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第1話 朝、兄とのひととき
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午前6時にスマホのアラームによって、布団の中で目が覚めた。
眠い目をこすりながら、高校の制服に着替えて一階に降りた。
一階の居間に行っても誰もいない。気にせず私は洗面所で顔を洗う。髪を二つ結びにしているとお腹がぐーっと鳴ってしまった。
お父さんが経営する料亭の離れに家があり、私はお兄ちゃんとお父さんとそこに住んでいる。
料亭の方に行くと、父が料理の仕込みをしていた。
「おはよう、凛。早いな」
「お父さん、おはよう!お父さんの方が早いじゃん!4時起きは真似できないよ~」
料理人の朝は早い。お兄ちゃんももう起きて仕事をしているのだろう。どこにいるんだろうとキョロキョロしていると、お父さんが苦笑した。
「朝飯なら、いつもの客席のとこだ。飯じゃなくて圭介なら、客席の方を掃除しているはずだ」
考えてることをお父さんに見抜かれているようで、カァと頬が熱くなる。
「ご、ご飯よ!朝ご飯まだかなーって思ってたの!別にお兄ちゃんは探してないわ!」
兄、圭介と私は血が繫がっていない。父と兄も血は繫がっていない。圭介が8歳位で私が4歳の時、身寄りのなかった圭介をお父さんが引き取ったのである。
それから、圭介と私は兄妹として一緒に育ったのだった。
兄に対して私は恋心を抱いている。
小さな頃は、お兄ちゃんと結婚する!などと言っていて、結婚の約束も取り付けたような気がするが、果たして兄は覚えているだろうか。
「おはよう、凛。朝飯ならそこだよ」
客席の方へ行くと、兄が掃除をしていた。私の朝ご飯が、客席の一つに並んでいる。
「お兄ちゃん、おはよう!ご飯、お兄ちゃんが作ってくれたの?美味しそう!」
兄はニッと笑うと、頷いた。
兄の生まれつきの金髪は、外国の血が混じってるのだろうなと父が言っていた。
兄の金髪は美容院に行く暇がなくて伸びていて長めだ。
最近はそれを1つに後ろでくくっていて、更に調理服を着こなしている。
そんな兄を毎朝見るのが私の楽しみだ。
「早く食べろよ、時間大丈夫か?」
料亭の時計を見ると、時計の針は6時15分を指していた。
「7時20分の電車に乗るから大丈夫!」
自宅から最寄り駅は近くて5分くらいしかかからないし、あとはご飯を食べるだけなので大丈夫だろう。
でも、もう少し早く起きていれば、ご飯を食べながらお兄ちゃんとゆっくり話せたかもしれないなと思うと、明日はもっと早起きしようと思う。
「お兄ちゃん、今日も3時起き?」
兄は父と同じく料理人だ。現在兄は21歳で、高校生の時から厨房に立って修行していた。
「そうだ。オヤジに言うなよ?」
現在も朝早く起きて料理の勉強や修行を自主的にしている。
「お兄ちゃんの料理、すごく美味しいし、もうプロだよ!もうそんなに修行しなくてもいいんじゃない?」
「いや、まだまだ修行が必要だ。それに実は初めて、新しいメニューの開発を任されたんだ。寝てられねぇよ」
「そっか!がんばってね!」
眠い目をこすりながら、高校の制服に着替えて一階に降りた。
一階の居間に行っても誰もいない。気にせず私は洗面所で顔を洗う。髪を二つ結びにしているとお腹がぐーっと鳴ってしまった。
お父さんが経営する料亭の離れに家があり、私はお兄ちゃんとお父さんとそこに住んでいる。
料亭の方に行くと、父が料理の仕込みをしていた。
「おはよう、凛。早いな」
「お父さん、おはよう!お父さんの方が早いじゃん!4時起きは真似できないよ~」
料理人の朝は早い。お兄ちゃんももう起きて仕事をしているのだろう。どこにいるんだろうとキョロキョロしていると、お父さんが苦笑した。
「朝飯なら、いつもの客席のとこだ。飯じゃなくて圭介なら、客席の方を掃除しているはずだ」
考えてることをお父さんに見抜かれているようで、カァと頬が熱くなる。
「ご、ご飯よ!朝ご飯まだかなーって思ってたの!別にお兄ちゃんは探してないわ!」
兄、圭介と私は血が繫がっていない。父と兄も血は繫がっていない。圭介が8歳位で私が4歳の時、身寄りのなかった圭介をお父さんが引き取ったのである。
それから、圭介と私は兄妹として一緒に育ったのだった。
兄に対して私は恋心を抱いている。
小さな頃は、お兄ちゃんと結婚する!などと言っていて、結婚の約束も取り付けたような気がするが、果たして兄は覚えているだろうか。
「おはよう、凛。朝飯ならそこだよ」
客席の方へ行くと、兄が掃除をしていた。私の朝ご飯が、客席の一つに並んでいる。
「お兄ちゃん、おはよう!ご飯、お兄ちゃんが作ってくれたの?美味しそう!」
兄はニッと笑うと、頷いた。
兄の生まれつきの金髪は、外国の血が混じってるのだろうなと父が言っていた。
兄の金髪は美容院に行く暇がなくて伸びていて長めだ。
最近はそれを1つに後ろでくくっていて、更に調理服を着こなしている。
そんな兄を毎朝見るのが私の楽しみだ。
「早く食べろよ、時間大丈夫か?」
料亭の時計を見ると、時計の針は6時15分を指していた。
「7時20分の電車に乗るから大丈夫!」
自宅から最寄り駅は近くて5分くらいしかかからないし、あとはご飯を食べるだけなので大丈夫だろう。
でも、もう少し早く起きていれば、ご飯を食べながらお兄ちゃんとゆっくり話せたかもしれないなと思うと、明日はもっと早起きしようと思う。
「お兄ちゃん、今日も3時起き?」
兄は父と同じく料理人だ。現在兄は21歳で、高校生の時から厨房に立って修行していた。
「そうだ。オヤジに言うなよ?」
現在も朝早く起きて料理の勉強や修行を自主的にしている。
「お兄ちゃんの料理、すごく美味しいし、もうプロだよ!もうそんなに修行しなくてもいいんじゃない?」
「いや、まだまだ修行が必要だ。それに実は初めて、新しいメニューの開発を任されたんだ。寝てられねぇよ」
「そっか!がんばってね!」
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