やばい彼氏にご注意を

3.話は現在に戻って……

3-16

「なぁ？家の人に迷惑かけちゃだめだろ？しかも、ここ倫太郎の家。わかってる？」
 
有太の耳に口を近づける。 
その表情、動き、仕草が何故か色っぽく見える。 
……いや違う違う。
俺はどんな目であいつを見てしまっているんだ。 
無言のまま首を振った。

「てめぇが言うな！っつか離れろ！どけ！いつまで跨ってやがる！」 

有栖川の甘い声は有太には通用しない。 通用するのは多分俺だけ……じゃない。
俺だって通用するわけない。通用なんてしない。

……。 
俺のバカ。なに変な事考えてんだよ！ 

「倫太郎とイイ事してたのに、邪魔したバツ」 
俺の思考は、変態教師の変態発言により引き戻された。
 「い、いでででで！！」 
腕をさらにひねり上げる有栖川。その手を離してもらいたいのか反対側の手で、自分の肩を叩いている。
その光景を見ていて、何故か妙に苛立ちを感じてきた。
 なんで、俺の部屋でこんな光景になってるんだ。そもそも、有栖川がここにいること自体がおかしい事なのに。

そもそもは、俺が有栖川の家にほいほい行かなければこんな事にはならなかったんだ。 
自分の行動に酷く後悔した。 

「…ってくれ……」 
一旦気持ちを落ち着かせたい。 
ヒリッと痛む手首を握りながらもう一度声を上げた。 「ちょっと出てってくんないか、なっ─────」 

二人の襟を掴み、自分でもこんな力が出るんだってくらい二人を引きずり、部屋から追い出し勢いよくドアを閉めた。 
「っはぁ……」