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第七話 ししょーとお出掛け
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夢を見た。
ししょーと初めて会った時の夢。
すべてが怖かったあの時の夢。
ししょーは今でこそいつも優しく微笑むのであるが、初めて見たときはまるで幽霊さんみたいだったのである。
目の奥が冷たくて、とても暗い。まるで吾輩を追いかけていたあのお化けのようであった。
ししょーはあの時何と言っていたのであろうか。もしかしたら今のように優しく話しかけてくれていたのであろうか。
「まだ世界を見てみたい。まだいろいろなものを知りたい」
何も聞こえぬ体で吾輩は鳴いた。
吾輩の小さな体では限界があった。この弱い体では...
ついには目の前が暗くなり何も感じなくなった。
そして気が付いたら吾輩はししょーの膝の上で眠っていた。
優しくて暖かな師匠の手が吾輩をなでる。
「もう大丈夫よ。あなたはひとりではないわ」
そうつぶやき吾輩をなで続ける。
ああ...あの時の感覚はこの時のものだったのであるな。
お天道様はを怒らせ何も感じなくなったあの感覚。
それでも常に吾輩を優しく包み込んでくれたあの優しい暖かさ。
あれはきっと...
-------
目が覚めるとそこは昨日寝ていたはずのかごの中ではなかった。
とてもやわらかで温かいものの上。
「あらもう起きたのね?気分はどう?」
おお ししょーのお膝の上であったか!!
「これは失礼したのである!紳士である吾輩がししょーの膝をお布団にするなんて...」
吾輩ちょっぴり反省なのである。
...うむ? なぜ吾輩はししょーのお膝で眠っているのであろうか?
「どうしたのフィラム?まだどこか苦しい?」
苦しい? 吾輩は自身の体を見回す。
「何もないのである!!元気いっぱいなのである!!」
そういってししょーのお膝で元気であることを証明する。
「フィラムくすぐったいわ!元気なのはわかったからちょっと止まって頂戴!!」
おお!!ししょーはなんだか嬉しそうなのである。ししょーが嬉しいと吾輩もうれしいのである!!
「大丈夫だとは思うけど念のために、今日は私と一日一緒にいて頂戴?」
ししょーと一緒であるか!!ならばあそこに行きたいのである!!
「吾輩のお気に入りの場所に案内するのである!!」
そう言って吾輩はししょーのお膝から飛び降り、玄関へ向かおうとする。
しかし降りたところで吾輩の体が宙に浮く。
なんであるか!?ししょーのほうを向くとまだ座っているので抱っこされているわけではない。
なのに吾輩の体が宙に浮くとはどういうことであるか!?
「あらダメよフィラム。今日は一日一緒って言ったでしょ?」
そう言うとししょーは手を前に出し、手招きをすると吾輩の体がししょーの方へ移動し始める。
「これはししょーの魔法であるか!?」
吾輩は脚をパタパタ揺らしながらししょーに聞く。
「この魔法が気になるかしら?なら今日はおとなしく私と一緒にお出かけしましょうね?そうしたらこの魔法も教えてあげるわ」
ほんとであるか!!ならば吾輩はおとなしくししょーに抱っこされてるのである!!
「わかったのである!!」
「...フフッ 魔法のことになると急にお利巧さんになるのね?」
吾輩は紳士なのでいつもお利巧さんなのである!! なぜか最近皆が吾輩のことを騒がしいと言ってくるのである。吾輩ちゃんといつもお利巧さんにしているのであるが...
「さあ、今日はまずお肉屋さんへ行こうかしら?貴女用のお肉ももうすぐなくなってしまうし」
おお 吾輩のご飯であるな!! ということはいつものお肉の人の場所であるか!!
「それじゃあ準備してくるから大人しくここで待っていて頂戴ね?」
そう言うとししょーは椅子から立ち上がり我輩を椅子の上に置いた。 ちょっと温かいのである。
「わかったのである!!」
吾輩の返事を聞き少し笑うとそのまま奥の部屋へと入っていった。するとお店のチリンチリンが鳴る。
おおこれはあれであるな! えーと…なんであったか…
「なんだまた猫助しかいねえのか。デジャブってやつか?」
そう言いながら玄関から先日も見た全身黒服の人が入ってきた。やはり間違いない。
「夜空に人よそれである!!」
「なんだ朝っぱらから元気なやつだな。それよりアリシアはどこだ…ってお前に言ってもどうしようもねえか」
どうしようもないとはどういうことであるか!
