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釣り

釣り④

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 仕事を終え、今日もログイン。課長が昇進とかいってたが関係ない。全くな。

 見慣れた風景が出迎えてくれる。今日は戦闘するわけではない。この余りに余った魔魚の素材をなんとかするのだ!
 まずは防具にしよう。ローブの下から着られるタイプの軽鎧がいいな。

「フンッ!オォ!ハアァ!クワァッ!」
 俺が向かったのはプレイヤーが経営する防具店・・・のハズだった。中身はまるでマッスル共の巣窟。まあ後で、
「あ、いらっしゃいませ。ゴウジ防具店へようこそ。ご新規様ですね?」
 と律儀に挨拶されたが。
 
「今回はどんな防具を?」
 内装は至って普通であった。そこらじゅうにマッスルがエンカウントしてること以外は。
「はい、ローブの下から着るタイプの軽鎧を。素材は、魔魚の鱗等で。」
 魔魚の鱗を少々出す。
「ふむ、持ち込みですか。これは、先日発見されたゴブリン池の物ですね。」
 マッスル店長はしげしげとそれを見つめると、呟いた。
「では、どんなタイプをご所望ですか?鱗を繋ぎ合わせるタイプと金属の鎧に張り付けるタイプがありますが。」
 マッスルが敬語を使って丁寧に接してくるというのはシュールの化身だが、この際どうでもいい。
「では、鱗を繋ぎ合わせるタイプで。あと、物音とかはするのですか?」
 こちらは職業柄、音には少々敏感だ。
「ご安心下さい。この鱗、鱗になっても魔力を宿しておりまして、鱗同士がぶつかりましても滑るだけでございます。」
 そう言ってマッスル店長は鱗と鱗をかち合わせて見せる。成る程、音は一切出ていない。これは使えるな。
「では、六万ガリとなります。」 
 意外と高かったが仕方ない。マッスル達がちまちまと鱗を繋ぎ合わせている光景は、想像するだけで寒気がする。
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