床に落ちていく。
「ちょっとぉーなぁに？どうしたの？」

金魚の口みたいにパクパクとさせながら、雑誌を指させば菊ちゃんは視線を落とし「あぁなに？和なごみちゃん？可愛いわよねぇ～♡あたしもろタイプだわ。ベッドで組み敷いたらどんな風に喘いでくれるかしら♡あは♡でもあたしが食べられちゃうかしら。やぁだぁぁ♡」
なんて妄想してるんだと思いながら「和ちゃん？？」と聞き返すと「そ♡二神和、フ、タ、ガ、ミ、ナ、ゴ、ミ。可愛い名前よねぇなんて羨ましい」
雑誌のページの輪郭をなぞりながら、鼻息を荒くしている。
あ、あいつ、そんな名前なんだ。
「この人のお兄さんもね、すっごいイケメンなんですってぇ～！あぁ～もぉ～ホント一度でいいから二人に会ってみたいわ。素敵よね♡イケメン兄弟♡はぁ……どっちでもウェルカム♡」

(どんな妄想してんだこの人)

俺は、その雑誌に載ってる奴に会ったけど。ってか、同じ学校だったなんて知らなかった。
こいつの話をいつまでもしていたら、墓穴掘りそうだから、またまた強引に話をそらした。

「で？俺の衣装って？」
「え？あぁ、これこれ♡絶対にりんに似合って優勝する事間違いなしよっ！」
引っ張り出したのは別の雑誌。

少し気になって、菊ちゃんの隣にポスンッと座った。
無意識に……。

チラリと横目で見た菊ちゃんの視線なんて全然気が付くことなく本を見ていた。
「なぁ、憲治これ…なんかの間違い？」
見れば見るほど、疑問がわいてきた。
なんだよ……この格好……さっき王子っていってたじゃん？？？
「憲治って言わなきゃ教えてあ・げ・る♡」
「だったらいい」
立ち上がってスマホを探しだした所に、ヌッと腰に腕が回ってきた。

「うぉっ、おい！何すんだよっ」