吾輩はししょーを呼ぶくらいでくらいできるのである!!
「でも吾輩ここで待つよう言われていたのであった。呼びに行っても良いのであろうか?」
うーむ、悩むのである。
む…これも前にやったのである。ならば。
「フィラム誰か来たのかしら?」
そう言いながししょーが店の奥から出てきた。
やはりそうであった! 今のもデジャブと言うやつであるな!!
「誰じゃねえよ。昨日開店する頃に来るって言ってたろ?」
「あらカースいらっしゃい。魔導具はもうそこのカウンターに置いてあるわよ」
そう言うとししょーはカウンターへ指をさす。
「仕事は早えから良いんだけどなんだかなあ… よし問題なさそうだな。代金はここに置いておくぞ?」
「ええ大丈夫よ…なんか代金が多い気がするんだけど?」
「急遽やってもらったからな。少し色を付けておいた。お前は人としてヤベえが、仕事に関しては信頼している」
「ちょっと流石に聞き捨てならないのだけど?」
「そう思うなら今までの行いを顧みることだな」
「私そんなに酷いことしていたかしら…」
「こいつ…まあいい要件は済んだから俺は帰るぞ」
そう言って夜空の人は扉の向こうへと消えていった。
「うーむ やはり夜空の人は外に行くと消えるのであるな?」
「相変わらず見事な影渡りねぇ」
ししょーが言っている影渡とは何であろうか?もしや夜空の人が消えるのは魔法なのであるか!?
「ししょー影渡とは何であるか!」
「あら ごめんなさいねフィラム。もう準備できたからお出かけするわよ」
そう言って吾輩を抱き上げる。
ししょー違うのである!影渡とは何であるか知りたいのである!! あ ししょーに撫でられた!!
「ししょーの手は暖かくて気持ち良いのである!!」
先程までの疑問は撫でられた瞬間に何処かへと吹き飛んでいった。
「さあ。フィラムと二人での外出楽しみね?」
「吾輩はししょーと一緒なら何処でも楽しいのである!!」
そんな他愛ない会話をしながらししょーと吾輩は店を出て行くのであった。
ししょーと初めて会った時の夢。
すべてが怖かったあの時の夢。
ししょーは今でこそいつも優しく微笑むのであるが、初めて見たときはまるで幽霊さんみたいだったのである。
目の奥が冷たくて、とても暗い。まるで吾輩を追いかけていたあのお化けのようであった。
ししょーはあの時何と言っていたのであろうか。もしかしたら今のように優しく話しかけてくれていたのであろうか。
「まだ世界を見てみたい。まだいろいろなものを知りたい」
何も聞こえぬ体で吾輩は鳴いた。
吾輩の小さな体では限界があった。この弱い体では...
ついには目の前が暗くなり何も感じなくなった。
そして気が付いたら吾輩はししょーの膝の上で眠っていた。
優しくて暖かな師匠の手が吾輩をなでる。
「もう大丈夫よ。あなたはひとりではないわ」
そうつぶやき吾輩をなで続ける。
ああ...あの時の感覚はこの時のものだったのであるな。
お天道様はを怒らせ何も感じなくなったあの感覚。
それでも常に吾輩を優しく包み込んでくれたあの優しい暖かさ。
あれはきっと...
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目が覚めるとそこは昨日寝ていたはずのかごの中ではなかった。
とてもやわらかで温かいものの上。
「あらもう起きたのね?気分はどう?」
おお ししょーのお膝の上であったか!!
「これは失礼したのである!紳士である吾輩がししょーの膝をお布団にするなんて...」
吾輩ちょっぴり反省なのである。
...うむ? なぜ吾輩はししょーのお膝で眠っているのであろうか?
「どうしたのフィラム?まだどこか苦しい?」
苦しい? 吾輩は自身の体を見回す。
「何もないのである!!元気いっぱいなのである!!」
そういってししょーのお膝で元気であることを証明する。
「フィラムくすぐったいわ!元気なのはわかったからちょっと止まって頂戴!!」
おお!!ししょーはなんだか嬉しそうなのである。ししょーが嬉しいと吾輩もうれしいのである!!
