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たどり着いた場所は……?
たどり着いた場所は……? 2
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終始無言の俺に何故か上機嫌の有栖川。
「なぁ、機嫌直してあれ見ろよ。動物まで仮装してるぞ」
指を指しながらケラケラ笑ってるけど、ぜんっっぜん笑えない。
「なんで、野郎二人で動物園なんだよ!恥ずかしすぎるだろこの光景!」
「えぇ、一回来てみたかったんだよ。倫太郎がCM見ながらぼーっとしてたから行きたいのかなって思ってさ?」
「ぼーっとしてないし、そんなCMみてないし」
「あれ?そうだっけ?ま、いいじゃん。ほら、お前もこれかぶってみ?」
突然頭に何かぶせられ、首が縮まった。
「ん、よく似合ってる」
さっきよりも満足げな顔を見せる有栖川。
お前だけ満喫してるのな。俺も満喫したいのに……なんか引っ掛かってんだよ、胸の奥が。
モヤモヤした気持ちのまま、ガラスに映る自分の姿を見て愕然とした。
「何で、動物園で、イルカの帽子なんだよ……」
突っ込みどころ満載の有栖川との初動物園。
帽子に手を置けば有栖川に「とっちゃだぁめ」と言われ仕方なく被ってれば、それはそれで耳があったかいし、普段は絶対に見られない有栖川の表情が見れるから、もうイルカだろうが何だろうがどうでもよくなっていた。
「あ、こっちペンギンがいるな」
「ホントだ。ってか、なんでペンギンがいるんだ?」
「いいじゃんいいじゃん」
ぷかぷかと浮いてこちらを見ているように見える一匹のペンギンは、何故か有栖川が歩く方向に一緒になって泳いでくる。
それに気が付いた有栖川は足を止め、今度は反対方向へ歩き出す。手を引っ張られた俺は体を反転させ、よろめきながらペンギンを見た。
「なぁ、こいつ、あとついてくるんだけど、可愛い。倫太郎みたい」
ペンギンの方へ片手を伸ばしながら、目を細めてみている。何で手離さないんだよ。
俺からさりげなく手を離そうとポケットから引っこ抜いてみた。
もう少しで引き抜けるという瞬間に、ギュッと握り返され出てきたのは、俺の親指だけ……
黙って隣の男を見上げれば、視線はペンギンに向けられたまま。
手は最後まで離さないってか……
指先だけ掴まれた状態も気持ち悪いから、黙ってまた手を突っ込んだ。
手を繋ぐ行為に今日はやたらとこだわっている気がする。
そりゃ、ここまで来ればそう滅多に知り合いに会うことなんてないはずだ。
だからって、うっかりしてると予期せぬ所で、出くわしたりするから気をつけてないと。
俺の心配はよそに、ペンギンとの戯れに満足したのか、次へと足を延ばした。
「お、何か鳴いてるな」
「ライオン?」
次についたのはライオンやヒョウがいるエリア。やっと動物園っぽくなってきた。
入り口で手渡された館内マップを見る限り結構広い。
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