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たどり着いた場所は……?
たどり着いた場所は……? 1
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空港からでると待ち構えていたのは、黒塗りのベンツ。
運転席から白い手袋をした初老の男性が降りてきて、後部座席のドアを開けながら「お待ちしておりました、恭平様」と言った。
え、何この展開。
咄嗟に出た言葉は「なぁ、金は?」
「最初に言った通り、俺が全部出すよ?高校生のお前に出させるわけないだろ」そう言いながら車に乗りこんでいく。
その間もつないだ手を離そうとしないから、なだれ込むように俺も車へ乗った。
いや、まぁ、そうなんだけど……俺だって一応男ですから?それなりにバイトもしてるし、金はあるけど、臨教の給料ってどんなもんなんだ?ってか、今日の格好だって絶対に安もんじゃないよな。
こっそり盗み見た有栖川の格好は割とタイト目なズボンにシンプルだけどなんか高そうなブランドシャツの上から普段のスーツのジャケットとは違った感じの、これまた高そうな紺色のジャケットを羽織っている。
いや、こいつの格好薄すぎないか?
足元から頭までいつの間にか撫でるように眺めていると顔の方に視線が上がった瞬間、有栖川と目が合った。
「何?なんかついてる?そんなに見つめられた、ここで抱いちゃうよ?」
「あほか。や、寒くないのかなって思っただけだよ」
「最初は寒いと思ったけど、慣れればそうでもないな。俺が昔住んでたとこの方が寒かったからな」
有栖川の昔────
当然だけどあるよな。
有栖川の過去の話はもちろん、プライベートの話はほとんど聞かない。
こいつの事をもっと知りたいと思うようなればなるほど、それを知らない自分に苛立ちを感じる。
聞いても軽くかわされる。
せっかく楽しもうと言われてるのに、なんか急にテンションが下がってきた。
「あぁ……どした?別に寒くないっつってんだからお前が心配することないんだけど?」
「そう、だな」
相変わらず手を握られたままだけど、その手を離したくてイライラしてきた。
ダメだ。イライラしたら……きっとこいつは色々と考えてくれてるんだ。この日のためにこっそりと知らないうちに……
「もう、何処へでもいいからあったかい場所に行こう……」
視線を合わせることなくそうつぶやいて、もう一度手を握り返した。
今度はさっきの怒りとは違う……なんとなく、力を込めてみた。
「まぁ、そうカリカリするなって。ほら、目的地だよ」そう言って指さした場所は……
「え……まじ?」
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