「大丈夫だとは思うけど念のために、今日は私と一日一緒にいて頂戴?」
ししょーと一緒であるか!!ならばあそこに行きたいのである!!
「吾輩のお気に入りの場所に案内するのである!!」
そう言って吾輩はししょーのお膝から飛び降り、玄関へ向かおうとする。
しかし降りたところで吾輩の体が宙に浮く。
なんであるか!?ししょーのほうを向くとまだ座っているので抱っこされているわけではない。
なのに吾輩の体が宙に浮くとはどういうことであるか!?
「あらダメよフィラム。今日は一日一緒って言ったでしょ?」
そう言うとししょーは手を前に出し、手招きをすると吾輩の体がししょーの方へ移動し始める。
「これはししょーの魔法であるか!?」
吾輩は脚をパタパタ揺らしながらししょーに聞く。
「この魔法が気になるかしら?なら今日はおとなしく私と一緒にお出かけしましょうね?そうしたらこの魔法も教えてあげるわ」
ほんとであるか!!ならば吾輩はおとなしくししょーに抱っこされてるのである!!
「わかったのである!!」
「...フフッ 魔法のことになると急にお利巧さんになるのね?」
吾輩は紳士なのでいつもお利巧さんなのである!! なぜか最近皆が吾輩のことを騒がしいと言ってくるのである。吾輩ちゃんといつもお利巧さんにしているのであるが...
「さあ、今日はまずお肉屋さんへ行こうかしら?貴女用のお肉ももうすぐなくなってしまうし」
おお 吾輩のご飯であるな!! ということはいつものお肉の人の場所であるか!!
「それじゃあ準備してくるから大人しくここで待っていて頂戴ね?」
そう言うとししょーは椅子から立ち上がり我輩を椅子の上に置いた。 ちょっと温かいのである。
「わかったのである!!」
吾輩の返事を聞き少し笑うとそのまま奥の部屋へと入っていった。するとお店のチリンチリンが鳴る。
おおこれはあれであるな! えーと…なんであったか…
「なんだまた猫助しかいねえのか。デジャブってやつか?」
そう言いながら玄関から先日も見た全身黒服の人が入ってきた。やはり間違いない。
「夜空に人よそれである!!」
「なんだ朝っぱらから元気なやつだな。それよりアリシアはどこだ…ってお前に言ってもどうしようもねえか」
どうしようもないとはどういうことであるか!
吾輩はししょーを呼ぶくらいでくらいできるのである!!
「でも吾輩ここで待つよう言われていたのであった。呼びに行っても良いのであろうか?」
うーむ、悩むのである。
む…これも前にやったのである。ならば。
「フィラム誰か来たのかしら?」
そう言いながししょーが店の奥から出てきた。
やはりそうであった! 今のもデジャブと言うやつであるな!!
「誰じゃねえよ。昨日開店する頃に来るって言ってたろ?」
「あらカースいらっしゃい。魔導具はもうそこのカウンターに置いてあるわよ」
そう言うとししょーはカウンターへ指をさす。
「仕事は早えから良いんだけどなんだかなあ… よし問題なさそうだな。代金はここに置いておくぞ?」
「ええ大丈夫よ…なんか代金が多い気がするんだけど?」
「急遽やってもらったからな。少し色を付けておいた。お前は人としてヤベえが、仕事に関しては信頼している」
「ちょっと流石に聞き捨てならないのだけど?」
「そう思うなら今までの行いを顧みることだな」
「私そんなに酷いことしていたかしら…」
「こいつ…まあいい要件は済んだから俺は帰るぞ」
そう言って夜空の人は扉の向こうへと消えていった。
「うーむ やはり夜空の人は外に行くと消えるのであるな?」
「相変わらず見事な影渡りねぇ」
ししょーが言っている影渡とは何であろうか?もしや夜空の人が消えるのは魔法なのであるか!?
「ししょー影渡とは何であるか!」
「あら ごめんなさいねフィラム。もう準備できたからお出かけするわよ」
そう言って吾輩を抱き上げる。
ししょー違うのである!影渡とは何であるか知りたいのである!! あ ししょーに撫でられた!!
「ししょーの手は暖かくて気持ち良いのである!!」
先程までの疑問は撫でられた瞬間に何処かへと吹き飛んでいった。
「さあ。フィラムと二人での外出楽しみね?」
「吾輩はししょーと一緒なら何処でも楽しいのである!!」
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